埼玉県比企郡にあるアドミクスは2008年に創立し、今年でちょうど10周年を迎えるR32GT-Rを得意とするチューニングショップです。Attack筑波などの走行会で活躍しているseyamax氏や朝霞の種馬氏のR32GT-Rをサポートしていることでも有名な同ショップで、代表の本嶋さんにGT-Rについて話を聞いてみると、取材担当のイメージとは裏腹に意外な回答が多く、驚きの展開となりました。

 

©︎Motorz

 

アドミクス流の”チューニング”

 

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今回話を伺ったアドミクスを率いる本嶋 光晴さんは、R32GT-Rに魅せられてこの業界にやってきたメカニックのひとりです。

元々は老舗チューニングパーツメーカーJUNオートメカニックの出身で、同ショップではエンジン加工などの技術を磨きました。

その後GT-Rのチューニングで有名な長野の老舗『オーテックツカダ』の埼玉店の店長を任されることになり、2008年に独立。アドミクスを立ち上げます。

そんな本嶋さんが考えるGT-Rの魅力について聞いてみると、『懐の深さ』との回答が。

“走る・曲がる・止まる”が成り立って初めて”クルマ”だと話す本嶋さんは、その点でGT-Rは全てが高い次元で完成されているので、例えばエンジンだけとか、足回りだけに特化してチューニングしたとしても楽しめる車種だと言います。

そして、ドラッグからサーキットまで幅広いフィールドでGT-Rというクルマが活躍している理由は、”懐の深さ”。

クルマの三要素(”走る・曲がる・止まる”)が集約されているのがサーキットという場であることから、「やっぱりサーキットに特化するべきだな。」と再認識したそうです。

そんなアドミクスの考える”チューニング”とは非常にシンプルで、そのマシンが本来持つ機能を向上させること。

「決してファッションではなく、動力性能の向上だけを目標に行われるべき行為だ。」という硬派なものなのでした。

そういう意味でもGT-Rというクルマは、あれやこれやと手を加えるための懐があるモデルだそうです。

 

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「GT-Rは全然速くないんです。」

 

こちらはAttack筑波で有名な『朝霞の種馬号』。 / ©️Motorz

 

「いやいや。そんなことは、あるまい!」と、これを読んでいるほとんどの方は思ったかもしれません。

取材に行った筆者も、まさに同じことを思いました。

しかし、アドミクスがタイムアタックにチャレンジしている筑波サーキットのような小さいサーキットにおいては、やはりランサーなどの車種の方が速いのも事実。

当然、そのタイムに少しでも近づけるよう尽力している本嶋さんの口から出た発言であることは、念頭に置いておいて欲しいのですが、要するにこの発言の本意としては「ランサーなどの他の車種は”懐が狭い”。」ということなのです。

それはこれ以上、施しようが無いほどカリカリにチューニングされているということ。

その点でGT-Rには、まだまだ手を加えられる点があると考えており、”究極のGT-R”には至っていないそうです。

「チューニングの醍醐味のひとつとして、自分でクルマを作って自分で乗る。というものがあると思うんですよね。」

つまりはアドミクスの手がけるGT-Rはもっと速くなる余地があり、まだその通過点の途中だ!ということなのです。

「オーナーさんも普通の会社員ですから、一気にドカッと車両を仕上げるとなると金銭的に苦しい部分もあります。

オーナー専用のセッティングを作り込みつつ、ドライビングスキルも磨き上げ、クルマと一緒に成長していく。

これが、サーキットでタイムアタックしていく醍醐味です。」

本嶋さんには、GT-Rがもっと速いスピードで筑波を駆けていく姿が見えているのかもしれません。

だからこそ出た一言が「GT-Rは全然速くないんです。」だったのです。

 

RB26エンジンは設計が古く、追加工の余地があるため、ショップの腕の見せどころなのだとか。 / ©︎Motorz

それでも”GT-R”が特別な理由

 

今回お話を伺った本嶋さんは主にエンジンを担当(左)。足回りやボディワークを担当しているのは山本さん(右)。/©︎Motorz

 

R32GT-Rを特別な存在にしているのも、やはり『懐の深さ』であると本嶋さんは語ります。

「僕たち機械イジりする側の人間としても、やはり手の加える余地が残っているという部分では非常にやりがいを感じます。」

「また、オーナーさんにとってもその懐の深さから、色々な遊び方に対応してくれるので、本当に色んな方に愛されている車種ですよね。

レースでの連勝記録もありますし、まさに伝説的な車種というか。」

20年間GT-Rと付き合っている本嶋さんから見ても、GT-Rオーナーは本当にそのクルマを愛していて、何かあっても廃車にする方は少なく、長く深く付き合っている方が多いそうです。

「例えノーマルでも、バリバリに手を加えていても、オーナーにとってそれぞれが大切な愛車であって、どれだけ手を加えたかではないんですよ。

それって指輪の値段は違っても、愛する気持ちは変わらないのと同じですよね。」

GT-Rに対する特別な想いを語ってくれた本嶋さんは、サーキットで1分1秒を争っている時とは全く違う、とても穏やかな表情を見せてくれました。

 

ショップ情報

 

©︎Motorz

 

住所:〒350-0142 埼玉県比企郡川島町上大屋敷403

営業時間:10:00~20:00

TEL:049-299-1771

FAX:049-299-1772

E-mail:ad-mix@flute.ocn.ne.jp

URL:http://www.admix-racing.com/

 

まとめ

 

アドミクスオリジナルの螺旋ファンネルは、溝を彫ることで空気の通り道を長くし、吸入効率を上昇させる狙いがあります。装着の際には実際にキャブの再調整が必要とのこと。/ ©︎Motorz

 

今回は、究極のGT-Rを目指してチューニングを続けている『アドミクス』の本嶋さんに話を伺ってきました。

基本はチューニングメニューがメインのショップですが、唯一のオリジナルパーツがソレックス用の『螺旋ファンネル』です。

この、空気の吸入効率を上げる為に螺旋状に掘られた溝は、アルミの削り出しの逸品。

こちらはワンオフ物の金属加工を得意としていて、知人でもある川越市の『熊倉精機』さんにて製作されているものだそうで、バイク用のファンネルも製造している同社で、クルマ用のファンネルも作ってみないか?と提案して実現したアイテムだそうです。

チューニングメニューに関しては、

「GT-Rに限らず、本気でやりたいことがある方には全力でサポートします!」

という事なので、走りに対するチューニングでお困りの方は、是非訪ねてみてはいかがでしょうか。

 

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