高いドレスアップ効果が見込まれるイカリング型ヘッドランプ。最近はパーツメーカーから高精度なキットパーツとして販売されたり、一部モデルでは新車に搭載されたりもしています。しかし、「イカリングは車検に通らない」と言われることもあるため、不正改造なのかと心配になってしまいます。そこでイカリングは合法パーツなのか、装着する際の注意点や車検時の対策などを紹介します。
掲載日:2019.10/19
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新車時も付けられるイカリングなのに車検のときは非合法?
輪っか形の発光源がヘッドランプやフォグランプに装着されるようになったのは、ヘッドランプ周りのドレスアップ効果を高めるカスタムとして流行った事がきっかけで、BMWが新車時に採用したことでも話題となりました。
ちなみに、BMWは輪形の発光源を『コロナリング』と呼んでいます。
BMWが新しいモデルにコロナリングを積極的に採用したのは、E30型3シリーズから。
旧モデルで丸目片側2灯のヘッドランプを装着し、以降も二つのライトが立体的に見えようにヘッドランプを設計してきたことから、キドニーグリル同様にBMWのアイデンティティと呼べるポイントです。
日本で『イカリング』と称されるようになったのは、その名の通り揚げ物のイカリングのような形から。ほかにも『エンジェルアイ』『リングマーカー』とも呼ばれています。
なお、最新の3シリーズや5シリーズではコロナリングから6角形の『ヘキサゴン形状』にかわったことで話題となりました。
イカリング型ヘッドランプの種類
CCFL
CCFLは『Cold Cathode Fluorescent Lamp』の略記で、『冷陰極蛍光管』とも呼ばれます。
調光が非常に容易で、過去には液晶テレビやディスプレイのバックライトとしての実績も!!
スイッチONで管の内部側からジワーと光り出すのが特徴で、眩しすぎずヘッドライトと簡単に調和できまずが、専用のインバータが必要となり、寒さに弱い一面をもちます。
SMD
SMDは、『Surface Mount Device』の略記で、『表面実装部品』とも呼ばれます。
輪型に等間隔でLEDチップが貼り付けられ、インバーターが不要であるため加工が容易。
DC12Vのプラスとマイナスに配線をつなげるだけで光るため、配線の取り回しも簡単です。
LEDを使用するため、明るく長寿命というのも良い点ですが、あまりにも明るすぎでヘッドランプの脇役的な存在になれない一面があり、輪形に沿って点状に光るスタイルは、ドライバーの好みがわかれるところです。
COB
COBは、『Chip On Board』の略記で、『基板組立』とも呼ばれます。
CCFLとSMDと比べても、最も新しいイカリングです。
SMDと同じくLEDを使用しますが、SMDよりもLEDチップが小さく、LEDが限りなく連続的に輪形上を明るくします。
高輝度と放熱性能の両立を実現するために、SMDより強い明るさが実現可能ですが、単価もSMDに比べ高価で、専用のインバーターもセットで配線しないといけません。
それでも明るさの調整が簡単であったり、CCFLより長寿命というのも注目すべきメリットです。
車検を満たす条件とは
道路車両運送法のなかで、ヘッドランプの保安基準に関してイカリングを禁止する内容は記載されてません。
しかし、イカリングに関する特有の取決めもないため、イカリングを取り付けたからといって特別な措置が存在するわけでもなく、ノーマル時のヘッドランプと同等の保安基準を満たさなければなりません。
イカリングを装着した車両でも、車検を通すことは十分可能ですが、実は曖昧なグレーゾーンもいくつか存在するのです。
保安基準とグレーゾーンとは
道路車両運送法上、ヘッドランプの保安基準は以下のように定められます。
・夜間に前方300mの距離から点灯を確認できること
・光度は300cd以下
・照明部は15cm2以上
・光源が5W以上30W以下
・車幅灯の上方80°、下方15°、内側方向45°、外側方向80°の全位置から見通せること
・照明部の上縁の高さが地上2.1m以下、下縁が地上0.35m以上
・照明部の最外縁は自動車の最外側から400mm以内
・左右2個または4個
・色は平成17年12月31日以前に登録された車両は白色、淡黄色または橙色でその全てが同一であること。
また平成18年1月1日以降に登録された車両であれば白色のみ。
しかし、方向指示器と一体のものは橙色でもOK
このなかでイカリングは左右2個または4個までとされていますが、片方に3個ずつ装着した6連イカリングにしている車両も存在し、6連イカリングとなったヘッドランプが普通に販売されています。
その事実についてはさまざまな意見が飛び交っており、車検非対応を前提としつつもとある陸運局では車検に通ったという話も一部でみられます。
また、新車の時点で片方のヘッドランプが3つのプロジェクターまたはヘッドランプバルブで構成され6つのイカリングが装着されたモデルもありますが、メーカーがその仕様で国土交通省に届出しているため、車検時も問題ないとされる意見もあります。
となれば、実際に日産 フーガやトヨタ マークX、レクサス LS600hといった片側3灯ヘッドランプであれば合法となるはず。
しかし、これらのモデルで6つのイカリングを装着してユーザー車検に挑んでも、4個ではないから不合格になったという体験談も見られます。
このあたりがグレーゾーンであるため、車検を確実に合格させたいのであれば保安基準に則り、4個のイカリングに収めることをおすすめします。
ディーラーだと断れる可能性大!判断は検査員次第
車検時には、ヘッドランプの光量や光軸はヘッドライトテスターと呼ばれる機械で測定されます。
一方で、ヘッドライトのロービームやハービーム、スモールランプ、車幅灯、ウインカーなどの動作確認や部品に不備がないかは検査員の目測で確認されます。
そのため、ディーラーや指定整備工場など、自社で車検を通すことができるところでは、イカリング装着車の車検を依頼してもその場で断られることがあります。
これは、担当する検査員が怪しいと感じたり判断に不安材料があったりすると、車検を通した場合の責任が負えなため、断られるか、イカリングを外して車検だけ通し、そのままクルマを返却するという判断です。
こうなると、別の認証整備工場に依頼して陸運局で車検を通してもらうか、自ら陸運局へ出向いてユーザー車検を行うしか方法はありません。
陸運局であれば、イカリングを付けているだけで不合格にすることはほぼあり得ませんが、その分イカリングに不良がないか、保安基準を満たしているかをしっかりと検査員が確認します。
陸運局の検査員は一日に何台ものクルマを公平に検査するプロであるため、誤魔化しはききません。
そのため、しっかりと保安基準を満たすよう取り付けましょう。
まとめ
イカリングの取り付けは極端に難しい内容ではありませんが、ヘッドランプを取り外してイカリングを装着し、配線を繋ぎなおすなど、工程はたくさんあります。
やり方は、Motorzユーチューブチャンネルにも出演しているレッドさんが詳しく説明しているので、是非参考にしてください。
イカリングが車検に適合するかどうかは曖昧で難しい部分がありますが、ヘッドランプがより立体的で存在感のあるドレスアップに是非挑戦してみてはいかがでしょうか。
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