トヨタビスタ店(現在統合されてネッツ店)開業とともに、マークII 3兄弟の末っ子として鳴り物入りでデビュー、ハイソカーブームを牽引する1台となった初代クレスタでしたが、この種の兄弟車は代を重ねるに従い最大公約数的に他の兄弟と同じような車になっていくのが世の常です。しかし2代目クレスタはまだまだ個性的!今度は4ドアハードトップから一転、スタイリッシュな4ドアセダンとなりました。
2代目クレスタとは?
他の兄弟(マークII / チェイサー)に先んじて4ドアハードトップのスタイリッシュなデザインと2トーンカラーで豪華内装の『スーパールーセント』が、若い世代の富裕層に大人気となった初代クレスタですが、1984年8月に初のモデルチェンジを迎えます。
それも初代の頃には兄弟が4ドアセダンの中心、クレスタが4ドアハードトップ専門とデザインだけでなくボディタイプ別の明確なキャラクター分けがなされていましたが、2代目クレスタは角目4灯ヘッドライトを持つスタイリッシュな4ドアセダンへと逆転。
しかしセダンでありながらスポーティ、そして他の兄弟車よりちょっと高級感があるというクレスタのキャラクターは健在で、引き続き若さとオシャレを兼ね備えた富裕層向けというポジションでハイソカーブームを一層牽引していきます。
おかげで初代ともども開業して間もないビスタ店の稼ぎ頭、イメージリーダーとして大ヒットを記録しました。
初代から一転してスタイリッシュなパーソナル4ドアセダン
分類上は4ドアセダンになったとはいえ、基本デザインは初代のスタイリッシュなイメージを崩さぬよう配慮され、同じく4ドアセダンもラインナップしたマークIIのサイドウィンドウが6ライトだったのに対し、2代目クレスタは枠も少ない軽快な4ライト。
エンジンラインナップやメカニズム面では他の兄弟と同一でしたが、1985年には兄弟ともども2リッターDOHCツインターボエンジン1G-GTEを得て『GTツインターボ』を設定!
高級パーソナルクーペのクレスタにGTグレードは一見ギャップがあるようにも思えますが、むしろそのギャップを好んだユーザーは、高級ラグジュアリーセダンと思わせて踏めば速いGTの追加に喜び、さらなるヒットを記録していくことになります。
また、『車検に通るのかどうか、ちょっとばかり特殊なカスタムカー』の世界ではマークIIやチェイサーより格上と見られていたため、その方向でも人気が高まる理由のひとつになりました。
他の兄弟との違い
2代目クレスタの頃のマークII3兄弟ですが、見栄えのするデザインに上級グレードでは強力かつスムーズなDOHCエンジンを搭載。
見た目にも豪華なハイソカー路線が定着したため、初代クレスタの頃よりさらに違いは少なくなっています。
とはいえ、販売チャンネルの違いで以下のような差異がありました。
【2代目クレスタの頃のマークII 3兄弟】
長男マークII
トヨペット店ユーザー向けの保守的な4ドアセダンと、大人の落ち着きあるスポーティさを持った4ドアハードトップをラインナップ。
しかし伝統あるステーションワゴン / バンも引き続きモデルチェンジして設定。
次男チェイサー
最も若々しくスポーティなユーザー層のトヨタオート店(現:ネッツ店)向けに、クレスタと入れ替わり4ドアハードトップ専門でラインアップ。
高級感は兄弟の中でもっとも薄いがその分軽快なスポーツイメージを持つ。
三男クレスタ
新たな価値観のトヨタ車を求めるユーザーに向けた実験的店舗のビスタ店主力として、高級スポーツセダンという今でいえばレクサスISのようなポジション。
中古車店でも人気がありリセールバリューも良好ですが、後にヤンチャなカスタムシーンで『クレスタ』が上級ブランド入りするキッカケともなる。
こんな感じでマークIIのセダンがあくまでトヨペット店保守層ユーザー向けだったのに対し、クレスタは『若者向け高級スポーティセダン』としてイメージを確立しており、3兄弟それぞれにユーザー層がかぶらないだけの個性がありました。
主要スペックと中古車相場
トヨタ GX71 クレスタ スーパールーセント 1984年式
全長×全幅×全高(mm):4,690×1,690×1,385
ホイールベース(mm):2,660
車両重量(kg):1,310
エンジン仕様・型式:1G-GEU 水冷直列6気筒DOHC24バルブ
総排気量(cc):1,988
最高出力:140ps/5,200rpm
最大トルク:17.6kgm/4,000rpm
トランスミッション:4AT
駆動方式:FR
中古車相場:39万~168万円(各型含む)
まとめ
2代目クレスタに『GTツインターボ』が追加された頃、『GTroman』というカーマニア向け漫画(作・西風)にクレスタを含むマークII 3兄弟GTツインターボを同時に買ってしまった、免許取り立て高校生トリオが登場した回がありました。
いずれもちょっといいトコのお坊ちゃんで早速親に買ってもらったわけですが、3人というキーワードからもわかるとおりマークII / チェイサー / クレスタと車種はバラバラ。
しかし、同じツインターボの4AT、タイヤも同じピレリP6を履くなど、濃いマニアからすれば「ちょっと違うだけで個性が無い。」ように見えたのは仕方がありません。
早速、腕も無いのに始めた公道レースで、同じツインターボでもマセラティ ピ・トゥルボにブッチギられてしまうというオチでしたが、当時の若者の自動車文化がどう見られていたかをリアルに描いた作品となっていました。
実際、当時はマークII3兄弟もGTツインターボもよく見かけましたが、その中でもクレスタだけはテールが上品で一味違い、筆者もどうせ乗るならクレスタがいいなと憧れた少年時代を、よく覚えています。
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