社会人5年目のボクが、初めて購入したクルマはスズキ「ジムニー」。にわかオフローダーと言われても、仕方がない初心者だけど、ジムニーを所有したから知る、はじめての世界で少しづつ成長していきました。

Photo:Takanori ARIMA / Text : Yoshitaka TAMEYA

人生のお手本?

入社して1年。そこそこ仕事も覚え、それなりにプロジェクトを任せてもらえるようになった。
そんな仕事・社会のイロハを教えてくれたのが先輩だった。

先輩はまだ20代前半だけど、上層部からの信頼も厚く、同期のなかでも出世頭として一目置かれてる存在。
そんな先輩の元で仕事ができたのは、僕にとってはとてもラッキーな事だった。

プライベートでもホームパーティーやBBQなど、すっかりお邪魔している弟分というべき関係。

いうなれば尊敬する先輩から仕事だけでなく、社会での立ち居振る舞いや、その他多くのものを教えてもらってる。


そんな先輩の愛車を、以前見せてもらったことがある。
センスよくカスタムされた、スズキジムニーシエラだ。

その愛車で林道など、いろいろな所に連れて行ってもらっているうちに、そこで飲むコーヒーの美味さや、アウトドアの魅力をすっかり吹き込まれてしまい、投資用に貯めていたお金で、ついクルマを買ってしまった。

僕が選んだのは、もちろんジムニー。
維持費が安く、コンパクトな軽自動車モデルのほうだけど、ターボ付きでよく走ってくれる。

ただ人気モデルだし、人と被るのは嫌だと思っていたので、先輩にジムニー購入を報告がてら相談すると、「DAMDのボディキットを組んでみなよ」とのアドバイス。

そういえば先輩のジムニーも、カスタマイズされていたな。とまあ、こんな流れで個性派ジムニー乗りになったというわけ。

 

はじめての林道

先輩に「今度の週末空いてるか?」と声をかけられた。

「せっかくジムニーを買ったんだから、林道を走ってオートキャンプに行こう」とのお誘いだ。もちろん即決。
街中じゃわからないジムニーの実力も知りたかったんだ。

早朝、先輩と合流し、多摩川沿いを北上。中央高速に乗って秩父方面へ。
高速を降りてしばらくすると、先輩がスーパーに寄ろうと合図した。

「とりあえず、食材はここで買っていこう。なにか食べたいものを選びなよ」といってくれたけど、「いえいえお任せします」と荷物持ち。

テキパキ食材を選ぶ先輩には、きっと食事のイメージがあるんだと思う。とにかく今日は、いろんな意味で教えを乞うとしよう。

先輩のシエラのトランクには、大きなクーラーボックスが積んであり、そこに肉や飲み物を入れる。

DAMDのボディパーツを装着したことにより、僕らのジムニーはレンジローバーのディフェンダーを模した姿になっている。

だけど、デザイン的に破綻していないし、こうした日常使用に問題がないのも素晴らしいところだと思う。

突然、路肩にハザードを焚いて先輩が止まる。
地図でのルートチェックだ。

目的地のオートキャンプ場は、ナビを信じても到着しないようで、「この先から未舗装の林道になるから、気を付けていくぞ」と先輩。
好奇心と少しの不安が頭をもたげる。

「初心者向けの林道だけどな。」と、先輩は笑っていたけど、鬱蒼とした未舗装路は!なんとも文明社会から切り離されたようで不安になる。

とにかく、先輩のテールランプを見失なわないように走ろう。


途中、すれ違うクルマはほとんどない。
すれ違ったのは、やはりSUVモデルばかりで、先日の台風の影響か、小さな落石が結構見られた。

先輩の走行するラインに、忠実について行き、落石を避けていく。

たまに、木の枝がフロントウィンドウ上部を掠めることもあるけど、開けた窓からの空気はなんとも清々しく、とても美味い。非日常の体験というべきか。

やはり、未舗装路の少々ウェットな場面では、4WDの力というか、ジムニーの走破性能の恩恵を感じる。
一瞬のタイヤの空転のあと、またトラクションがかかって前に進む。
何度かブレーキLSDトラクションコントロールの働きを感じることができた。

こんな山奥に、はたして人がいるのだろうか。
なんて考えながらも進んでいくと、目的のオートキャンプ場に到着した。

「お疲れさん、楽しかったろ!?」と先輩。
「はい、少し怖かったけど、楽しいです!」と返したのは、僕の正直な感想だ。

体にしみる旨さ

気が付けば、もう夕方に近い時刻。急いで食事の支度にとりかかる。

先輩が用意してくれた、折り畳みのアウトドア機材の展開を手伝う。

本当に便利なアイテムがあるものだ。

見たことのないアウトドア用の調理器具が、目の前に並べられていく。

「安いソーセージだけどさ、塩コショウで焼くだけで本当美味いんだよ。こういう場所で食べるからなのかな、いつも不思議なんだけどさ。」

そう言いながら目の前で焼いてくれたソーセージを、フォークに刺してがっつく。

噛むほどにうま味が出てきて、家やお店で食べるのとは何かが違った。

「空気、かもな」と先輩。

食器とゴミの片づけをしていると、「明日は渓流沿いを走るから、そこの水を沸かしてコーヒー飲もう。これが最高に美味いんだ」と、楽しそうに話してくれた。


マットを敷いた狭いジムニーの車内で、横になりながら眠りにつく。

小さなクルマでも、工夫次第でこんなにもいろんなことができるものだと、予想外の感動が込み上げてくる。

さて、明日はどんな冒険が待ってるのか。
いずれ自分の後輩や子供ができたら、こんな体験をさせてあげたいな。なんて、その前に伴侶探しが先だな。と、たわいもないことを考えていたら、眠くなってきた。

とりあえず、明日のコーヒーをしっかり美味しく味わおう。

DAMDジムニーフォトギャラリー

ジムニーシエラ

ジムニー

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