日産で2003年から販売されている軽1BOXビジネスバン『NV100クリッパー』の現行モデル(2018年9月現在)は3代目。2代目以降OEM元がスズキに切り替わり、三菱(ミニキャブ)やマツダ(スクラムバン)ともども『エブリイ4兄弟』を構成する1台となっています。
3代目から衝突被害軽減ブレーキを設定
日産の軽1BOX商用バン、『NV100クリッパー』。
2BOXタイプの軽乗用車は三菱との合弁で『NMKV』を設立し、デイズ / デイズルークス(三菱 eKワゴン / eKスペース)を三菱自動車水島製作所(岡山)で生産して全国で販売している日産ですが、軽1BOX車および軽トラックはスズキからOEM供給を受けています。
元々は三菱からミニキャブ(軽1BOX商用車および軽トラック) / タウンボックス(軽1BOX乗用車)のOEM供給を受けていましたが、三菱がこの種の軽自動車をミニキャブMiEV(軽1BOX商用EV)以外生産を終了してしまい、2代目からはスズキのOEM供給に切り替えたのです。
そして2018年9月現在販売されているモデルは2018年3月にフルモデルチェンジされた3代目で、基本的にはメーカーと車名エンブレム以外、OEM元であるスズキ エブリイバンおよび、4ナンバー(商用)のままながら乗用用途を重視したエブリイJOINと同じ。(※5ナンバー乗用版エブリイワゴンも『NV100クリッパーリオ』として、軽トラックのキャリイも『NT100クリッパートラック』としてスズキからOEM供給を受けています)
ポイントとしては、OEM元のエブリイともどもクラスで初採用となった赤外線レーザーレーダー式の衝突被害軽減ブレーキの採用で、日産からは同社で『エマージェンシーブレーキ』と名づけている衝突被害軽減ブレーキを2015年中に日本で発売する全車に採用するとアナウンスされていましたが、OEM車のクリッパー系で採用された事で、公約実現のメドが立ちました。
4兄弟の中でも安全重視のNV100クリッパー
この種のOEM車は、「OEM元と同じ車だけど、付き合いのある販売店から買いたい。」という顧客のため設定されているケースが多いため、グレードや装備は基本的にOEM元と同じですが、需要に応じて絞り込むなど、細部を変更される事もよくあります。
それはエブリイ4兄弟でも同様で、まずは現状における4兄弟の関係を下記にまとめました。
【スズキ エブリイ4兄弟の相関図】
※()内はスズキ エブリイからのOEM開始時期
長男:スズキ エブリイ / (4ナンバー乗用メイン版)エブリイJOIN
次男:マツダ スクラム / (同)スクラムBUSTER…(1989年6月)
三男:日産 NV100クリッパー / (同)NV100クリッパーGX…(2013年12月)
四男:三菱 ミニキャブ / (同)ミニキャブブラボー…(2014年2月)
その上で、4兄弟の中でNV100クリッパーの特徴は以下の通りです。
・次男以下のOEM車では唯一、標準ルーフ車(DX標準ルーフ)とターボ車(GXターボ)を両方設定(ミニキャブには標準ルーフ車が、スクラムには両方が無い)。
・DX標準ルーフを除く全車に衝突被害軽減ブレーキを標準装備するか『エマージェンシーブレーキパッケージ』を設定(スクラムのみ同等)。
特筆すべきは、実用グレードでも衝突被害軽減ブレーキを選択可能なことで、これはOEM元のエブリイには無くNV100クリッパーとスクラムのみの特徴。
日産とマツダが両社の他のラインナップに合わせた安全性を重視した結果と言えます。
その代わりGXターボで5速MTが選べない(これはミニキャブブラボーターボも同じで、スクラムBUSTERはそもそもターボ無し)など、ミッションの選択肢は若干少なくなりました。
主なスペックと中古車相場
日産 DE17V NV100クリッパー DX標準ルーフ 2018年式
全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,800
ホイールベース(mm):2,430
車両重量(kg):850
エンジン仕様・型式:R06A 水冷直列3気筒DOHC12バルブ
総排気量(cc):658
最高出力:36kw(49ps)/5,700rpm
最大トルク:62N・m(6.3kgm)/3,500rpm
トランスミッション:5速AGS
駆動方式:FR
中古車相場:47.5万~268万円
まとめ
今やスズキのエブリイ系とダイハツのハイゼット系(ハイゼット / スバル サンバー / トヨタ ピクシスバン)の2系統しか無くなってしまった軽1BOX商用バンですが、OEM元のエブリイとハイゼットが売れている中、OEM供給されたモデルでは何が一番売れているかというと、答えはNV100クリッパーで、2018年8月に1,850台とOEM車の中で4桁売っているのは日産のみです。
そのため、同じ車でも『スズキから仕入れるだけでこれだけ売れる』というあたりに日産の販売力の底力が見えてきますが、そもそも軽商用車市場は縮小が続いており、『デイズ』シリーズのようにNMKVで独自車種を作るようなことはせず、この関係はしばらく続くと思われます。
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