3代目以降、コロナとの兄弟車化が進んでいたトヨタのミドルクラスセダン、カリーナ。6代目ではコロナともどもスポーツエンジンの設定が無くなり、『足のいいやつ』のキャッチコピーが似合った初代の面影は消えかけますが、それでもコロナよりちょっとだけ下の車種として、ほんの少し差別化が行われていました。
一旦お休み、『足のいいやつ、カリーナ』
1992年8月に6代目が発売されたトヨタのミドルクラスセダン、カリーナは3代目以来搭載してきたスポーツDOHCエンジン4A-GEの搭載も無くなり、半年前にモデルチェンジされていた兄弟車コロナといよいよ違いが無くなりました。
そしてヨーロッパなどでの販売も、カリーナはカリーナ、コロナは『カリーナII』として販売されていたのが、6代目からは相変わらず名前は違うものの10代目コロナが『カリーナE』として販売の主力になり、急速に影が薄くなっていきます。
また、先代では設定されていたサーフ(ワゴン)とバンも専用ボディのカルディナ/ カルディナバン(1992年11月)に統合されてしまい、コロナのようにヨーロッパではウケるテールゲートつきの5ドアリフトバックボディも設定されていません。
単に、トヨペット店で販売されるコロナをトヨタ店で売るために、エンブレムとデザインを少々変えただけでは無いかと思われても仕方が無いのですが、実際には少々異なるポイントがありました。
リーンバーンエンジンを搭載した『燃費のいいやつ、カリーナ』
6代目カリーナではホイールベースや車内寸法といった面ではT190系のコロナ(10代目)とほぼ同一であり、双方ともにスポーツグレードを廃止したことによって、今まで以上に車としての性格が似ています。
しかし、似ているゆえか今まで以上に差別化されたのがエンジンラインナップでした。
10代目のコロナが搭載するのは、ガソリンエンジンが2リッター(3S-FE)、1.8リッター(4S-FE)、1.6リッター(4A-FE)の3種で、ディーゼルエンジンが2リッター(2C)の1種類。
6代目カリーナもガソリンエンジンは2リッター / 1.8リッター、ディーゼルエンジンはコロナと共通でしたが、1.6リッターガソリンエンジンの4A-FEハイメカツインカムエンジンは、リーンバーン(希薄燃焼)エンジンでした。
リーンバーンエンジン搭載により、同クラスグレード(1.6リッターFF・5速MT)で10・15モード燃費を比較すれば、コロナGXの15.6km/Lに対してカリーナSG-iは17.0km/Lと低燃費仕様。
加えて1.8リッターエンジンも1994年8月のマイナーチェンジで、4S-FEからリーンバーン仕様の7A-FEに変更されたので、コロナの同等グレード燃費14.6km/Lに対し17.6km/L。
つまり6代目カリーナは5代目までの『足のいいやつ』から一転、『燃費のいいやつ』が売りのミドルクラスセダンという性格となったのです。
さらに、10代目のコロナでは設定から落とされた、1.5リッターガソリンエンジン(5A-FE)も6代目カリーナでは残されており、新車価格こそコロナ最安の1.6リッター車より5万円ほど安いだけでしたが、自動車税の安さはありがたいところ。
また、6代目カリーナには2リッターガソリンエンジンのFF車が無く4WDのみだったので、コロナとは異なりました。
総合すると、この代(T190系)におけるコロナとカリーナの違いは以下のようになります。
【6代目カリーナ】
1.5~1.8リッタークラスの4ドアセダン(しかも燃費志向)
【10代目コロナ】
1.6~2リッタークラスの4ドアセダン / 5ドアリフトバック(ちょっぴりヨーロピアン)
同時期のカローラ(E100系)が1.3~1.6リッタークラスの4ドアセダンだったので、カリーナはコロナとカローラの中間的車種という役割を果たし続けていたことがわかります。
主なスペックと中古車相場
トヨタ ST190 カリーナ SE 1992年式
全長×全幅×全高(mm):4,455×1,695×1,395
ホイールベース(mm):2,580
車両重量(kg):1,120
エンジン仕様・型式:4S-FE 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量(cc):1,838
最高出力:92kw(125ps)/6,000rpm
最大トルク:162N・m(16.5kgm)/4,600rpm
トランスミッション:5MT
駆動方式:FF
中古車相場:皆無
まとめ
モデルチェンジのたびにコロナとの兄弟車化が進み、6代目ではそろそろもうコロナと変わりが無いのでは、と思うようなカリーナでも、よく見ていくとコロナとは少々異なる性格の車だということが分かると思います。
ユーザーにとっては、単に「トヨタ店(カリーナ)とトヨペット店(コロナ)、どっちで買うのがオトクかな?」という点しか迷うポイントが無いより、燃費志向で維持費も安いカリーナと、ラグジュアリー志向のコロナという違いがあった方が面白いもの。
こうしたカリーナとコロナの『違いがわかる人向け』な関係は、最後の7代目カリーナまで、もう少し続いていく事になりました。
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