アウディは100%電気で走るSUV『アウディ・e-tron(イー・トロン)』を発表し、本格的にEV市場への参入を果たしました。そんなアウディは、電気自動車レースの最高峰『フォーミュラE』への参戦や、量産型電気自動車開発を早い段階で発表してきたため、今回のe-tronはユーザーの期待を裏切ることはできません。
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2025年までに1/3をEV化!その第一号『e-torn』の完成度はいかに!?
アウディはEVラインナップの充実に注力し、2025年までには全世界の主要市場において12種類のEVを登場させて、総販売台数の約3分の1をEVにすることを発表しています。
そして今回発売された『アウディ・e-tron(イー・トロン)』は、アウディ初の市販EVでありながら非常に高い完成度であることが話題となりました。
日本への導入は2019年内を予定されており、これからe-tronを購入した顧客がどんな反応を示すのか楽しみな一台です。
上海でコンセプトモデルを公開!実車と比較しても遜色なし
e-tronの開発が明るみになったのは、2017年4月18日に中国で開催された『上海モーターショー2017』のプレビューイベントで、コンセプトモデルが発表された際のこと。
上海モーターショー2017で発表されたコンセプトモデル『e-tronスポーツバック』は、最大出力503PS、0-100km/h加速約4.5秒、航続距離最大500kmというスペックを誇り、EV業界に衝撃を与えました。
とはいえ実車のe-tornは2年前に公開されたコンセプトモデルよりスペックこそ劣りますが、それでも他メーカーが生産しているEVと比べて、秀でている部分が多数見受けられます。
総重量約3トン!強力なモータートルクを生かしたクアトロ、アウディ・e-tron
e-tronのボディサイズはQ7より若干小さく、乗車定員5名でラゲッジ容量は660リットルを確保。
後部座席を倒せば、1,725リットルまで拡張可能となっています。
さらに、フロントフード下には60リットルのラゲージコンパートメントも用意されているため、荷物を積むには十分実用的だと言える広さです。
しかしながら、Q7のような3列シートではなく2列シートの5人乗りになるため、ゆとりある室内を実現。
フロア下に敷き詰められたリチウムバッテリーは約700kgの重量があり、これに前後モーターを搭載してバッテリーとモーターには冷却用のクーラントが循環しています。
これは直流急速充電に対応するために必須の冷却システムで、バッテリーは常に最適な25~35℃に保たれています。
また、急速充電システムは最大150kWに対応し、30分で約80%まで充電可能。
日本導入となれば、充電コネクターはCHAdeMO(チャデモ)式を使用することになるでしょう。
さらにe-tronのシャシーには、軽量化のためにアルミを鋳造または鍛造で加工したパーツが至るところに用いられ、エアサスのアーム類やモーターブラケットまでアルミ製です。
これに前後非同期のモーターが搭載されたアウディ独自の前後4輪を駆動させるクアトロシステムになっており、前後モーターは合計で最高出力407.8PS、最大トルク355N・mを発揮します。
そして走行時に強力な加速力を発揮させたいときはブーストモードを選択し、0-100km/h加速は5.7秒を実現!
最高速度は200km/hでリミッターが効くように設定されていますが、約3トンもある車体をこれほど瞬時に加速させるモーターのパワフルさは想像に容易いです。
EVの常識を覆すアクセルオフでもコースティング可能に
日産はe-POWERとリーフのようなEVにおけるワンペダル走行で、十分に減速してエネルギー回生による電力回帰によって長い後続距離を可能としたことを大体的に宣伝しています。
これによりEVに対する消費者のイメージは、アクセルを離せば回生ブレーキが発生してバッテリーが充電されるという考えが定着しています。
こちらは確かに素晴らしいシステムではありますが、コースティング(惰性で空走すること)できないことに違和感を感じる方も少なくありません。
通常のガソリンエンジン車であればギアやCVTで駆動しているため、アクセルオフ時にはエンジンブレーキが働きます。
そこでアウディはクラッチをきってエンジンブレーキの介入をなくし、アイドリング状態を維持し、惰性で走行することで燃費を良くすることをコースティングと呼ぶのですが、e-tronはEVながら、そんなコースティングも可能としています。
コースティングするか回生ブレーキが作動するかは、ナビの地図データも利用しながらの交通環境に応じて自動で変化する仕組みです。
また、ステアリングパドルで回生ブレーキのレベルを手動で3段階まで切り替える事も可能ともなっています。
設定する事でブレーキペダルを踏み込んでも0.3G相当までは回生ブレーキのみが効き、機械式ブレーキが作動しません。
バーチャルエクストラミラーが意外にもエアロダイナミクス効果を向上させる!?
