現在まで続くトヨタ小型ボンネットトラックの始祖は日野が作っていたブリスカですが、日野と提携して小型トラックの開発を任せる以前、まだトヨタが独自に開発していた時代には戦後初のトヨペットSBからスタウトに至る系譜がありました。そんなSBから発展していったRKトラックに『スタウト』の名がついたのは、1959年のことです。

 

トヨペット トラックRK23  / 出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Toyota_Stout

 

SBからRKへ。戦後民需向け生産を再開したトヨタの小型トラック

 

後のスタウトに続くトヨタ小型ボンネットトラックの始祖、トヨペットSB型トラック / 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60007245/

 

第2次世界大戦中、主に軍需向けトラックや乗用車を作っていたトヨタ自動車工業(現在のトヨタ自動車)ですが、敗戦と共に軍需から民需転換を図り、進駐軍の許可を得て戦時中に引き続きKC型トラックや、わずかながらAC型乗用車の生産も行っていました。

とはいえ、進駐軍は乗用車の本格的な生産まで許可した訳ではありませんでしたが、研究開発までは制限しなかったので、戦後の物資不足、生産設備の制約下でも生産できる乗用車用、1リッターサイドバルブのS型エンジンを開発します。

1947年6月に1,500cc以下の小型乗用車生産が年間300台に限って許可されたため、同年10月に戦後に新開発した初の乗用車『トヨペットSA型』を発売しますが、それに先立つ同年4月にS型エンジンを搭載したトヨタ初の1t積み小型トラックトヨペットSB型を発売していました。

そしてSBはSG(1952年2月)、SK(1953年8月)と発展して、より本格的な自動車用に開発された1.5リッターOHVのR型エンジンを搭載し、1.25t積みとなったRK(1953年10月)に発展。

1955年3月にはマイナーチェンジで1.5t積みのRK1.5型になりました。

その後1956年4月にRKはモデルチェンジされてRK23型へ、1958年4月にはフロアシフトからコラムシフトへ変更され、3人掛けとしたRK30型へマイナーチェンジ。

さらに1957年6月に小型4輪車の制限寸法が拡大、全長4.3mから4.7mまでOKになったので、ホイールベースを延長して最大積載量1.75tとしたRK35型に発展するとともに、トヨペット・ライトトラックと名乗ります。

しかし同時期に登場した小型キャブオーバートラック『トヨペット ルートトラック』と似たような車名で紛らわしい、という声があったらしく、両車とも車名変更することに。

車名はトヨタおよびディーラー社員も含めて公募され、1959年6月にルートトラックは『ダイナ』、そしてライトトラックはスタウトと名付けられました。

 

トヨペット マスターラインのヘビーデューティー仕様

 

後に小型車枠拡大に伴うマイナーチェンジを受け、スタウトと改名したトヨペットRK23型トラック / 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60007730/

 

トヨペット・ライトトラックRK35改め、初代『トヨペット・スタウト』は、いかにも乗用車風なデザインをした客室部分が特徴でした。

これは1955年1月、初代『トヨペット・クラウンRS型』と同時に発売されたタクシー向け乗用車『トヨペット・マスター』が、予想外な短命に終わったことが影響しています。

クラウンとわざわざ別デザインを採用したにも関わらず、クラウンがタクシー業者にも好評で、彼らもこぞって購入するようになったことで、『トヨペット・マスター』の販売は1956年11月に終了します。

マスターの開発投資を回収するため、他用途にボディパネルを転用することとなり、まず1955年12月にライトバンとピックアップトラックの『マスターライン』を発売。

マスターライン・ピックアップトラックとは別に、小型ボンネット・トラックにもそのボディパネルを使い回すこととして、1956年4月にモデルチェンジした2代目トヨペットRKも『マスター』のデザインとなったのです。

ちなみにマスターライン・ピックアップは最大積載量が500kg(ダブルキャブ)~750kg(シングルキャブ)でキャビンと荷台は一体でしたが、分離荷台でトラック用に強化されたラダーフレームを持つRKは1.5t積みと、フロント部の見かけは同じなのに2倍の積載量を誇りました。

それは、1.75t積みとなってから改名されたスタウトも同じで、ボディタイプは以下の7通りです。

・トラックRK30標準型6.2尺荷台(荷台長1,885mm・最大積載量1.5t・乗車定員3名)

・トラックRK35標準型Aタイプ7尺荷台(2,105mm・1.75t・3名)

・トラックRK35標準型Bタイプ7.6尺荷台(2,290mm・1.75t・3名)

・トラックRK35高床荷台(2,260mm・1.75t・3名)

・トラックRK35ユニバーサルピックアップ(1,050mm・1t・6名)

・RK35Vライトバン3人乗り(荷室長2,040mm・最大積載量1.25t・乗車定員3名)

・RK35Vライトバン6人乗り(1,320mm・1t・6名)

 

主なスペックと中古車相場

 

初代トヨペット スタウト(RK35) / 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60007770/

 

トヨペット(トヨタ) RK35 スタウト Bタイプ(7.6尺荷台) 1959年式

全長×全幅×全高(mm):4,675×1,685×1,700

ホイールベース(mm):2,740

車両重量(kg):1,380

エンジン仕様・型式:R 水冷直列4気筒OHV8バルブ

総排気量(cc):1,453

最高出力:43kw(58ps)/4,400rpm

最大トルク:108N・m(11.0kgm)/2,800rpm

トランスミッション:コラム4MT

駆動方式:FR

中古車相場:皆無

 

まとめ

 

初代トヨペット スタウト(RK35)  / 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60007770/

 

マスターラインが『仕事に使えて、オフには家庭でも使える』という、戦後初期のマイカー像にピッタリとハマって人気が出たのに対し、トヨペットRK / スタウトはあくまで6人乗り仕様で現場に運べる人数が多くて便利、という程度。

より重い荷物を乗せるために頑丈ではありましたが、同じエンジンでも重いという現実があり、マイカーとしても使いたいユーザーにはマスターラインの方が人気がありました。

しかし、トラックとしてはそれで正解。

ただ、ライバルの日産が初代ブルーバード(ダットサン310型)と同一デザインのダットサン・トラックを発売してくると人気をさらわれて苦戦します。

そのため、2代目スタウト(RK45)では、斬新なデザインに変更。

モデルチェンジは1960年7月に迫っており、初代『トヨペット・スタウト』はせっかく車名を変更したにもかかわらず、わずか1年1ヶ月の短命で終わってしまったのです。

 

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