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中古車を購入する際に、必ずチェックしておきたいのが、点検整備記録簿の有無です。点検整備記録簿とは、その名の通り、以前行った整備内容を示す書類で、キチンとメンテナンスされてきたかを見分ける重要な書類となります。点検整備記録簿の詳細や、有無によるメリット・デメリットを紹介していきましょう。

出典:写真AC
点検整備記録簿とは

指定・認定工場が作成できる分解整備記録簿写 / 出典:国土交通省

ユーザー車検時に作成する点検整備記録 / 出典:国土交通省
点検整備記録簿(以下:記録簿)は、クルマの点検や修理、メンテナンスなどの履歴が記載される書類で、中古車を購入する際に前オーナーがどの程度の整備やメンテナンスをしていたか、知ることができます。
記録簿は法定点検の12ヶ月点検と24ヶ月点検の2種類があり、ほかにも購入店の定期点検時に発行される3ヶ月点検、6ヶ月点検時に発行されるものもあります。
記録簿でわかること
記録簿でわかる情報として、整備やメンテナンスの『点検項目』が記載されており、対象車によって記録簿が異なるため、点検の項目数も異なります。
対象自動車(例示) | 定期点検の時期 | 点検項目数 |
---|---|---|
マイカー(自家用乗用車、軽自動車) | 1年ごと | 26項目 |
2年ごと | 56項目 | |
中小型トラック(自家用)、レンタカー(乗用車) | 6ヶ月ごと | 22項目 |
12ヶ月ごと | 82項目 | |
バス、トラック、タクシー(事業用) 大型トラック(自家用) レンタカー(乗用車以外) |
3ヶ月ごと | 50項目 |
12ヶ月ごと | 99項目 | |
被牽引自動車 | 3ヶ月ごと | 20項目 |
12ヶ月ごと | 33項目 | |
二輪自動車 | 1年ごと | 33項目 |
2年ごと | 51項目 |
他にも、記録簿を見れば『所有者(使用車の情報)』、『点検した整備工場』、『点検した整備主任の情報』などの情報がわかります。
記録簿が発行される時期は
記録簿が発行される場面は、ほとんどが車検時です。
また、指定工場と認証工場から発行される記録簿には『分解整備記録簿写』と書かれており、指定・認証工場では分解整備を行うことができます。
そのため、車検時に発行される記録簿には詳細な整備内容が記載される場合が多く、認証工場が運輸支局に持ち込んで車検を通す場合に検査員へ記録簿を提出しなければなりません。
ユーザー車検で運輸支局へクルマを持ち込んだ場合でも記録簿を提出しますが、この場合は分解整備が行えないため、指定・認証工場で発行される記録簿とは異なります。
点検整備記録簿を見るうえで重要なチェックポイントは

出典:写真AC
中古車を選ぶ際は、記録簿から以前の車検でクルマの様々な箇所がどのような状態だったのか、どのような部品を交換して整備をしたかをチェックすることが必須です。
そしてもうひとつ重要なのは、整備を行った事業場名、所在地、認証番号が記載されていることです。
これは、車検整備を実施した工場が指定工場なのか認証工場なのか知ることができ、指定・認証工場での車検を受けていることがわかると、信頼感が高くなるでしょう。
ちなみに、国から認証を受けていない整備工場は、運輸支局持ち込みで車検を通しますが、指定・認定工場のような分解整備記録簿の発行ができず、記録簿はユーザー車検と同じものを提出します。
このように、記録簿には整備項目やどこが車検時の点検整備をしたかが記載されるため、中古車の前オーナーが今まで整備にどれだけお金を掛けてきたかも把握することができるため、どれだけ大切にされてきたクルマなのか、予想することができるでしょう。
点検整備記録簿がない!その理由は

© Yuki Ikeda
記録簿は車検証のように必ずクルマに常備しなければならないわけではなく、大雑把にいえば記録簿を書かなければならない規定も存在しません。
記録簿無しで車検を通すことは可能ですが、その際は車検証の備考欄に『点検整備記録簿記載なし』と記入されます。
また、ユーザー車検では、『前検査』と呼ばれる車検を先に取ってしまい、クルマに不備があった場合は後日、点検整備をするやり方もありますが、前検査後の点検整備を行わないまま乗るユーザーも多く、問題視されています。
他にも、記録簿がなくなった理由として、前ユーザーの個人情報が載っているため、それを見られたくないからクルマを売却する際に記録簿を処分したことも考えられます。
悪質なのは、整備履歴を隠しで事故歴があるクルマであることを隠蔽したり、メーター戻しを隠すために処分した場合。
現在ではほとんど見られませんが、”そんなことは100%無い”とは言い切れません。
点検整備記録が必ずしも信頼できるものとは限らない

出典:写真AC
記録簿があるメリットは、そのクルマがどのような工場でどのような整備・メンテナンスが行われたかを確認できること。
一方で、ない場合のデメリットは、クルマにどのような整備・メンテナンスがおこなわれたのかを把握できず、中古車を購入した後になってから、メンテナンス不足による不具合が発生する恐れが高くなることです。
しかし、必ずしも記録簿そのものが信頼できる書類というわけでもありません。
記録簿はだれでも手に入れることができ、分解整備記録簿であれば指定・認証工場の整備士が記載しなければなりませんが、第三者がさも整備士が記載したように書いて隠蔽している可能性も考えられます。
また、ユーザー自身が単独で記録簿を作成したとしても、それではあまり意味がありません。
記録簿の『整備主任者の氏名』に書かれた人物も、本当にその人が書いたものか判断は難しいところ。
記録簿に記載されていない箇所があったり、雑な書き方をしている記録簿は、少し疑ったほうがいいかもしれません。
まとめ

出典:写真AC
必ずしも、記録簿がなければ信頼できない中古車ということはありません。
記録簿の有無を気にするのは人それぞれそれですが、正規に指定・認定工場から発行された記録簿があれば、中古車の信頼性は確実に向上します。
そのため、中古車の質を見極めるうえで記録簿の有無を重視することは、十分価値のあることなのです。
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