当初は三菱から『ミニキャブ』シリーズのOEM供給を受け軽商用車販売にも参入した日産でしたが、三菱が同シリーズの独自生産をやめてしまったため、新たにOEM供給元として定めたのがスズキでした。厳密には自社生産をやめる三菱ともどもOEM供給を受けることになったのですが、こうしてスズキの軽トラ / 軽1BOX4兄弟体制が生まれます。
三菱OEMからスズキOEMへ、三菱ともども『エブリイ4兄弟』を結成
日産が2002年に経営再建の一環として軽自動車販売に参入。
同年から軽乗用車、翌2003年からは軽商用車の販売も開始しますが、その際にOEM供給元として選んだのが三菱でした。
そして早速、ミニキャブバンをクリッパーバン、ミニキャブトラックをクリッパートラックとして販売開始。
後にミニキャブバンベースの軽1BOX乗用ワゴン、タウンボックスもクリッパーリオとして供給を受けるようになります。
しかし、軽1BOXにしろ軽トラックにしろ日本国内での市場は先細っており、たとえば軽トラックの販売台数は1990年の約43万台に対して2012年には約18万台という、かなりお寒い状態。
しかも今後この数字が回復する見込みも無い以上、販売シェアのトップ争いをしているメーカーでも無ければ、モデルチェンジどころかマイナーチェンジでも採算割れの心配が出てきます。
一時期に比べて軽商用車の独自生産を行うメーカーが激減した背景にはこのような理由もあり、三菱もついに2013年度をもって軽商用車の生産を終了することになりました。
そうなると、三菱からOEM供給を受ける日産も新たなOEM供給元を探すことになりますが、これからも確実に軽商用車を販売し続けそうなメーカーは限られます。
こうして2013年12月、日産は三菱ともども、スズキから軽商用車および軽1BOX乗用ワゴンのOEM供給を受けることになり、以下のようにモデルチェンジが行われました。
【2013年12月からの日産軽商用車/ 軽1BOX乗用ワゴンOEM供給元】
・軽1BOX商用車NV100クリッパー:スズキ エブリイ
・軽1BOX乗用ワゴンNV100クリッパーリオ:スズキ エブリイワゴン
・軽トラックNT100クリッパー:スズキ キャリイ
基本的にはエブリイと同じで、標準ルーフ車が限られるくらいの違い。
このうち、エブリイの供給を受けた2代目NV100クリッパーは、三菱OEM時代とは異なり、基本的にはメーカーと車名のエンブレムやデカールが異なる程度で、軽乗用車で続けているような『日産独自デザイン』はやめてしまいました。
それは量販とその成長が見込める軽乗用車とは異なり、軽商用車のためにわざわざデザインを起こしても採算が取れないという判断かもしれませんが、理由は定かではありません。
違いといえばグレード構成くらいで、エブリイで標準とハイルーフの2種類あるルーフについては、2WD / 3AT車に標準ルーフが設定されるのみで、ほかは全てハイルーフ。
グレードでの違いもそのくらいで、商用登録のNV100クリッパーでも、乗用ワゴンのNV100クリッパーリオともどもターボ車は継続設定された点も同じです。
他のスズキOEM車(マツダ スクラムバン、三菱 ミニキャブ)でもスズキ エブリイと基本的に同じように見えて完全に同じというわけではなく、ターボ車の有無やハイルーフ / 標準ルーフの設定などは、各販売メーカーごとの考え方で微妙な違いがありました。
主なスペックと中古車相場
日産 DR64V NV100クリッパー ハイルーフGXターボ 2013年式
全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,875
ホイールベース(mm):2,400
車両重量(kg):940
エンジン仕様・型式:K6A 水冷直列3気筒DOHC12バルブ ICターボ
総排気量(cc):658
最高出力:47kw(64ps)/6,000rpm
最大トルク:95N・m(9.7kgm)/3,000rpm
トランスミッション:4AT
駆動方式:FR
中古車相場:29.8万~93.9万円(キャンピングカーなど特装車除く)
まとめ
『三菱の軽商用車生産撤退』という特殊な事情もあって、2代目NV100クリッパーはスズキ エブリイのモデル末期からOEM供給を受けることになりました。
そのため、2013年12月のモデルチェンジからわずか1年3か月後、2015年2月にはエブリイが新型へ移行したのに伴い、NV100クリッパーも短期間で2度目のモデルチェンジを受けて3代目になり、現在に至っています。
OEM販売していたモデルに問題が無いのに、OEM元の都合によっていささか雑なタイミングでモデルチェンジせざるをえなかったというのはかなりレアケースですが、それだけ三菱の状況は『待った無し』だったのかもしれません。
ともあれ、販売台数シェア争いをダイハツ ハイゼットと競いつつ、しばらく生産終了の気配も無いエブリイをOEM元に定めたことで、日産の軽1BOXバンはしばらく安泰で販売を続けて行けるのではないでしょうか。
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