最近になってデイライトを装着するクルマが増えてきました。カスタムでデイライトを後付けしているクルマも見受けられます。しかし、デイライトに関する法改正が行われ、車検対応でのデイライトカスタムをするが難しくなりました。ここではそんなデイライトについて、解説します。
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デイライトが車検対応でなくなったってホント!?
近年、新発売のモデルやモデルチェンジがされた新型に、デイライトが装着しているモデルが続々と登場し、ヘッドランプ周りから見える光が、高級感とイマドキ感を演出しています。
デイライトにはドレスアップ効果が期待できるため、社外品のデイライトを後付けすることも可能ですが、デイライトに関する法改正が行われたことで取り決めが厳密化され、今まで合法だったデイライトが不適合で、次の車検に通らないなんてことも。
せっかくのドレスアップも安全基準を満たさなければ、事実上、公道走行不可になってしまうので、ここでは車検適応にするためのデイライト装着について詳解していきます。
デイライトとは
デイライトとは、昼間に車両の前照灯などを点灯させることで、日本語では昼間点灯(ちゅうかんてんとう)、英語ではDaytime Running Lamps(略してDRL)と呼ばれます。
昼間の走行でも、周囲に自車の存在を知らせる『被視認性』を目的とし、1970年代から北欧各国で装着されるようになり、1977年にスウェーデンで初めてデイライトの装着が義務化。
2011年2月以降から、EU全土で装着が義務となりました。
日本ではデイライト装着の義務化に関する法律はありませんが、運送用トラックなどの社用車や営業車には、デイライトの装着やスモールランプの点灯を行っているクルマも街中で見られます。
混乱を呼んだデイライト保安基準改正
欧州でデイライトの装着が義務化されても、日本でのデイライトは『その他灯火類』として扱われていたため、厳密にはデイライトという意味合いでの扱いではありませんでした。
しかし、2016年10月に改定された保安基準で、デイライトについて『昼間走行灯』として定められ、今まで合法だったデイライトも昼間走行灯に沿わないと車検に不適合となる恐れも出てきたのです。
導入直後の保安基準は『その他灯火類』における
日本にデイライト装着車が導入され始めた当時の保安基準となる『その他灯火類』(保安基準規程第42条)の規定では、ライトの色が赤色以外でないこと、光度が300cd(カンデラ)を超えていないことなどが挙げられました。
デイライトにおけるヨーロッパの義務は、明るさが400~1200cdと規定されていたため、輸入車はデイライトの明るさを日本仕様にしなければ車検を通すことができなかったのです。
しかし、今では国産車でもデイライトを装着するクルマが徐々に販売されるようになり、個人乗用車だけでなくタクシーやバスなどでは青色のデイライトを装着している車両をよく見かけます。
2016年10月に登場した保安基準・第124条『昼間走行灯』
2016年10月の保安基準改定では、第124条『昼間走行灯』が要件に追加され、デイライトに関して、以下のような基準が設けられました。
一 昼間走行灯の光度は、1440cd 以下であること。
二 昼間走行灯の照射光線は、他の交通を妨げないものであること。
三 昼間走行灯の灯光の色は、白色であること。
四 昼間走行灯は、灯器が損傷し、又はレンズ面が著しく汚損していないこと。
五 昼間走行灯は、レンズ取付部に緩み、がた等がないこと。
六 昼間走行灯の照明部の大きさは、25cm2以上 200cm2以下であること。
引用:国土交通省
これらの規定は欧州のDRL規格がベースになっていて、欧州車が日本へ輸入される際に、デイライトを日本仕様にチューニングする必要がなくなり、日本メーカーも国産使用と海外仕様でデイライトを作り替える必要がなくなりました。
しかし、保安基準の中には他にもヘッドライト、フォグランプなどを点灯しているときにデイライトを自動的に消灯しないといけなかったり、取付可能な個数や位置が厳密化され、改定前に使用できたデイライトのほとんどが、昼間走行灯に沿わないものとなっています。
そして、それまで人気だった青色に光るデイライトは改定後に姿を消し、後付けでデイライトを装着する車両も少なくなりました。
デイライトを後付けするには?
デイライトを昼間走行灯の保安基準に沿って取り付けるには、まずデイライトの個数は2個であること。
そして、取付位置はデイライトの下縁が地上から250mm以上、上縁が1,500mm以下で、ヘッドランプ上端よりも下に取り付けることです。
また、照明部の最内縁は車幅が1,300mm未満であれば400mm、1,300mmを超えるのであれば600mmの間隔をあけなければなりません。
もちろん、第124条に示されるように光度が1,440cd以下、光色が白色のみ、照明部の大きさが25cm2以上200cm2平方センチメートル以下を満たし、ヘッドランプ、フォグランプの点灯で自動的にデイライトが消灯するよう配線を組みなおさなければなりません。
また、保安基準に適合しているデイライトは『協定規則・第87号』に則って作らなければならず、規定を満たしてEマークを取得した商品であれば、純正部品でなくても昼間走行灯として認められることになります。
しかし、Eマークの取得は技術的に難しく、コストもかかるため、パーツメーカーとしてはデイライトの生産に踏み切りにくく、Eマーク取得のデイライトの商品数はまだまだ少ないのが現状です。
最終手段は『その他灯火類』であると主張
第124条『昼間走行灯』が制定されても、デイライトが必ずしも昼間走行灯でなければならないということはありません。
実はデイライトを『昼間走行灯』として扱うか『その他灯火類』として扱うかは、曖昧な部分があるのです。
そのため、装着しているデイライトが昼間走行灯の規定にクリアできなかったとしても、「このデイライトは『その他灯火類』に準じた保安基準適合品です」と主張して、車検をクリアすればいいこと。
この場合は『その他灯火類』の規定に沿ったものでなければなりませんが、昼間走行灯よりハードルは圧倒的に低くなります。
しかし、ディーラーや指定工場など自社の検査ラインで車検を通せるお店で断られることもあるため、陸運局に車両を持ち込む認証工場に依頼するか、ユーザー車検で対応すれば、改定前の後付けデイライトでも車検適合になるはずです。
まとめ
装着しているデイライトが『昼間走行灯』または『その他灯火類』のいずれにせよ、自車の存在を知らせる被視認性を目的としたものなら、十分安全性に寄与したパーツです。
ドレスアップ効果も見込めるため、カスタム好きとしては積極的に取り付けたいと思われますが、規定に反して明るすぎるなど、周りのクルマの走行の邪魔になるようなことがないように気を付けましょう。
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