FRの3代目(1981年発売)とFFの4代目(1984年発売)を併売していたカリーナですが、1988年5月のフルモデルチェンジでようやく全てを統合。サーフ(ステーションワゴン)やライトバンも含めた全てがFFに統一され、再出発しました。先行して1987年12月に同様のフルモデルチェンジを受けたコロナとは異なり、2リッタースポーツエンジン3S-GEを搭載しないなど、この代では兄弟車となったコロナから若干の差別化が行われています。

 

5代目トヨタ カリーナバン&カリーナサーフ / © TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

 

5代目は『コロナとカローラの中間』と明確な差別化が行われていた最後のカリーナ

 

5代目カリーナサーフ / © TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

トヨタによる大衆車のFR(フロントエンジン・後輪駆動)からFF(同・前輪駆動)への変更と、それに伴う車種整理はゆるやかに進行し、1988年5月に兄弟車コロナから半年遅れてモデルチェンジした5代目カリーナは、まだコロナと完全兄弟車になりきれていませんでした。

既にプラットフォームも型式も共通、全長こそ短いもののホイールベースや全幅・全高はすっかり同一でしたが、エンジンラインナップやボディタイプには差があり、コロナの方が少々上等というキャラクター付けがなされていたのです。

また、7代目コロナ(最後のFRコロナ)がコンフォートに統合されて1998年12月に販売終了するまで、タクシーや教習車用途に継続販売されていたのとは対照的に、このモデルチェンジで3代目FRカリーナは完全消滅することになりました。

そしてセダンのベーシックモデルとステーションワゴンのサーフ、そして商用登録のカリーナバンで継続販売されていた3代目と、FF化の手始めとして4ドアセダンのみ販売されていた4代目はここで統合され、4ドアセダン / サーフ / カリーナバンというラインナップへ。

コロナSFのような5ドアリフトバック車は設定されず、コロナより装飾が少ない、薄くシャープなデザインへと変わったのです。

いわば『コロナより1ランク下でカローラに近く、スポーティな足のいいやつカリーナ』はこの5代目まで健在でした。

 

ファミリーカー化でもこれだけは手放さない!スポーツグレードは4A-G搭載のGリミテッド

 

5代目カリーナバン / 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60002636A/

 

この代のカリーナがコロナと差別化されていたのはボディタイプだけではなく、エンジンラインナップも若干異なりました。

中でも最大のものが、コロナが『GT-R』グレードに残した2リッタースポーツツインカムの3S-GE搭載車がカリーナに設定されなかったことで、代わってトップグレードの『Gリミテッド』に搭載されたのは1.6リッタースポーツツインカムの4A-GEです。

さらに2リッターハイメカツインカムの3S-FEすら搭載されなかったので、カリーナの最大排気量ガソリンエンジンは1.8リッターとなって、排気量上限で言えば『2リッターのコロナ、1.8リッターのカリーナ、1.6リッターのカローラ』というピラミッドが完成。

しかもトヨタは1.8リッタースポーツツインカムを持たなかったので、スポーツグレードのエンジンはカリーナもカローラ / スプリンターも一緒の4A-GEでした。

その後1989年8月のマイナーチェンジで4A-GEはレギュラーガソリン仕様からハイオクガソリン仕様になって20馬力もパワーアップしますが、それはカローラ / スプリンターも同様だったので、どうしてもコロナより格下に止められた感があります。

結局、エンジンラインナップは当初の燃料供給装置にセントラルインジェクションやキャブレターを残しつつカリーナバン以外はDOHC16バルブ化、後にやはりバン以外マルチポイントインジェクションEFI化された以下のようなラインナップとなります。

1.8リッターガソリン:ハイメカツインカム4S-Fi(後に4S-FE)。セダンおよびサーフ。

1.6リッターガソリン(1):スポーツツインカム4A-GE(当初レギュラー仕様120馬力、後にハイオク仕様140馬力)。セダンのみ。

1.6リッターガソリン(2):ハイメカツインカム4A-FE。セダンのみ(FF車のみ後にハイカムハイパワー仕様4A-FHEへ変更)

1.5リッターガソリン(1):ハイメカツインカム5A-F(後に5A-FE)。セダンおよびサーフ。

1.5リッターガソリン(2):SOHCエンジン3E。カリーナバンのみ。

2リッターディーゼル:2C。当初セダンとバンのみ、後にサーフにも搭載

なお、次代の6代目ではサーフとカリーナバンはカルディナ / カルディナバンに統合されたので、ステーションワゴン / ライトバンの設定された最後のカリーナとなりました。

 

主なスペックと中古車相場

 

5代目カリーナセダン / 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60002628/

 

トヨタ AT171 カリーナ セダンGリミテッド 1988年式

全長×全幅×全高(mm):4,380×1,690×1,370

ホイールベース(mm):2,525

車両重量(kg):1,090

エンジン仕様・型式:4A-GE 水冷直列4気筒DOHC16バルブ レギュラーガソリン仕様

総排気量(cc):1,587

最高出力:88kw(120ps)/6,600rpm

最大トルク:142N・m(14.5kgm)/5,200rpm

トランスミッション:5MT

駆動方式:FF

中古車相場:69万円

 

まとめ

 

5代目カリーナバン / 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60002636A/

 

コロナとの差別化による動力性能の相対的低下で、『コロナとカローラの中間で何となくファミリーセダンっぽい』というポジションまで降りてきたのが5代目カリーナでした。

しかし、販売していたトヨタ店では新世代のスポーツセダン、4ドアピラーレスハードトップのカリーナED(初代1985年発売)が他社フォロワーを生むほどの大ヒットとなっていたので、もはやカリーナにスポーツセダンとしてのキャラを求める必要は無かったのです。

それでも4A-GE搭載グレードを残したことを思うと、『足のいいやつ、カリーナ』の伝統によるカリーナ指名買い客はいたと思われます。

実際、筆者の実家の近所には、この5代目カリーナばかりセダン / サーフ / バンと3台全て駐車場に並んだ、一目見ただけで「カリーナマニアだ!」と断言できるような家がありました。

そうした『コロナとはやっぱりちょっと違う。いや、違っていてほしい』という感覚は、最後のカリーナまでどころか、現在のプレミオ(コロナ後継車) / アリオン(カリーナ後継車)まで続いていくことになります。

 

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