ベクタリングコントロールといえば、通常は車線変更時などに左右駆動輪へのトルク配分をセンターデフで制御して、車体姿勢を安定させるシステムです。しかしマツダのG-ベクタリングコントロールは、左右輪のトルク分配ではなくエンジンから発生するトルクをコントロールして、車体姿勢を安定させる仕組みとなっています。
掲載日:2019.9/29
G-ベクタリングコントロールとは?
マツダがSKYACTIVテクノロジーの一環として採用する、「G-ベクタリングコントロール」は、どのような技術なのでしょうか。
「G-ベクタリングコントロール」は、マツダが長年追求してきた「人馬一体」を高次元に引き上げ、運転技量にかかわらず誰でも「Zoom-Zoom」で快適なドライビングエクスペリエンスを実現するために開発されました。
運転技量に関係なく高次元領域で、思いのままに操ることができる車両となれば、いざという時の緊急回避や安全運転にも貢献します。
また近年プレミアム志向の強いマツダ車を出来の良いクルマに仕上げることで、そのプレミアム性を一層向上させる狙いもうかがえます。
G-ベクタリングコントロールの仕組みと効果
「G-ベクタリングコントロール」のGとは、Gravity(重力)のことを示します。
走行中の車にかかるGを、ハンドルの舵角によりエンジンが出力するトルクを制御することでコントロールし、優れた操縦安定性と快適性を実現しました。
走行中の自動車は、ブレーキング時には前方向に加速時には後ろ方向に、コーナリング中にはコーナー中心点に向かってGがかかります。
従来の自動車はアクセル、ブレーキ、ハンドリングによって、それらの各Gを知らず知らずのうちにコントロールしているため、運転者の技量により車の安全性や快適性が左右されます。
なぜなら、人間の操作は大雑把だからです。
そのため、コーナリング中や濡れた路面の上では簡単に車両姿勢を崩してしまい、同乗者の身体は前後左右に揺さぶられ、車酔いの一因となることも。
しかし「G-ベクタリングコントロール」の制御は非常に緻密で、そのコントロールは0.01Gほど。
しかも人間では感知できない速さでコントロールを行うため、運転者や同乗者には快適で安全な印象しか残らないのです。
コーナリング時にはエンジントルクを減少させ、ブレーキング時と同様に前方向へのGを発生させて横Gを安全なレベルとなるようコントロールします。
そしてコーナーを抜けると、ハンドルを正位置に戻すため、エンジンのトルクは復活し、後ろ方向へのGが発生し加速体制に入るのです。
制御が緻密であるため、運転者からすると、いつもの運転でも「G-ベクタリングコントロール」搭載車を乗りやすい車だと感じ、乗車姿勢が安定するため同乗者には快適で疲れにくく車酔いしないと喜ばれる結果となるのです。
進化したG-ベクタリングコントロールプラスとは
2018年10月にCX-5とCX-8がマイナーチェンジされ、「G-ベクタリングコントロール」が「G-ベクタリングコントロールプラス」に進化しました。
「G-ベクタリングコントロールプラス」には、さらに駆動輪の左右トルク分配制御が加えられ、コーナリングを積極的かつ安全に行える車に仕上がっています。
具体的に言うと、昨今社会問題となっている煽り運転や道路上の落下物に遭遇した際には、急なハンドリングを行ってもより限界値の高い安全性が期待できるのです。
またスリップするような路面でのハンドリングでも、車両姿勢を乱だすことなく安定します。
まとめ
「G-ベクタリングコントロール」は、ハンドリングの舵角によってエンジントルクを制御し、車にかかるGを利用して快適で運転しやすい車に仕上げる技術です。
いかにすごい技術なのかは、実際に「G-ベクタリングコントロール」搭載車に試乗してみると良いでしょう。
筆者が惚れ込んだ自然な姿勢保持と快適性に、みなさんも驚かれると思います。
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