厳しい排ガス規制で手がまわらなかったのか、あるいは同じプラットフォームのセリカに合わせたのか、初代カリーナは初代セリカともども、当時のトヨタ車としては7年近いロングライフモデルとなり、ようやく1977年8月に初のモデルチェンジを迎えたのでした。

 

2代目トヨタ カリーナ4ドアセダン / © 1998-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

 

 

2代目トヨタ カリーナとは?

 

トヨタ 2代目カリーナ4ドアセダン / 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60002368A/

 

スペシャリティカー・セリカのベース車として初代は1970年に同時デビュー、以降同じような発展を遂げてきたカリーナが、1977年8月にこれもセリカと同時にモデルチェンジし、2代目となりました。

セリカ譲りのサスペンションを受け継ぎ、フロア式5MTが標準だったミドルクラススポーツセダン / ハードトップであると同時に、コロナとカローラの中間的存在であるミドルクラスファミリカーとしてのポジションは2代目でも健在。

2 / 4ドアセダン、2ドアハードトップというボディタイプも初代同様で、バンは初代から継続生産です。

モデルチェンジ当初はやや大型化された初代後期(A30系。前期はA10系)とキープコンセプトに見えますが、1979年8月のマイナーチェンジでフロントを流面形でバンパーの突き出したスラントノーズ化し、テールデザインも変更されてイメージを一新。

丸みを帯びていることを除けば、後の3代目カリーナに近いイメージへと変わりました。

 

足のいいやつ、少しずつ心臓もいいやつへ

 

2代目トヨタ カリーナ2ドアハードトップ / 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60002368A/

 

初代中盤以降は年々厳しくなる排ガス規制への対応とオイルショック下での省燃費対策に追われる中、特に排ガス対策では未成熟で吹け上がりもアクセルレスポンスも悪いエンジンに悩まされます。

そして1.4Lクラスの小排気量エンジンなどは、商用車のライトバンしか搭載できないほどアンダーパワーに。

しかし1.8L~2Lクラスに排気量を拡大した環境対策エンジンがようやく軌道に乗り、排ガス規制時代をEFI(電子制御燃料噴射装置)化などでどうにか生き延びたDOHC1.6L / 2Lとともに、再び『足のいいやつ』が帰ってきました!

昭和53年(1978年)排ガス規制に適合した際の改良で、それまでの規制対応で低下したエンジン性能が回復。

特にEFIに酸化触媒を組み合わせたDOHCエンジンでのそれは顕著で、1600GTや2000GTの動力性能は規制開始前の初代前期と同レベルまで回復したのです。

そうして環境性能と動力性能の両立にメドがついたことで、『マイロード』などスポーティな廉価グレードも登場するようになり、1980年を迎える頃には暗黒時代を抜けた晴れ間が広がり、日本車の快進撃とともにカリーナも更なる発展(モデルチェンジ)を迎えようとしていました。

 

カローラ店向けセリカカムリの登場

 

トヨタ セリカカムリ(初代カムリ)  / © 1998-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

 

なお、2代目カリーナに3代目へと続く飛躍への道筋が見えた1980年1月、2代目カリーナ / セリカに新たな兄弟車、セリカカムリが誕生しました。

文字通りセリカ派生車であり、『セリカのセダン版』というポジションはカリーナと見事にかぶっていましたが、トヨタ店扱いのカリーナに対してセリカカムリはカローラ店扱いなので、販売会社が異なります。

これは、1980年4月に誕生したトヨタ5番目の販売チャンネル『トヨタビスタ店』(後にネッツ店に統合)でいずれ看板モデルとして販売するFFアッパーミドルクラスセダンのビスタ(初代)と、その兄弟車カムリをカローラ店で販売しようという計画が元。

ただし、ビスタ / カムリの発売は1982年3月と先の話であり、既により大型のフラッグシップ、クレスタを開業と同時に発売するビスタ店はともかく、それまでカローラ以上のセダンを販売したことの無いカローラ店のユーザー層に大きなセダンをアピールするのが狙いでした。

そのためには同じセリカのセダン版とはいえ、やや小さいカリーナでは役不足で、輸出仕様のフロントノーズを組み合わせて全体のデザインバランスを仕立て直し、カリーナより一回り大きなセダンとしてカローラ店、そしてビスタ発売までのビスタ店でも販売。

エンジンラインナップは1600GT用の2T-GEUが無かったことを除けばカリーナとほぼ同一ですが、1980年に追加された上級グレードでは、3代目にモデルチェンジしたカリーナからリアセミトレーリングアームサスを流用した4輪独立懸架となっています。

しかし登場理由があくまで『2年後の初代ビスタ / 2代目カムリまでのつなぎ』だったので、セリカカムリは短命に終わり、歴代カムリの中でも最初で最後のFR車となりました。

 

主要スペックと中古車相場

 

2代目トヨタ カリーナ 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60002368A/

 

トヨタ RA40 カリーナ 4ドアセダン2000スーパーデラックス 1977年式

全長×全幅×全高(mm):4,230×1,630×1,390

ホイールベース(mm):2,600

車両重量(kg):985

エンジン仕様・型式:18R-U 水冷直列4気筒OHV8バルブ

総排気量(cc):1,968

最高出力:100ps/5,500rpm(グロス値)

最大トルク:15.5kgm/3,600rpm(同上)

トランスミッション:5MT

駆動方式:FR

中古車相場:49.8万~118万円(各型含む)

 

まとめ

 

2代目カリーナは、大衆車でありながらセリカ譲りのエンジンやサスペンションを持つという初代からの特徴を受け継いでいましたが、初代ほどの派手さはありません。

日本車がとにかく排ガス規制対策最優先で、抜けの悪い触媒、煮え切らない希薄燃焼とパワーダウンに苦しんだ時代からようやく脱しようとしていた頃で、カリーナに限らず日本車全体が、一部の元気なスポーツカーを除けばまだまだショックから立ち直っていませんでした。

それでも明るい光明が差し込んでいた時期にモデルチェンジを迎えたカリーナの前途は有望で、環境性能と動力性能の両立、そしてそれにユーザーが満足するかどうかを試されていた時期が2代目だったのです。

そしてその結果に自信を得たトヨタが3代目カリーナ / セリカ / コロナでツインカムターボ3T-GTを投入しました。

しかし、一気に環境問題をクリアしたハイパワー車の時代が到来すると、2代目カリーナの存在は霞んでしまうのですが、そこまでの苦しい時代を初代とともに繋いだ重要な1台であることは間違いありません。

心なしか、中古車市場でも初代より2代目の方がわずかながら現存台数が多いようにも感じられます。

 

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