国土交通省は6月を『不正改造車を排除する運動』の強化月間とすると発表しました。取り締まりは、普通車だけでなく大型車や二輪車も対象となっており、検問などで取り締まりを強化する模様です。そこで、見落としがちな違法改造や整備不良、捕まった際にどのような罰則があるのかをご紹介。カスタムカーを所持している方や、最近メンテナンスや整備してないなぁ~という方は必見です。
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令和最初の『不正改造車を排除する運動』取り締まり強化実施
『不正改造を排除する運動』の強化月間が、今年6月1日から30日まで近畿・沖縄を除く各運輸局地区で実施され、7月には近畿運輸局地区、10月には内閣府沖縄総合事務局地区と、順次展開されます。
強化期間中は、全国で163回以上の街頭検査が行われたり、不正改造車や整備不良の車両を見つけ次第、注意勧告・整備命令の発令や、不法改造をなくすための啓発活動が行われる事に。
この活動は、警察機関以外に自動車技術総合機構、軽自動車検査協会と連携して実施し、自動車整備士養成施設への出張講座も行われます。
不正改造の定義とは
不正改造車とは、どのような定義なのでしょうか?
日本の法律である、道路運送車両法の第99条の2には
何人も、第五十八条第一項の規定により有効な自動車検査証の交付を受けている自動車又は第九十七条の三第一項の規定により使用の届出を行つている検査対象外軽自動車について、自動車又はその部分の改造、装置の取付け又は取り外しその他これらに類する行為であつて、当該自動車が保安基準に適合しないこととなるものを行つてはならない。
と記載されています。
『第五十八条第一項』は自動車の検査及び自動車検査証について、『第九十七条の三第一項』は検査対象外軽自動車の使用の届出等についてのことで、不正改造車とは、定められた保安基準に適合しない改造を行ったり、装置を取り外したようなクルマです。
また、車検時だけ保安基準に適合させたとしても、それ以降に不正改造を行い公道を走ることは違法となります。
そのため、カスタムカーを製作する際は車検適合したパーツを取り付けたり、保安基準に沿った改造でなければなりません。
さらに、整備不良のまま公道を走行しても違反切符を切られたり、反則金が発生するため、ドライバーは常に保安基準に適合し、不良のない状態でクルマを走らせる必要があるのです。
強化期間中に取り締まられやすい改造内容は
強化期間中、重点的に取り締まりが行われる不正改造内容は、『重点排除項目』と『基本排除項目』、さらに地域運輸局が地域の事情や要請を考慮した上で独自に重視する排除項目を設ける『地方独自排除項目』の3つに分けられます。
重点排除項目
1,マフラーの切断・取り外しや騒音低減機構が簡単に取り外せる等、基準不適合マフラーの装着
2,タイヤの、車体外へのはみ出し
3,大型貨物自動車の速度抑制装置の取り外し、解除または不正な改造や変更
4,シートベルト警告装置が無効になっている、または解除する用品を装着
5,フロントガラス、運転者席/助手席側の窓ガラスへの着色フィルムの貼り付け
基本排除項目
1,フロントガラスへの視界を遮るような装飾板の装着
2,周辺状況を確認するための直前直左のミラー又は、カメラ及び画像表示装置の取外し
3,不適合な灯光色への変更、また義務化されている灯火器の取り外し
4,ダンプ車の荷台へのさし枠の取付け及び、リアバンパ(突入防止装置)の切断・取外し
5,基準外のウイング(エア・スポイラ)の取付け
6,不正な二次架装
7,不正軽油燃料の使用
不正改造車の情報提供や通報を実施
不正改造車は、警察官が発見して取り締まるだけではありません。
一般市民が不正改造車や迷惑黒鉛車を見つけた場合も通報する事ができ、国土交通省は電話やFAXで情報提供を受付けています。
不正改造は近所の騒音問題になるため、行政だけでなく一般市民からの協力も促して不正改造車の取り締まりを行っているのです。
また、強化期間中は、これまで報告されている不正改造車を警察官が一斉に取り締まる可能性もあります。
そんな不正改造車・迷惑黒煙車情報提供窓口の設置についてはこちらです。
もっとも捕まりやすい場所は
不正改造車が通報されるようになり、警察官側も不正改造車が集まりやすい場所での検問を行っています。
カスタムカーの祭典『東京オートサロン』では、2018年1月14日に会場である幕張メッセ周辺で深夜に検問が行われ、四輪車35台を検査し、7割以上となる26台に整備命令書が交付されました。
このように国土交通省は強化期間中、不法改造車が集まりやすいカスタムカーイベントで街頭検査を行うとしているため、一般市民からの情報提供のもと、カスタムカーが集合する大型パーキングエリアでは検問が行われる可能性は高いと言えます。
不正改造をしたときの罰則
不正改造や整備不良で警察官から止められた際は、反則金と違反点数が発生します。
違反内容 | 点数 | 反則金 | |||
---|---|---|---|---|---|
大型車 | 普通車 | 二輪車 | 原付車 | ||
整備不良(制動装置等) | 2点 | 12,000円 | 9,000円 | 7,000円 | 6,000円 |
整備不良(尾灯等) | 1点 | 9,000円 | 7,000円 | 6,000円 | 5,000円 |
夜間にクルマで走っていると、たまにヘッドランプが片方切れている車両に遭遇することがありますが、これも『整備不良(尾灯等)』で、取り締まりの対象です。
以前、灯火類の整備不良で警察官に止められ、注意だけで済んだという経験がある方でも、強化期間中はしっかりと違反切符を切られる可能性が高まります。
『整備不良(制動装置等)』はブレーキやタイヤなどの整備不良による違反のこと。
制動装置の不備で捕まったという話は、あまり聞いた事がないかもしれませんが、ブレーキパットが減っていたり、タイヤが摩耗しきってスリップラインが出てきても交換すること無く使い続け、それが原因で事故を起こしてしまうと、整備不良(制動装置等)で違反切符を切られ、反則金が発生します。
不正改造は懲役刑になることも
不正改造は違反だけでなく犯罪として扱われ、6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰則が科せられる場合があります。
また、不正改造で取締りを受けた車両には、整備命令標章のステッカーが貼られます。
そのステッカーが貼られたら、その日から15日以内に保安基準を満たす整備を受け、運輸支局で検査を受けなければならず、整備命令を無視した場合は50万円以下の罰金が発生。
不正改造車の使用者には、重い罰則が待っており、「知りませんでした」では済まされないのです。
まとめ
不正改造は犯罪になることを思えば、強化期間中だけ気を付けたらいいと考えず、保安基準を満たさないカスタムカーで公道走行しないことを銘記することが重要です。
令和最初の『不正改造車を排除する運動』強化月間実施を機に、愛車が保安基準を満たしているか、改めて確認してみてはいかがでしょうか。
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