e-tronのトピックのひとつに、カメラ式ミラー『バーチャルエクステリアミラー』の採用があります。
レクサスESに搭載されるカメラ式ミラーと同様で、カメラで撮影した映像を車内のOLEDモニターに映し出し、モニターはドアハンドル前のトリムに一体化。
ドアミラーを無くした背景には後方確認における視認性の良さや予防安全システム搭載などもありますが、一番はエアロダイナミクスです。
なぜなら空気抵抗がEVの航続距離を短くさせる最大の要因で、エアロダイナミクスは一番優先して考えなければならない事項でした。
その答えがバーチェルエクステリアミラーの採用であり、一般的なドアミラーを装着した際Cd値は0.27ですが、バーチャルエクステリアミラーであれば0.27を実現。
コスト高になり車体価格を高額にするパーツではありますが、航続距離延長に寄与するのであれば十分価値があると思います。
『アレクサ!』と呼びかければAmazonサービスがハンドフリーで使えちゃう
メルセデスベンツやBMWなどの新型車にはAI機能が搭載されるようになり、話しかけてクルマを操作する時代になってきました。
どれも、各メーカーが独自で開発した機能ですが、e-tronではAmazonの音声サービス『Alexa(アレクサ)』が採用されています。
LTE通信モジュールを装備し、スマホと接続しなくても自らのAmazonアカウントとリンクさせての音声操作が可能。
アマゾンサービスの『Audible(オーディブル)』『Amazon Music(アマゾンミュージック)』、『Tuneln(チューイン)』など、『アレクサ』に呼びかければ人工知能が応えて起動してくれます。
これは通販の注文や音楽のストリーミング再生はもちろん、自宅ドアの解錠&施錠、ガレージシャッターの開閉、照明のON/OFFなど、生活に密着した動作を車の中から音声操作できる優れものです。
スペック
アウディ・e-tron | ||
---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 4,901×1,935×1,616 | |
ホイールベース(mm) | 2,928 | |
車重(kg) | 2,490 | |
駆動方式 | 4WD | |
モーター | 永久磁石同期式電動モーター | |
フロントモーター | 最高出力(kW[PS]) | 135[183.5] |
最大トルク(N・m[kg・m]) | 309[31.5] | |
リアモーター | 最高出力(kW[PS]) | 165[224.3] |
最大トルク(N・m[kg・m]) | 355[36.2] | |
システムトータル | 最高出力(kW[PS]) | 300[407.8] |
最大トルク(N・m[kg・m]) | 664[67.7] | |
前/後タイヤサイズ | 255/55R19 | |
一充電最大走行可能距離(km)[WLTPモード] | 400 | |
交流電力量消費率(km)[WLTPモード] | 100 |
まとめ
今年1月28日にe-tronを日本に導入することをアウディ ジャパンは発表し、年内の発売が予定されています。
北米での販売価格は75,795ドル、日本円で約838万円(2019年2月23日時点)となっているので、日本発売になれば850万円ぐらいで売り出されるのではないでしょうか。
また、アウディはポルシェと共同開発したe-tronの4ドアスポーツ版とみられる『e-tron GT concept』を発表し、2020年には生産することを明らかにしています。
さらに、これ以外でもコンパクトカーからスーパーカーまでさまざまなEVと登場させるはず!
EVといえば米テスラモーターズや日産リーフのイメージが強いのですが、e-tronの登場でアウディもEV技術を牽引する自動車メーカーという位置付けになっていくことでしょう。
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