スタンドでは「ハイオク」「レギュラー」「ディーゼル」の名目で販売されている自動車の燃料ですが、日本ではディーゼルを「軽油」と呼ぶため、軽自動車専用の燃料と思われてしまう方も多いようです。しかし、軽自動車に軽油を入れてしまうと大切な車を壊してしまうことになりかねません。そんなトラブルを未然に防ぐために、今回は自動車の燃料について知って頂きたいと思います。
掲載日:2017/05/10
CONTENTS
「ガソリン」と「ディーゼル」の違いってなに?
日本で乗られているエンジンを搭載した自動車は、ほとんどがガソリンエンジンかディーゼルエンジンを使用しています。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンを比較すると、構造の違いはほとんどありませんが、燃料の燃焼方法が大きく違います。
ガソリンエンジンには点火系という機構が付いており、エンジンのシリンダー内でガソリンと空気を混合させて、プラグが飛ばした火花で爆発させるシステムとなっています。
ディーゼルエンジンは、シリンダー内を高温にして、燃料が自然発火しやすいように圧縮比が高い構造になっています。
- 強制的に燃料を爆発させるのがガソリンエンジン。
- 燃料を自然発火させるのがディーゼルエンジン。
と覚えておくと分かりやすいのではないでしょうか。
このようにエンジン内部での燃焼方法が違うため、燃料も違ってくるのです。
そのため、間違えた燃料を使用してしまうと、エンジンの不調や故障の原因となってしまいます。
そのようなトラブルを避けるには、車検証に記載されている「燃料の種類」という欄で確認することが重要なのです。
また、給油口付近に「ガソリン」「軽油」などの記載がある場合もあり、給油する際に確認することが出来る場合もあるので、正しい燃料を使って快適なカーライフを送りましょう!
そして、燃料は季節に合わせて添加材を変更している場合があるので、夏に入れたガソリンを冬まで入れたままにすると、不具合を起こす可能性もあるので、なるべく新鮮なガソリンを使うように心がけたいところです。
「レギュラー」と「ハイオク」の違いってなに?
ハイオクとは「オクタン価が高い(high)」という言葉を分かりやすく示した呼び方です。
オクタン価とは、ガソリンの発火しにくさを最大100の数値で表したもので、日本国内の場合、オクタン価96以上がハイオク、89以上がレギュラーとする規定があります。
ハイオクが発火しにくい理由としては、燃費や出力を求めるために圧縮比が高くなっているエンジンの場合に、エンジン自体が高温になった際に自然発火(失火、またはノッキングと言います。)することを防ぐため。
そのため、ハイオクガソリン使用が指定されている車にレギュラーガソリンを入れてしまうと、不調の原因となってしまう場合があるのです。
なお、ハイオクガソリンはエネルギー密度が高く、発火させるための爆発力が出力に繋がることもメリットとして存在するため、高出力なエンジンに使われる場合が多くあります。
また、ハイオクガソリンは爆発力が高いため、煤が溜まりにくい特性があり、エンジン内部の洗浄能力が高いとされています。
各石油会社はオクタン価を上げるために添加材を入れていますが、石油会社により成分が異なるため、燃料の特性や洗浄能力が変わってきます。
メーカーから指定されているガソリンを使用することはトラブル防止のために必要不可欠ですが、燃費の向上や出力アップなどを目的とした、その車の特性に合った石油会社の燃料を探し出すのも1つの楽しみ方かもしれません。
バイオガソリンってなに?
最近スタンドなどで良く耳にするバイオガソリンとは、いったいどのような物なのでしょうか。
バイオガソリンは、バイオETBEが1%以上配合されたガソリンと規定されています。
バイオETBEは、サトウキビやトウモロコシのような植物から生成されたエタノールにイソブテンと呼ばれる石油系のガスを合成したものと言われています。
バイオガソリンのメリットは原材料が植物のため、二酸化炭素排出の軽減で、現代の環境問題に対応したガソリンと言えるでしょう。
特殊な燃料
自動車は様々な燃料で動いています。
ここでは、レースなどで使われている特殊な燃料や、タクシーなどで使われている身近な燃料など、少し変わった燃料をご紹介します。
レース用燃料
コンマ1秒を争うタイムアタックや、D1、ドラッグレースなどのモータースポーツには、レース専用のガソリンが使われている場合があります。
市販のガソリンよりもオクタン価が高くなっており、高出力が出せる様々な添加材が入っているといわれています。
なお、市販されているレース用ガソリンもありますが、実際に使われているガソリンの中身は公開されていないパターンも多いです。
メタノール燃料/バイオエタノール燃料
アメリカの最高峰のレース、インディカーシリーズで使用されていたメタノール燃料。
別名アルコール燃料ともいわれているメタノール燃料は、発熱量が低いため燃費が悪いという難点がありますが、オクタン価が高くガソリンやディーゼルより排出ガスがクリーンという利点があります。
なお、現在はバイオエタノールというトウモロコシやサトウキビなどの穀物を発酵させて製作した燃料と、ガソリンを混ぜたE85燃料を使用しています。
この85と言う数字は、バイオエタノール85%、ガソリン15%という配合比から決まっており、同様に90%の場合はE90など、名前が異なります。(※)
※E100に関しては、バイオエタノール97%+ガソリン3%
日本ではあまり見かけないこの燃料は、フレックスフューエルビークルという「ガソリンとエタノール」や「ガソリンとメタノール」など、燃料が混合していても走行が出来るように設計された車両専用の燃料です。
これは、穀物自体が安いことによる単価の引き下げや、環境に対する配慮によって未来の燃料として期待されており、インディカーは率先してこの燃料を使用しているのです。
LPガス
主にタクシーに使われているLPガスは、家庭でも使用されているのでご存じの方も多いのではないでしょうか。
他の燃料と比較しても、有害物質の排出が少なく、燃料費も安価なためタクシーや商用車などに多く用いられています。
環境と懐に優しくメリットの多いように見えるLPガスですが、ガススタンドが少ないことや、タクシーのように走行距離が多くない一般車の場合だと大幅なメリットにはならないこともあり、市販車への普及は難しいと言われています。
まとめ
ガソリンとディーゼルの違い、お分かり頂けましたか?
燃料がないと自動車は走ることができません。
環境や出力、燃料費などの様々な課題に対応するべく、様々な燃料が試行錯誤されてきました。
そして、これからも新たな燃料が産み出されていく可能性があります。
環境と懐に優しく、出力も維持できる新たな燃料の出現に期待したいですね。
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