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法律ではどうなってるの?愛車のメンテナンスはどこからプロに任せるべき!?

自ら行うクルマの整備はどこまでならやっていいのか、気になった事はありませんか?自分で愛車をメンテナンスして、クルマをイジることに楽しさを見出だす方も少なくはないはず。もちろん、専門的な工具や機材が必要な場合は、プロに任せることもあると思いますが、そもそも法律的にはどこまで自分の手で行なってよいのでしょうか?

出典:写真AC

自分の愛車なら整備とカスタムで制限無し!

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クルマの整備をする際に、無資格者がどこまでやっていいのかは、きちんと法律で決められています。

道路運送車両法第78条では『自動車分解整備事業を経営しようとする者は、自動車分解整備事業の種類及び分解整備を行う事業場ごとに、地方運輸局長の認証を受けなければならない』とされており、他人名義のクルマの分解整備を行う場合は、有償無償にかかわらず自動車整備士の資格が必要になります。
また、例え整備士資格を保有していたとしても、認証工場外での分解整備することはできません。

では、自分名義のクルマではどうなのかというと、整備士の資格がなくても分解整備を行ってもよく、あくまで自分で自分の愛車をイジるのであれば制限はありません。

分解整備とはどこまでの整備?

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では、法律にある『分解整備』というのは、具体的にどのような整備を指すのでしょうか?

第三条 法第四十九条第二項 の分解整備とは、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一  原動機を取り外して行う自動車の整備又は改造
二  動力伝達装置のクラッチ(二輪の小型自動車のクラッチを除く。)、トランスミッション、プロペラ・シャフト又はデファレンシャルを取り外して行う自動車の整備又は改造
三  走行装置のフロント・アクスル、前輪独立懸架装置(ストラットを除く。)又はリア・アクスル・シャフトを取り外して行う自動車(二輪の小型自動車を除く。)の整備又は改造
四  かじ取り装置のギヤ・ボックス、リンク装置の連結部又はかじ取りホークを取り外して行う自動車の整備又は改造
五  制動装置のマスタ・シリンダ、バルブ類、ホース、パイプ、倍力装置、ブレーキ・チャンバ、ブレーキ・ドラム(二輪の小型自動車のブレーキ・ドラムを除く。)若しくはディスク・ブレーキのキャリパを取り外し、又は二輪の小型自動車のブレーキ・ライニングを交換するためにブレーキ・シューを取り外して行う自動車の整備又は改造
六  緩衝装置のシャシばね(コイルばね及びトーションバー・スプリングを除く。)を取り外して行う自動車の整備又は改造
七  けん引自動車又は被けん引自動車の連結装置(トレーラ・ヒッチ及びボール・カプラを除く。)を取り外して行う自動車の整備又は改造
引用:道路運送車両法施行規則

この中で、特に気になるのがブレーキシュー(パッド)の交換です。

ブレーキシューは、クルマの消耗品の中で非常に重要な部品で、摩耗が激しくなれば新しいものや高性能な社外品に変更しますが、たとえ友達のクルマであっても、整備士の資格を持っていなければ交換する事はできません。

しかし、それ以外の消耗品はエンジンオイル、プラグ、タイミングベルト、そしてタイヤ交換まで、他人のクルマであっても整備はできるようです。

さらに、ホイールからタイヤを脱着する作業も整備士の免許を持っていなくても構いませんが、注意点として2輪車の場合は、タイヤの脱着も他人名義であれば整備士免許が必要です。

理由は、2輪車の場合、タイヤの脱着でもブレーキキャリパーからブレーキローターを外すため、ブレーキ整備の一環と見なされているからです。

愛車を分解整備したときの注意点

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道路運送車両法 第四十七条に『自動車の使用者は、自動車の点検を行い、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない。(日常点検整備)』と書かれており、安全に走るための日常メンテナンスや整備は、怠ってはならないことが定められています。

日本は自動車整備のサービス網が行き届いているので、整備が必要なときは修理を請け負ってくれる整備業者が積載車でクルマを取りに来てくれたり、急に走行不可能になってもJAFなどのロードサービスが全国どこでも受けられます。

このように、日本では法律上定められた自らの愛車の整備は、プロの業者に頼むことが”普通”とされていますが、整備やメンテナンスを自分で楽しみたい方や、整備工場での技術料を節約したいという方もいると思います。

とはいえ、自分名義のクルマであれば自分で分解整備をする事は合法ですが、適正な整備が行えているのかは別の問題です。

整備中にケガを負ってしまう恐れもあり、自分の整備やカスタムが不十分であれば、いざ走り出した時に途中で不具合が出ることや、ブレーキが利かなくなってしまうなど、重大事故を起こしかねません。

自ら整備を行うときは最大限の安全確保と、ネジ一本すらキチンと締まっているか、確認するぐらい慎重に行うことが重要です。

そして、ブレーキのような重要部分は自ら整備を行う上では不安要素が大きいので、工具が揃っていないのあれば、無理に自分で行わず、認定整備工場または指定整備工場に依頼しましょう。

自ら整備をするうえで、専用工具の有無は、重要な判断材料です。

タイヤを交換するだけでも、ホイールナットをただ単に力いっぱい締めるのではなく、専用のトルクレンチを使用し、指定された締め付けトルクで締めなければなりません。

締め付けトルクが不十分であれば、走行時にナットが緩んでしまい、締め付けトルク以上の力で締めこんでもハブボルトが折れてしまい、ホイールが取れてしまうこともあります。

自らの整備技術の向上や、取り付け説明書の熟読、そして適性な工具を揃えてからセルフメンテナンスを行いましょう。

まとめ

クルマ好きなら、チューニングやドレスアップ、カーアクセサリーの取付けを自分で楽しむ人が多数いると思います。

自ら整備やカスタムを楽しむ事は、とても有意義で楽しいものですが、そのクルマを公道で走らせるには、責任が伴うことを忘れてはなりません。

不安なまま整備を行ったり、カスタムを行うのであれば、プロに任せてしまった方が安心・安全です。

愛車の分解整備を行う際には、ドライバーとしての責任をもって行いましょう。

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著者:池田 勇生

自動車・バイクを専門にフリーライターをしています。10代からTVでバイクレースを観たり、自らミニバイクレースへ参戦もしたりなんかして、プロレーサーに憧れていた青春時代を過ごしていました。車離れやバイク離れといわれる昨今ですが、若い方へ多くの魅力を伝えていき今後の自動車・バイク業界を盛り上げていきたいです。

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