トヨタは2001年までミドルクラスセダンをトヨペット店扱いの『コロナ』、トヨタ店扱いの『カリーナ』と2車種を並行してラインナップしてきましたが、両車のモデルチェンジを機にデザインが少々異なるものの、内容的にはほぼ統合されました。この時カリーナ後継として登場したのが、初代アリオンです。

 

初代トヨタ アリオン / 出典:https://www.favcars.com/pictures-toyota-allion-t240-2001-04-188542-800×600.htm

 

代々コロナよりスポーティだったカリーナの面影を受け継ぐ初代アリオン

 

初代トヨタ アリオン / 出典:https://www.favcars.com/toyota-allion-t240-2001-04-photos-65962-800×600.htm

 

2001年12月25日、T150型(8代目コロナ/4代目カリーナ)で完全に兄弟車になって以降、半年から1年数ヶ月でデビューしていたカリーナでしたが、改名して再出発したT240型では初めて両車同時のモデルチェンジとなりました。

そして、コロナ後継が11代目のサブネームを受け継ぐ『プレミオ』だったのに対し、カリーナ後継は7代目でも特にサブネームは無かったので、『アリオン』としてガラリと印象を変えてきます。

その後、既に1990年代中盤以降のセダン不振と、トヨタのセダン復権運動『セダンイノベーション』の空振りによってコロナとカリーナの役割は終わったと判断されたのか、アリオンはプレミオともども快適性や実用性を重視した新時代のミドルクラスセダンとして再出発したのです。

 

カリーナ時代同様、プレミオよりややスポーティさを重視した初代アリオン

 

初代トヨタ アリオン / Photo by Aadnan Zaman

 

兄弟車となって以降、ほぼ同じ車ながらボディサイズやラインナップの面でカリーナの方がやや安価でスポーティというポジションにありましたが、メカニズムやパッケージ面ではアリオン/プレミオは完全に統一されました。

2,700mmと先代車より大幅に延長されたホイールベースによる広い車内空間と高い快適性や走行安定性。

後席にダブルフォールディング機構を組み込み、トランクスルーを使えば長尺物の積載も容易とした実用性の高さ、それにエンジンラインナップや『上質と高性能』をキーワードにした開発テーマも共通です。

というように両者の差はほとんどありませんでしたが、唯一デザインのみ『落ち着きのある造形でプレステージ性を追求したプレミオ』に対し、アリオンはダイナミックな造形でスポーティさを追求したとされました。

そんな初代アリオンのデザインは重厚感あるプレミオとは異なり、シャープな造形のヘッドライトやバンパーによるスピード感あるフロントマスク、そして躍動感あるサイドビューとアッサリしていて軽快感あるリアビューなど、全体で見れば違いは明らか。

装備面やアフターパーツのラインナップで多少の差こそあれ、基本的にプレミオと同じ車ですが、デザインの差でプレミオより想定ユーザー層を若く考えるコンセプトは、2代目アリオン中期型まで続きました。

 

主なスペックと中古車相場

初代トヨタ アリオン /  出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60000074/

トヨタ AZT240 アリオン A20 2001年式

 

全長×全幅×全高(mm):4,550×1,695×1,470

ホイールベース(mm):2,700

車両重量(kg):1,240

エンジン仕様・型式:1AZ-FSE 水冷直列4気筒DOHC16バルブ

総排気量(cc):1,998

最高出力:112kw(152ps)/6,000rpm

最大トルク:200N・m(20.4kgm)/4,000rpm

トランスミッション:CVT

駆動方式:FF

中古車相場:23万~88万円

 

まとめ

 

初代トヨタ アリオン / 出典:https://www.favcars.com/images-toyota-allion-t240-2004-07-45866-800×600.htm

 

初代アリオンと初代プレミオの差は、末期のカリーナから引き続きデザインや装備内容の差が最たるものとなりましたが、そうする理由に両者の販売店における立ち位置があったのかもしれません。

プレミオはトヨペット店でマークII(後にマークX)に乗っていたユーザーが高齢化した後、『小さく落ち着いた車に乗ろう』という車だったと思われますが、アリオンはトヨタ店でクラウンに乗っているユーザーが子供や奥さんへ買い与える車というポジションだったように思えます。

ユーザーの世代交代を進めていたとはいえクラウンはまだまだ『トヨタユーザーの終着点』的な車だったのに対し、マークIIやマークXのユーザーにはクラウンへステップアップするか、最後はプレミオで落ち着くかと、まだ先がありました。

これが両車のキャラクター違いに繋がっていったと思われ、2000年代まではまだこうした価値観が有効だった事を感じさせます。

他にも「手頃な価格で貧乏臭くなく、独立トランクを持つ5ナンバーセダン」が数少なくなっていたため、初代アリオンはプレミオともども、2代目を作ろうと考える程度にはちょっとしたヒット作となりました。

 

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