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軽自動車が1998年10月に新規格へ切り替わってからの一時期、軽1BOX車にコンパクトカー用エンジンを搭載して3列シート仕様となったコンパクト1BOXミニバンの設定が流行った時期がありました。流行の入れ替わりで消滅していたものの、元祖的存在だったのが、サンバーをベースに3列シート7人乗りミニバン化したスバル・ドミンゴで、初代は1983年に登場しています。

7人は子供とはいえ8人+犬が写っているが、7人乗りの初代ドミンゴ / 出典:https://www.favcars.com/wallpapers-subaru-domingo-kj-1983-91-429013-800×600.htm
元祖軽1BOXベースコンパクトミニバン、ドミンゴ

初代スバル ドミンゴ / 出典:https://www.favcars.com/wallpapers-subaru-domingo-kj-1983-91-429013-800×600.htm
かつて、ダイハツ・アトレー7 / トヨタ・スパーキー、スズキ・エブリイプラス / エブリイランディ、三菱 タウンボックスワイドと、軽1BOXワゴンの3列シートミニバン仕様が軽自動車メーカー各社からラインナップされていた時期がありました。
結局ホンダを除く全社がラインナップしたわけですが、中でもいち早い1983年にドミンゴで参入、他社が参入する頃には販売を終了していたのがスバルです。
リアエンジンの軽1BOX車、サンバーの狭いエンジンルームにも収まるコンパクトな、そしてスバル唯一の直列3気筒エンジンEF系の開発がそれを可能にしましたが、結局EF系エンジンを搭載したのはドミンゴとジャスティのみ。
ボクサーエンジン&4WDによるプレミアム路線に転じたスバルがリッターカークラスから短期間で撤退したため、ドミンゴも2代15年の歴史で終わったとはいえ、ドミンゴの評価の高さがドミンゴ無き後の買い替え需要を狙ったドミンゴフォロワーを生んだのかもしれません。
なお、EF系エンジンは1リッターのEF10が発売当初から、1986年6月のマイナーチェンジでは4WDに1.2リッターのEF12を搭載し、4WDはマイナーチェンジ前がパートタイム4WDで後がフルタイム4WD。
フルタイム4WDは珍しくVCU(ビスカスカップリング)もビスカスLSDも使わないワンウェイクラッチを使ったフリーランニング式で、前後輪の回転差がある時は前輪に駆動を伝えずに、タイトコーナーブレーキング現象を廃していました。
フリーランニング方式だと高い走破力を発揮するのは直進時に限られますが、雪道や泥濘路などより悪路走破性を高めたい場合はスイッチひとつでワンウェイクラッチをロックして直結4WDにできたので、普段は4WDを意識せず、いざとなれば4WDの恩恵をフルに受けられるシステムです。
小さいながらも中身は本格派、回転対座も可能な3列シート7人乗り

3列シートは2列目をテーブルとした回転対座も可能だった初代ドミンゴ / 出典:http://www.en.japanclassic.ru/booklets/54-subaru-domingo-1991-kj.html
1983年に発売された初代ドミンゴは、サンバーの2列4人乗りシートの後方がリアエンジンのためフロアの盛り上がっている段にシートを追加したことで、違和感無く3列シート7人乗り仕様を実現。
2列目は2人掛けで右にオフセットしてあり、左側後部のスライドドアから乗り込み、2列目の左側を通って3人掛けの3列目シートに移動する形でした。
シートアレンジは限られており、例えば2列目を畳み3列目も収納して、広大なラゲッジルームを作るという使い方はできず、あくまで3列目を2列目背後に畳み、2列目の後ろをラゲッジにできるのみ。
ただ、2列目はフルリクライニングさせてフルフラットにすることも、背もたれを前に完全に倒してテーブルにすることも、足元にダイブダウンさせて、背もたれを3列目の長距離ドライブを快適にするオットマン(足置き)にもできました。
しかも1列目は回転させて後方に向けることもできたので、2列目をテーブルにすれば5人分の対話や食事のスペースへ、2列目に加え3列目もフルフラットにすれば、広大なフラットスペースも作れたのです。
さらに1986年6月のマイナーチェンジではサンルーフに加え、両サイドにもガラスエリアを設けて開放感を高めた『サンサンウィンドウ』をハイルーフに設定。
1992年10月には、ツインエアコンやカセットステレオを標準装備したモデルも登場します。
そして車名の由来となった、この車に乗れば『気分はいつも日曜日』をより高いレベルで実現できるよう、快適性を高めていきました。
主なスペックと中古車相場

初代スバル ドミンゴ / 出典:https://www.favcars.com/subaru-domingo-kj-1983-91-images-338391-800×600.htm
スバル KJ8 ドミンゴ GXサンルーフ サンサンウィンドゥ 1989年式
全長×全幅×全高(mm):3,425×1,430×1,900
ホイールベース(mm):1,805
車両重量(kg):940
エンジン仕様・型式:EF12 水冷直列3気筒SOHC9バルブ
総排気量(cc):1,189
最高出力:38kw(52ps)/4,800rpm
最大トルク:95N・m(9.7kgm)/3,200rpm
トランスミッション:5MT
駆動方式:4WD
中古車相場:29.9万円
まとめ

海外で撮影された初代ドミンゴ。フェイクの3ナンバーが微笑ましい。 / Photo by Dane
リアエンジンで4WDも設定されたサンバーベースの7人乗りミニバンという、スバルらしい特色にあふれた初代ドミンゴは、当時のRVブームの波に乗ったことや、FF乗用車ベースでスペース効率に優れたミニバンがまだ未発達だったこともあり、ヒット作となりました。
特に4WDの設定や車中泊でも快適そうなシートアレンジから、アウトドアブームにも乗ってドミンゴでオートキャンプに行こうというユーザーも多く、筆者も免許を取ったらドミンゴを買おうと思っていた1人でした(なぜか真逆の初代コロナExivを買いましたが)。
サンバー譲りのホイールベースで小回りが効くのも狭い山道では頼りになるため根強い人気があり、同じエンジンを積むジャスティが販売終了した1994年にモデルチェンジして2代目となり、もう少しだけドミンゴの歴史は続くこととなります。
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