国産オフローダーの老舗ながらRVブームでは一歩出遅れ、70系ランドクルーザーワゴンを経てようやく『覚醒』した初代70系ランドクルーザープラド。しかしコツをつかんでしまえばこっちのものとばかりに、ヘビーデューティー系ランクルとは一線を画した軽快感を持つライトデューティー系ランクルの決定版として登場したのが、2代目90系ランドクルーザープラドでした。
良くも悪くも『質実剛健』だった70系のイメージをぬぐい去った本格RV
1970年代末から徐々に盛り上がってきたRV(レクリエーショナル・ビークル)ブーム。
中でもクロカン系RVのトレンドはあくまで『本格オフローダーの形をした乗用車』だったのですが、40系や70系ランドクルーザー、ブリザード(ダイハツ タフト/ラガーのOEM)の内外装にホンの少し手を加えた程度でお茶を濁していたのが1980年代までのトヨタでした。
その結果、ユーザーが三菱 パジェロや日産 テラノへ飛びついている間にすっかり出遅れた形となり、1990年に70系ランドクルーザーワゴンの内外装を大きくリファインした初代70系ランドクルーザープラド(以下『プラド』)で、ようやく業界標準に追いついたのです。
ここでRVとは何かをつかんだトヨタは1996年5月、プラドを2代目90系へモデルチェンジ。
初代70系ではまだデザインもメカニズムも『本格オフローダーがベース』だったのが大きく変わり、完全に『ユーザーが求めるRV』へと進化を遂げました。
もちろんライバル車を大いに参考にしたのは見た目からも明らかでしたが、トヨタの販売力でもってプラドが一気に飛躍したのが、この2代目90系だったのです。
ハイラックスサーフの兄弟車化、エンジンなどメカニズムも一新!
2代目90系プラド最大の特徴はハイラックスサーフ(以下『サーフ』)と完全に兄弟車化したことで、フレームに載せられたボディこそ別なものの、フレームやサスペンション、基本的なメカニズムは共通になりました。
ちなみに既にRVとして成功していたサーフのランドクルーザーボディ版という構成は2018年11月現在の現行モデルで、日本国内ではプラドへ一本化された4代目150系でも変わらずにプラドの基本は2代目90系で確立されたと言えます。
また、2代目90系プラドでも3ドア5人乗りショートボディと、5ドア2列5人/3列8人乗りロングボディがあるのは変わりませんが、エンジンは3.4リッターV6ガソリンエンジン(5VZ-FE)、3リッター直4ディーゼルインタークーラーターボ(1KZ-TE)へと一新されました。
そんな1KZ-TEは初代70系プラド後期からの搭載でしたがインタークーラーの追加でパワーアップ。
さらに2.7リッターガソリンエンジン(3RZ-FE)搭載の廉価グレードも、後に追加されています。
そして、サスペンションもフロントのダブルウィッシュボーン独立懸架化でハンドリングが向上し、駆動方式もパートタイム4WDからフルタイム4WD化でイージードライブ化。
サーフとの兄弟車化の恩恵を目いっぱい受けて、快適で信頼性の高いRVへと成長していきました。
主なスペックと中古車相場
トヨタ KZJ95W ランドクルーザープラド 5ドア ディーゼルTZ 1996年式
全長×全幅×全高(mm):4,675×1,820×1,880
ホイールベース(mm):2,675
車両重量(kg):1,960
エンジン仕様・型式:1KZ-TE 水冷直列4気筒ディーゼルSOHC8バルブ ICターボ
総排気量(cc):2,982
最高出力:103kw(140ps)/3,600rpm
最大トルク:333N・m(34.0kgm)/2,000rpm
トランスミッション:5MT
駆動方式:4WD
中古車相場:49.9万~289.8万円
まとめ
1984年に初のライトデューティー系ランドクルーザー、70系ワゴンを発売してから12年たってようやく本格的な『RV』のラインナップを完成させたトヨタは、ライバルのパジェロやテラノを国内外で次第に駆逐していき、ライトデューティー系クロカン4WDというジャンルにおいても『ランドクルーザー』ブランドを高めるのに大きく貢献しました。
そして今やサーフと統合し、現在でも根強いファンのいるパジェロを除けば国産車にライバルらしいライバルはおらず、確固たる信頼を得たプラドの中興の祖は、この2代目90系となっています。
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