軽自動車市場への参入初期はOEM供給頼りだった日産が、スズキに続くOEM供給パートナーとして選んだのが、後に合弁会社NMKVを作ることになる三菱自動車でした。そのOEM供給第1弾として選ばれたのが、三菱の軽自動車で久々のヒット作となった初代eKシリーズで、日産では初代オッティとして販売されます。

 

初代日産 オッティ / 出典:http://history.nissan.co.jp/OTTI/H91/0506/STYLE/main1.html

 

2番目に選ばれたのは三菱でした

 

初代日産 オッティ / 出典:http://history.nissan.co.jp/OTTI/H91/0506/STYLE/main1.html

 

日産は2002年から、再生計画の一環として軽自動車市場に参入。

まずはスズキから軽乗用車MRワゴンの供給を受け、『モコ』の名で販売していた日産ですが、供給元として三菱とも提携を結び、2003年から軽商用車ミニキャブを日産 クリッパーとして販売していました。

そして2005年には三菱とさらに関係を深めて、軽乗用車も導入することになりましたが、当時のスズキが主力のワゴンRを日産へ供給しなかったのに対し、三菱ではヒット作の初代eKシリーズの供給に同意し、2005年6月にオッティとして販売します。

具体的にはeKワゴンとそのスポーティ版eKスポーツの2種類で、前者がオッティSおよびオッティE、後者がオッティRSおよびオッティRXとして販売。

全グレードにFFと4WDが設定されて、4WD車にはグレード名末尾に『FOUR』がつけられました。

このうちRX / RX FOURが64馬力のSOHC12バルブ・インタークーラーターボ仕様の3G83エンジンを積むターボ車で、残りは同じ3G83でも50馬力のNA(自然吸気)仕様です。

なお、初代eKで他にラインナップしていたeKクラッシィ(クラシック仕様)およびeKアクティブ(クロスオーバー仕様)のOEM供給は受けませんでした。

 

モコとの違いは『機械式立体駐車場が使える車高』

 

初代日産 オッティ / 出典:http://history.nissan.co.jp/OTTI/H91/0506/STYLE/main1.html

 

モコに続くeKシリーズのオッティ、どちらも似たようなジャンルの軽自動車でしたが、オッティにはモコには無い大きな強みがあります。

それが『日本国内のほとんどの機械式立体駐車場(タワーパーキング)が利用可能』な、1,550mmの車高で、RX Four(車高1,570mm)を除けば、利便性に優れた軽セミトールワゴンである事。

これは初代eKシリーズにとっての特徴であると共に、既にありふれた存在となっていたスズキ・ワゴンRやそのフォロワー(ダイハツ・ムーヴ)などと、古くからあるスズキ・アルト、三菱 ミニカなど車高の低い軽セダンタイプの中間車種として、ヒット要因になっています。

また、軽トールワゴン(モコ)、軽商用1BOX(クリッパーバン)、軽トラック(クリッパートラック)をラインナップしていたものの、ベーシックな軽セダンを欠いていた日産にとって『軽セダンの手軽さと軽トールワゴンの広さを併せ持つ』オッティはちょうど良い存在でした。

(後に日産は三菱ではなくスズキから軽セダンのアルトをOEM供給してもらい、『ピノ』として販売していますが、2007年から2010年までの1代限りで終えています)

そして、既にモデル末期だったeKクラッシィ(2015年12月販売終了)はともかく、eKアクティブのOEM供給を受けなかったのも、当時まだ軽クロスオーバーSUVの需要が無かっただけでなく、車高の高さが影響していたかもしれません。

なお、内装やメカニズムは初代eKワゴンおよびeKスポーツと変わりはなく、エンブレム以外で目立つ違いはフロントグリルが日産仕様になっているくらいでした。

 

主なスペックと中古車相場

 

初代日産 オッティ / 出典:http://history.nissan.co.jp/OTTI/H91/0506/STYLE/main1.html

 

日産 H91W オッティ RX 2005年式

全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,550

ホイールベース(mm):2,340

車両重量(kg):850

エンジン仕様・型式:3G83 水冷直列3気筒SOHC12バルブ ICターボ

総排気量(cc):657

最高出力:47kw(64ps)/6,000rpm

最大トルク:93N・m(9.5kgm)/3,500rpm

トランスミッション:4AT

駆動方式:FF

中古車相場:0.1~50万円

 

まとめ

 

初代日産 オッティ / 出典:http://history.nissan.co.jp/OTTI/H91/0506/STYLE/main1.html

 

初代オッティは2005年6月~2006年9月まで1年3か月ばかり販売されただけで、OEM元のモデルチェンジに伴なってすぐ2代目に移行しますが、ベースのeKワゴン / eKスポーツがコンセプトも外観もキープコンセプトだったため、急に古くなることはありませんでした。

スズキからOEM供給を受けたモコやピノと比べ、オッティはデザイン変更も最小限だったことから日産との相性も良かったようです。

さらに、リコール隠しが相次いで発覚しての販売不振に続き、ダイムラー・クライスラーに見限られて経営不振を極めた当時の三菱にとっても、販売力で上回りゴーン体制下のリニューアルでイメージもクリーンな日産へのOEM供給は、まさに渡りに船でもありました。

そうした三菱の暗黒時代に登場したこともあってか、オッティはすぐ日産車として定着。

後に軽自動車を共同開発する日産・三菱の合弁会社NMKVの設立と、2016年のルノー・日産・三菱アライアンス(連合)への道筋をつけたのです。

 

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