初代ランドクルーザー以来、本格的なオフロード用4WDではランドクルーザーで絶大な自信を持っていたトヨタですが、1980年代に入って初代パジェロのヒットなどRVブームが熱を帯びてくると、いささか勝手が違うことに気付きます。そこで1984年に登場した70系では『ライト系』と呼ばれる70系ワゴンシリーズを設定しますが、試行錯誤の末にようやくRVブームへ本格対応したのが、70系初代ランドクルーザープラドでした。

 

初代トヨタ ランドクルーザープラド(70系) / Photo by keiyac

 

RVブームへの対応で出遅れたトヨタの巻き返し

 

トヨタ ランドクルーザー70系ワゴン /出典:https://www.favcars.com/images-toyota-land-cruiser-prado-lj71g-1984-90-186851-800×600.htm

 

1970年代後半から、それまで日本国内では官公庁や事業所での特殊用途向けが多かったランドクルーザーに、個人ユーザーが増えていることに気づいたトヨタは、1979年に40系ランドクルーザーへ内外装を乗用車風としたモデルを設定するなど対策を始めます。

そして1980年代に入ると初代三菱 パジェロなどのヒットでいよいよ『RVブーム』(レクリエーショナル・ビークル)に火が付くと、トヨタも乗用車感覚で乗れるRV版ランドクルーザーの開発に着手。

1984年に40系からモデルチェンジした70系ランドクルーザーは、従来からの本格オフローダー仕様(通称『ヘビー系』)とは別に、RV仕様(通称『ライト系』)の『ランドクルーザー70系ワゴン』を設定し、1985年10月に発売します。

それは小排気量エンジンを搭載しショートノーズ、軽量シャシーを組み合わせた小型軽量モデルで、前後をリーフスプリングからコイルスプリング化、乗り心地が良く軽快なRVを目指しましたが、3ドアショートボディのみの設定で今ひとつ人気が出ません。

そこで5ドアロングボディ追加を契機にデザインを変更し、車名も変えて再出発を図る事になりました。

 

ランドクルーザー初の本格RV版『プラド』誕生

 

初代トヨタ ランドクルーザープラド(70系) / Photo By  RL GNZLZ

 

1990年4月に発売された初代『ランドクルーザープラド』は、同じ70系でもフロント周りのデザインを大きく変え、ヘッドライトも丸目2灯から角型2灯に変更するなど、ひと目で70系ランドクルーザー(ヘビー系)との違いがわかるモデルとなりました。

日本国内仕様は従来からの2ドアショートボディメタルトップ2列シート5人乗り仕様に加え、4ドアセミロングボディ3列シート8人乗り仕様を追加。

エンジンは2.4リッターディーゼルターボのみですが、燃料噴射ポンプの電子制御化でパワーアップしています。

さらに『SX5』および4ドアのみに設定された最上級の『EX5』グレードでは、スイッチで減衰力切り替えが可能な2ステージショックアブソーバーを標準装備。

5速MTのほかに電子制御フルオートマチック4速ATを設定するなど、4WDシステムこそパートタイム4WDのままだったものの、クロスオーバーSUVなどが存在しない当時としては、『気軽に街乗りもこなせるクロカン4WD車』を演出していました。

1993年5月にはエンジンを、新開発の1KZ-TE型3リッター直4ディ-ゼルターボへ更新。

30馬力以上の出力向上により、70系ワゴン時代から指摘されていたアンダーパワー感を完全に解消。

内装も鉄板部分を極力隠すフルトリム化が進んで、乗車時の乗用車感覚を大幅に向上するなど、ようやくトヨタも本格RV版ランドクルーザーを実現しましたが、RVブームが始まってから10年以上が経過していました。

 

主なスペックと中古車相場

 

初代トヨタ ランドクルーザープラド(70系)  / 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60012614/

 

トヨタ LJ78G ランドクルーザープラド 4ドアEX5 1990年式

全長×全幅×全高(mm):4,585×1,690×1,905

ホイールベース(mm):2,730

車両重量(kg):1,900

エンジン仕様・型式:2L-TE 水冷直列4気筒ディーゼルSOHC8バルブ ターボ

総排気量(cc):2,446

最高出力:71kw(97ps)/3,800rpm

最大トルク:240N・m(24.5gm)/2,400rpm

トランスミッション:4AT

駆動方式:パートタイム4WD

中古車相場:45万円~321万円

 

まとめ

 

初代トヨタ ランドクルーザープラド(70系)  / 出典:https://www.favcars.com/toyota-land-cruiser-prado-active-vacation-kzj78-1994-96-pictures-186861-800×600.htm

 

ライバル車のヒットを見ると、すぐに対抗車種で後追いして『ブームを乗っ取る』傾向の強いトヨタですが、ランドクルーザーのRV化によるパジェロ対抗策だけはどうしたことか、かなり時間がかかりました。

その間に、70系ワゴン/プラドの姉妹車であるハイラックスサーフは問題無く成功しており、最大のライバル日産 テラノと激闘中だったのでトヨタがRVブームを理解していなかったとも考え難く、その苦戦はかなり不思議な状況です。

現在の視点で見ると初代末期に至ってもヘビー系ランクルの無骨さから抜け切れておらず、70系ベースでの完全なRV化は、トヨタをもってしても容易ならざる難題だったのかもしれません。

それでも時間をかけて熟成した初代ランドクルーザープラドは次第に評価が上がり、フレームも含めてハイラックスサーフと完全に姉妹車となる2代目で、人気を定着させる足がかりを作る事に成功しています。

 

[amazonjs asin=”B0779BGVTH” locale=”JP” title=”アルパイン(ALPINE) フローティングBIG X 11 ランドクルーザー プラド 150系 専用 カーナビ 11型 ビッグX <2018年モデル> XF11Z-LP2″]

Motorzではメールマガジンを配信しています。

編集部の裏話が聞けたり、最新の自動車パーツ情報が入手できるかも!?

配信を希望する方は、Motorz記事「メールマガジン「MotorzNews」はじめました。」をお読みください!