現在もトヨエースともども日本中のあちこちで働き続ける小型トラック / ルートバンのダイナ。6代目までは1t積みトラック『トヨペット ライトトラックSKB型』を原型とするトヨエースと、1.5t積み『トヨペット ルートトラック / ルートバンRK52型』を原型としたダイナは別々な発展を遂げてきました。今回はその中でも、1959年に初めてダイナの名が付いた初代RK85型の紹介です。

 

初代トヨタ ダイナ / © 1995-2018 Toyota Motor Corporation. All Rights Reserved.

 

『ルートトラック』と普通の『トラック』がまぎらわしい!『ダイナ』と名付けよう

 

ダイナの前身、トヨペット ルートトラックRK52型 / © 1995-2018 Toyota Motor Corporation. All Rights Reserved.

 

現在主流となっている、ボンネットをほとんど持たず荷台/荷室を最大化したトラックの登場は1954年9月に発売された1t積みトラック『トヨペット・ライトトラック(SKB型)』から始まります。

そして1956年5月、SKB型(現在のトヨエース)とは別に中距離用の1.5t積みトラックとして誕生したのが、『トヨペット・ルートバン(RK52型)』です。

原型となったのは1.5t積みトラックのトヨペット・トラックRK1.5型で、トラックボディ架装メーカーのトヨタ車体で独自にセミキャブオーバートラック化。

少量生産した『KA1~4型』が始まりでした。

ボンネットトラック版RK1.5型はその後トヨペット・トラックRK23型へと発展しますが、同じ1.5t積みトラックでもセミキャブオーバー版はトヨペット・ルートトラックRK52型として別にデビュー。

エンジンやシャシーはRK23型と同じながら荷台は625mmも長くて長尺物の積載性に優れており、観音開きバックドアを持つルートバンも設定されていました。

 

ルートトラックのデザインは後のダイナに近づきRK62型へ発展するが、エンジンは運転席の前下方にあるセミキャブオーバー型のまま。/  © 1995-2018 Toyota Motor Corporation. All Rights Reserved.

 

また、トヨペット・ルートトラック / ルートバンは1956年10月にはR型エンジンを48馬力から55馬力にパワーアップ。

最大積載量を1.75t(ルートバンは1.5t)に向上させたRK62型へ発展しました。

そして1957年1月から生産工場をトヨタ車体から関東自動車(現在のトヨタ自動車東日本)へ移管し、ルートバン以外にもパネルバンやライトバン、ルートバス、宣伝車など架装バリエーションを拡大。

デザインも変更されて後の初代ダイナに近づきますが、この時点ではまだ運転席から見て前下方にエンジンがあるセミキャブオーバー型のままでした。

さらに1958年4月にはR型エンジンを58馬力へとパワーアップ。

2t積みになったRK70型が登場し、同年7月には小型自動車の規格変更でホイールベースと荷台を延長したRK75型へ発展しています。

 

そしてついにエンジンが運転席後下方に移動したキャブオーバーのRK85へ発展しダイナへ改名。 /  © 1995-2018 Toyota Motor Corporation. All Rights Reserved.

 

しかし1959年4月、今度は大掛かりな改良を受けたRK85型が登場しますが、この頃から車名変更の要望が高まる事に。

それは、RK23型からRK35型へと発展していたボンネットトラック版『トヨペット トラック』に対し、キャブオーバートラック版『トヨペット ルートトラック』ではまぎらわしいのと、もっと愛車心を倍加させるような車名が欲しいというものです。

そこで1959年6月9日、前者は『スタウト』、後者は力強さあふれるキャブオーバー型トラックのダイナミックさから『ダイナ』と命名されました。

 

日本初のチルトキャブを持つキャブオーバートラック、初代ダイナ

 

初代ダイナではコラムシフト化で3人乗りを実現した。 / © 1995-2018 Toyota Motor Corporation. All Rights Reserved.

 

『トヨペット ルートトラック』改め『トヨペット ダイナ』RK85型は、デザインこそRK75型までと似ていましたが、中身は大きな進化を遂げています。

従来は前下方にエンジンが配置されるセミキャブオーバー型で、運転席と助手席の間へはみ出すように鎮座したエンジンのカバーで席も足元も狭く、エンジン後方のトランスミッションからはシフトレバーが直に生えていました。

しかし、RK85型 / 初代ダイナからは座席の下へアンダー シート式にエンジンを収めたキャブオーバー型となり、シフトレバーはリモートコントロールのコラム式へ、パーキングブレーキレバーもインパネ下に移って足元は広々。

運転席と助手席の間に何も無いベンチシート化で3人乗車が可能になり、重い荷物を積み下ろしする人手を増やすことができたのも、大きなメリットでした。

 

キャブオーバー型トラックといえばこれ。初代ダイナは日本初のチルトキャブ車だった。 / © 1995-2018 Toyota Motor Corporation. All Rights Reserved.

 

そんなアンダーシート式エンジンは、搭載位置を後方にしても荷室へ干渉しない、重心位置が下がって走行は安定し、後輪(駆動軸)へのプロペラシャフトも短く済むので振動が少ないなどいい事づくめでしたが、もちろんそのままでは整備性が悪化します。

そこでキャブ(車室)ごとガバっと前方向に開いてエンジンやミッションをむき出しにする『チルトキャブ』を日本で初採用し、整備性を大いに向上させました。

 

初代ダイナのR型エンジンはRK52型の頃の48馬力から58馬力へとパワーアップ。2~4速がシンクロメッシュ化してダブルクラッチいらず! / © 1995-2018 Toyota Motor Corporation. All Rights Reserved.

 

新たな車名にふさわしい大きな発展を遂げた初代ダイナですが、その後も改良は続き、1962年1月にはエンジンを1.9リッターの3R型に変更したRK160型へマイナーチェンジ。

よりパワフルで、よりダイナミックなトラックへと進化していったのです。

 

主なスペックと中古車相場

 

トヨペット ダイナRK85型 /© 1995-2018 Toyota Motor Corporation. All Rights Reserved.

 

トヨペット RK85 ダイナ 1959年式

全長×全幅×全高(mm):4,665×1,680×1,980

ホイールベース(mm):2,740

車両重量(kg):1,440

エンジン仕様・型式:R 水冷直列4気筒OHV8バルブ

総排気量(cc):1,453

最高出力:43kw(58ps)/4,400rpm(※グロス値)

最大トルク:108N・m(11.0kgm)/2,800rpm(※同上)

トランスミッション:コラム4MT

駆動方式:FR

中古車相場:皆無

 

まとめ

 

初代ダイナにも、もちろんRK52型以来のルートバンは健在。他にも特装車が多数あった。/ © 1995-2018 Toyota Motor Corporation. All Rights Reserved.

 

キャブオーバー型トラックに進化したとはいえ、シャシーはスタウトと共通。

エンジンがキャブ前部に置かれた名残で短いボンネットを持つなど過渡期のデザインを残していた初代ダイナ。

2代目からはいよいよ現在の姿に近づいていきますが、ふと2018年9月現在の現行型『ダイナ』のラインナップを見ると、後に追加されるダンプ(4代目から)を除き、トラック(ダイナカーゴ)とルートバン(ダイナルートバン)の伝統は初代から続いていました。

そんな『トヨエース』(1956年トヨペット ライトトラックSKB型より改名)に次いで古い車名『ダイナ』の歴史は古く、2019年には改名60周年を迎えます。

 

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