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古今東西、世界には様々なサーキットがありますが、歴史あるサーキットのほとんどが安全性確保の目的でコース改修・レイアウト変更を経て現在に至っています。その昔、モータースポーツ黎明期のコースの多くは、今では考えられないような危険と刺激に溢れていました。走れと言われたら絶対に断りたい、そんな恐ろしくも魅力的な世界の旧コース巡り。その代表的なトラックをいくつかご紹介致します。

出典:http://www.x20wheels.com/
ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/
世界でもっともポピュラーな”現役”旧コースといえば、このニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ。
1984年に新設されたGPコースは近代的なパーマネントサーキットで何度かレイアウト変更が行われてきましたが、北コースとされている全長20.832kmを誇る通称「Green Hell ”緑の地獄”」は1927年の創業時から大幅なレイアウトの改修がほとんど行われていません。

出典:http://cmsracing.com/
コース建設にあたってはタルガ・フローリオで用いられる公道コースがモチーフにされたと言われています。
最大高低差300メートル超、173のコーナーが猛烈なアップダウンと共に襲い来る上、そのほとんどが中・高速コーナー。
本当に公道ほどしかない道幅の狭さに、もはや狂気を感じます。
こんなところをレーシングスピードで駆け抜けるなど正気の沙汰とは思えません。
こちらの動画、脇阪寿一氏の絶妙なコース解説もさることながら、ジャンピングスポットや激しいアップダウンを疑似体験できる興味深い映像です。
Lexus LFAのサウンドもレスポンス良く響き渡ります。
そう、ニュルといえば、その険しさ故に各メーカーが新型車の開発テストを行うことでも知られています。
ニュルでマシンを鍛え上げることは想像を絶する苦行でしょうが、今やこのニュルでの走りが性能的ベンチマークになっており、スポーツカーを名乗るならば”避けては通れぬ道”になっています。

出典:http://www.foxsports.com/
そんな伝説のコースながら、一周27ユーロ(およそ3000円)で普通免許さえあれば一般車での走行も可能というあたり、歴史古くモータースポーツへの敷居の低いドイツに嫉妬心を抱いてしまいます…。
ジム感覚で、仕事帰りのニュル1周とは、なんと贅沢なのでしょうか。
アウトドーロモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァ
世界で3番目に古いサーキットで、創業は実に1922年。
F1が開始される前には既に存在していた歴史あるこのモンツァですが、かつてはバンクを備えたオーバルとしても利用出来るレイアウトになっていました。

出典:http://www.rachf1.com/
ホームストレート部分を共用することで、8の字を描くように交互にロードコースとバンクを走る不思議なレイアウトだった模様。
その後いくつかの改修を経て、F1でも1961年までバンクを用いたレイアウトが使用されました。
1966年の映画「グラン・プリ」では、奇跡的な画質でバンク使用当時の鬼気迫る映像を見ることが出来ます。
命懸けとしか言いようのない、本物のスリルを味わってみましょう…なんという角度!!

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/
実はそのトラックのほとんどがまだ残されており、走行こそ出来ないものの当時を偲ぶことが出来ます。
緑豊かな国立公園にそびえる古いバンクは、まるで森に眠る古代遺跡のようです。
ホッケンハイム ・リンク

出典:http://static.sportskeeda.com/
ニュルブルクリンクと並びF1ドイツGPの舞台として知られるグランプリコース。
現在は中・低速コーナーを主体にしたテクニカルなコースレイアウトで知られていますが、2001年まではF1随一の超高速ロングコースでした。

出典:http://www.f1fanatic.co.uk/
1932年の開業当初は1周12キロの長大なコースでしたが、幾度かの改修を経て1966年からのレイアウトが現在にも通じるベースとなっています。
1968年、高速セクションでの英雄ジム・クラークの事故死を機に、2つのシケインが設けられ、更にその後の1980年にもパトリック・デパイユの死亡事故によりシケインが追加。
3つのシケインを設置されても尚スピードレンジは非常に高く、90年代のF1の場合、最高速度は実に360キロを超えていました。
そんな恐るべきオールドコースを荒法師ナイジェル・マンセルがアタックする動画がございましたので、どうぞ。特にシケインへのスリリングなブレーキングが鳥肌モノです。
2002年のヘルマン・ティルケ設計による大改修をもってコース長は2キロ以上短縮され、スタジアムセクションを中心とした近代的な現コースとなります。
旧コースはほとんどの箇所の舗装も剥がされ、今は森に帰ろうとしている模様。

出典:http://www.schuerkamp.de/
…想像以上に森でした…ドイツの美しい自然ですね。使わないものは土に返す。というこの潔さです。
まとめ
魅惑のオールドコースめぐり、いかがでしたでしょうか。
モンツァとホッケンハイムの旧コースがとうの昔に廃止され、走行出来ないことを考えると、建設から100年近く現役でいるニュルブルクリンク・北コースって、走れるのが奇跡です。
もはや世界遺産でもいいんじゃないか…と思えてくるのでした。

出典:http://www.pistonheads.com/
名前すら残らず廃止されたオールドコースなど、他にもモータースポーツ遺跡は世界中に眠っています。
つわものどもが夢の跡、次回のオールドコース巡りもどうぞお楽しみに!
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