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後にコロナの兄弟車としてほぼ同一車種になりますが、当初セリカとプラットフォームを共用し、コロナより俊敏でカローラよりパワフルな中間的スポーティセダンとして登場したのが初代カリーナです。いわばセリカの一般向け乗用バージョンといえる存在でもあり、『足のいいやつ、カリーナ』のキャッチコピーで人気を得ました。

初代トヨタ カリーナ4ドアセダン1600ST / © 1998-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION.
初代カリーナとは?

初代トヨタ カリーナ2ドアハードトップ / © 1998-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION.
1970年、同時に登場したセリカとプラットフォームを共有するミドルクラスセダンとしてデビューしたのが初代カリーナです。
ファミリーカーをベースに基本メカニズムは共有、スポーティなボディやエンジン、装備を与えた『スペシャリティカー』あるいは『ポニーカー』と呼ばれるジャンルの日本における草分け的存在がセリカでしたが、そのベース車であるカリーナの開発も同時進行していました。
そして当初はセリカのみだったスポーツ・ツインカムエンジン(1.6Lの2T-Gや2Lの18R-G)が後にカリーナにも搭載されるようになると、これもセリカ譲りのサスペンションチューニングから『足のいいやつ』というキャッチコピーで人気車種へ。
間に仕切りを設けた丸目4灯ヘッドライトや縦型テールランプなどメリハリあるデザインはコロナやカローラには無いスポーティなもので、両車の中間的な1.4~2リッター ミドルクラススポーツセダンとして、当時としては長い7年もの間製造されました。
ボディタイプとエンジンバリエーション

初代トヨタ カリーナ5ドアバン / 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60002376/
初代カリーナのボディバリエーションやエンジンバリエーションは以下になります。
【ボディバリエーション】
2ドアセダン(1970年12月発売)
4ドアセダン(同上)
2ドアハードトップ(1972年10月追加)
5ドアバン(1975年12月追加)
【エンジンバリエーション】
(初期)
2T-B / BR:1.6L直4OHV・当初のトップグレードエンジン。BRはレギュラー仕様
T:1.4L直4OHV:ベーシックグレード用(1975年10月のマイナーチェンジで廃止)
2T-G:1.6L直4DOHC・1600GT用として1971年4月追加。GRはレギュラー仕様。
(2000シリーズ1974年1月追加)
18R:2L直4OHV
18R-E:2L直4OHV EFI(電子制御燃料噴射)
18R-G:2L直4DOHC・2000GT用。GRはレギュラー仕様。
(環境対策エンジン)
19R:2L直4SOHC・TTC-V(CVCCのトヨタ版)仕様の環境対策エンジン。1975年1月追加。
16R-U:1.8L直4OHV・触媒仕様の環境対策エンジン。1977年10月追加。
12T:1.6L直4OHV・TTC-L(希薄燃焼)仕様の環境対策エンジン。1976年3月追加。
2T-U:1.8L直4OHV・TTC-C(酸化触媒)仕様の環境対策エンジン。1976年3月追加。
3T-U:2T-Uの1.8L版環境対策エンジン。1977年3月追加。
このように、1974年まではよりスポーティな2ドアハードトップや、『1600GT』『2000GT』といったスポーツエンジン搭載グレードの追加、そして基本的には大衆車でありながらフロアシフト5速MTの設定があったことで、スポーティな印象を高めています。
その一方で、1975年以降は段階的に強化されていく排ガス規制に対処するため、あらゆる方式を用いた泥縄的ともいえる対策を施したエンジンが追加され、排気量に対するパワーダウン、それに伴う小排気量グレードの廃止が相次ぎました。
しかし初代カリーナはコロナよりモデルライフが長かったので、同モデル内でエンジンを苦労しながら適合させていった様子がわかるとともに、1975年にはボディサイズ拡大と内装の一新、ライトバンの追加などビッグマイナーチェンジに近い改良が施されています。
足のいいやつカリーナ

初代トヨタ カリーナ / 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60002292/
初代カリーナといえば『足のいいやつ』というキャッチコピーが有名ですが、正確には1971年4月に2ドアセダン1600GTを追加後、1972年8月のマイナーチェンジから『足のいいやつ』が始まっています。
フロントがストラット独立懸架、リアが4リンクリジッド+コイルとサスペンション形式は保守的ながらセリカと同じで、同時期のコロナがフロント・ダブルウィッシュボーン、リア・4リンクリーフリジッドだったことに比べれば、走行性能や乗り心地は確かに上です。
ただし、素晴らしいサスペンションによる『足のいいやつ』が活きたのは前項でも解説した通り1974年までの短い期間で、それ以降は2代目途中までカタログスペックはともかく吹け上がりの良くないエンジンなどに悩まされる事に。
そして、なかなかキャッチコピー通りにいかない時代が続きましたが、どの国のどんなメーカーでも同じような状況が続いており、それゆえこの時期の車は排ガス対策と動力性能を両立したエンジンを搭載した車が登場すると早々に乗り換えられ、現存台数は多くありません。
主要スペックと中古車相場

初代トヨタ カリーナ4ドアセダン1600ST 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60002214/
トヨタ TA12 カリーナ 4ドアセダン1600ST 1970年式
全長×全幅×全高(mm):4,135×1,570×1,385
ホイールベース(mm):2,425
車両重量(kg):930
エンジン仕様・型式:2T-B 水冷直列4気筒OHV8バルブ
総排気量(cc):1,588
最高出力:105ps/6,000rpm(グロス値)
最大トルク:14.0kgm/4,200rpm(同上)
トランスミッション:5MT
駆動方式:FR
中古車相場:119万円(各型ほぼ流通無し)
まとめ
セリカのファミリーカー版、あるいはベース車とも言えるカリーナは、この初代から2代目まではコロナと明確に分けられており、似たようなジャンルのミドルクラス大衆車でも保守的なコロナ、スポーティで若々しいカリーナと区別されていました。
また、コロナよりはセリカに近い味付けでスポーツ路線を強調。
エンジンラインナップもセリカに合わせていましたが、折しも厳しい排ガス規制とオイルショックという試練にさらされ、その魅力を最大限に発揮できた期間が短かったのは惜しいところです。
カリーナが再びそのスポーツ性能をいかんなく発揮した3代目では既にコロナも兄弟車となっていたため、『足のいいやつ、カリーナらしさ』を感じるならば、初代の初期、1600GTが主力だった頃がオススメといえます。
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