あの時欲しくてたまらなかった限定車、ほとんど市場に出回っていないはずのホモロゲマシン…。中古車情報を見ていると、時々心躍るレアカーに出会える事があります。今回は、買えるかどうかは別として、そんな素敵なレアグレード車をまとめてご紹介。そこまで派手ではないけれど、分かる人には分かる…よだれが出そうなクルマたちです。
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トヨタ セリカ2.0 GT-FOUR WRC仕様車
1993年にデビューを飾った6代目セリカ(ST205型)には、世界ラリー選手権(WRC)へ向けたホモロゲーションモデルが用意されていました。
当時のWRCで導入されていたグループA規程では、市販状態からの改造範囲が極度に絞られていた為、レーススペックに近い仕様を持つ限定車を作っておく必要があったのです。
その名も「WRC仕様車」と呼ばれるこのモデルには、GT-FOURに搭載される「3S-GTE型」ターボユニットにアンチラグシステム(法令上、市販状態では作動しない)、ウォーターインジェクション、大型リアスポイラーなど、ラリーで必要とされる装備を諸々追加。
限定わずか2100台しか生産されておらず、中古で程度が良い個体はレアな存在になりつつある様です。
この辺りの年式のスポーツカーはいずれも、フルノーマルの価値がぐんぐんと上がってきています。
トヨタ スープラ ターボA
「TOYOTA 3000GT」というキャッチコピーで、トヨタの新たなフラッグシップとしてデビューした「スープラ」。
国内では初代となる通称「70系」は2.0L SOHCから2.5Lツインターボまで、多様なグレードが存在することも特徴です。
その中でも最もスパルタンで、最もレアなのが、「ターボA」と呼ばれるモデル。その名が示す通り、グループAのホモロゲーション取得を目的に数量限定で販売されていました。
外観の特徴としては、フロントバンパーに追加ダクト(通称ターボAダクト)を備える他、ホイール・内装ともにすべてブラックで統一。
デジタルメーターが標準だった当時のスープラですが、ターボAにはスパルタンなアナログメーターが採用されています。
そして最大の魅力といえるエンジンは、3.0L直6の「7M-GTEU」にハードチューンに耐える専用ターボチャージャー「ターボAタービン」を装備、ノーマル比プラス30馬力を余裕をもって達成しているのです。
日産 スカイラインGT-R V-spec N1(R34)
電子制御4WDと屈強な直6ターボエンジン「RB26DETT」により、サーキットでも最強を誇った第2世代スカイラインGT-R。
なかでも、グループAより改造範囲の狭いN1耐久レース(スーパー耐久)では、ベースのポテンシャルがズバ抜けていた事もあり、上位カテゴリーはほぼGT-Rのワンメイク状態となっていました。
そういった中、1998年には最新型となる「BNR34型」が登場し、同時にN1レース参戦用のベースグレード「V-spec N1」がひっそりと販売されていました。
基本は上位モデルであるV-specをベースとしつつも、ブロックが強化されたN1専用エンジン、メタルタービンやオイルクーラーの採用に加え、エアコンやオーディオといった快適装備を持たない、極めてスパルタンなモデルとなっています。
そもそも競技以外の目的で購入されたケースはほとんど無いにも関わらず、極稀にノーマルが中古市場に出現する様です。
スズキ アルトワークスR
軽スポーツを代表する名作「アルトワークス」ですが、かつては競技仕様車が受注販売されていました。
その名も「アルトワークスR」。
1992年に、3代目アルトワークスのグレードのひとつとして登場したこのクルマには、ほぼ”スズキワークスチューン”と言える様なチューニングが施されています。
660ccの「F6A型」DOHCターボユニットにクロスミッション、専用ハイカムや大型インタークーラーなどを標準装備し、アンダーコートの排除や、エアコン・パワーウィンドウレスなどで徹底して軽量化。
カタログ上の表記はノーマルと同じ64psのままでしたが、ちょっとブーストを上げるだけで100馬力越えは余裕、という凄まじい戦闘力を持ったエンジンでした。
そのパフォーマンスを物語るものとして、当時のライトチューンで筑波サーキット1分6秒台(ランエボ並)という記録を残しています。
生産台数は100台に満たないと言われており、その速さから今尚「最強Kカー」の名を欲しいままにする、唯一無二のレア車なのです。
その後1995年にも4代目アルトワークスをベースに、競技仕様車ワークスRが登場。
先代と同じように、ベースから大幅にチューニングされているこの車両は、現在でも「軽自動車最速なのではないか?」と議論が巻き起こるほどのモンスターマシン。
エンジンはK6A型を採用し、鍛造ピストンやハイカム、ハイフロータービンなど、徹底したワークスチューンが行われ、カタログ値こそ64馬力ですが、実際は80馬力程度は間違いなく出ていたのではないかと言われています。
なお、最終型はボンネット上に備え付けられた巨大なエアスクープが非常に特徴的で、見た目からもそのポテンシャルの高さをひしひしと感じることができる一台です。
スバル インプレッサ 22B
WRCにおいて、1995年から1997年までマニュファクチャラーズ3連覇を達成したスバル。
1998年にその記念モデルとして「インプレッサ 22B STI バージョン」を400台限定で販売しました。
エクステリアは当時のWRカーを完全再現したもので、2ドアモデルの「Type R」をベースとしつつも、前後ブリスターフェンダーと専用フロントバンパーにより、その印象は大きく異なったものとなっています。
エンジンにはグレード名の”22B”が示す通り、2.0Lから2.2LへとボアアップされたEJ22改ターボユニットを搭載。
これにより、280馬力の出力はそのままに、ボクサーエンジンの欠点である低中速トルクを補うことに成功しています。
パワーアップに合わせて駆動系も強化されており、一部パーツの材質変更に加え、各ギアにはハードショット(無数の金属球をぶつけることで素材を硬化させる処理)を実施。
足回りにもビルシュタイン製ダンパー、アイバッハ製スプリングが装着されるなど、こだわりが詰め込まれています。
中古でもすでにプレミアが付いており、当時の販売価格500万円をはるかに超えるプライスが付くことが多い様です。
(ご参考に、2017年7月時点で走行22万キロの個体が中古販売価格750万円ほど)
まとめ
人は誰でも「限定」という言葉に弱いものです。
しかしクルマの場合、買い替えのタイミングや資金の事情で、発売時に購入に踏み切れる人々はほんの一握り。
中古でこういったクルマが買えそうな値段で出現すると、思わず脳内購入シミュレーションが始まってしまうのは、おそらく筆者だけではないはずです…。
今回ご紹介したレア車に限らず、90年代後半のクルマも発売から20年以上が経過している今。
現実的な値段で程度の良い個体を買えるのは、今がラストチャンスかもしれません。
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