1955年に登場したシトロエン DSは、デザインや乗り心地の良さから1975年まで生産され続けたベストセラーモデルです。このDSの名を冠したシトロエン DS3が販売されたことで、DSは高級ブランドとして確立。2014年に独立したブランド、DSオートモビルとして生まれ変わりました。今回はこのDSブランド発祥の歴史を辿っていきます。
はじまりはシトロエン・DS
1955年、シトロエンから1台の高級車、DSが発売されました。
このシトロエン DSは空力性能を重視した宇宙船のような独特のデザインと、パワーステアリング、ブレーキ、エア・サスペンション機構などに油圧動力を採用するという、当時としては斬新なシステムが組み込まれています。
シトロエン DSはこれらの装備によって良質な乗り心地と安定性を実現し、1970年代まで生産され続けるほどの大ヒット車種となりました。
その乗り心地の良さや画期的なシステムは、1999年に全世界の自動車評論家等の意見を反映した「20世紀の名車ランキング」では、1位のフォードモデルT、2位のミニに続いて3位にランクインしたほどです。
まさにシトロエンの名車と言えるDSでしたが、生産終了から長らく「DS」の名を冠する高級車は販売されていませんでした。
しかし2009年にシトロエンから1台の車が発表されたことにより、DSの名は再び世界に広まることになるのです。
2009年、シトロエン・DS3発表
2009年の2月にジュネーブモーターショーで発表されたDS3は、初代DSに続くDSの名を冠した高級車として発表されました。
このDS3の特徴は、初代DSをモチーフとした「フローディングルーフ」と呼ばれるルーフとカラーカスタマイズ要素が取り入れられていたことにあります。
フローディングルーフは“ルーフが浮いているように見える”デザインであり、ボディやルーフなどのカラーを自由に組み合わせられることと併せて、ユーザーが世界で唯一のDS3を作ることを可能としました。
その後もDS4、DS5とDSの名を冠した車は次々と発表され、やがて2014年には「DSオートモビル」という独立したブランドとして成立したのです。
まとめ
シトロエン DSから始まったDSブランドは、現在も初代DSと同様に“最先端の技術を取り入れた高級車を製造するブランド”として存在しています。
独立したブランドとしての確立が2014年からなので、ユーザーにとっては非常に新しいメーカーだとも言えますが、実は長い歴史があったのです。