近年、クルマのドアハンドルはグリップ式が採用されるようになりました。かつて、国産車ではフラップ式が主流でしたが、グリップ式が増えてきたのは、なぜなのでしょうか。
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いつのまにか増えていたグリップ式ドアハンドル
ひと昔前、国産車のドアハンドルはフリップ式が主流でしたか、現在はグリップ式が主流となりつつあります。
ミニバンなどでは運転席からリアドアをオートスライドで開閉できたり、両手がふさがった状態でも足を車体下部にかざして自動でドアが開く『ハンズフリーオートスライドドア』なども登場し、ドアの開閉も技術革新が進んでいます。
しかし、グリップ式ドアハンドルは昔からあるものなので、技術革新により増えた訳ではありません。
ではなぜ、国産車にグリップ式ドアハンドルの採用が増えたのでしょうか。
近年の国産車が排ガスや安全基準を欧州車規格に合わせる傾向にあることが、グリップ式ハンドルの採用にも関係しているようです。
軽自動車もグリップ式ドアハンドルが主流に
国産車のフロントドアとリアドアのドアハンドルは、2000年代に入ってからモデルチェンジに伴い乗用車、軽自動車問わず、フラップ式を採用していたモデルがグリップ式へ変わっていきました。
例えばトヨタを代表する乗用車『カローラ』は、2000年発売の9代目モデルでフラップ式からグリップ式へ、軽自動車ではスズキ・ワゴンRが、2008年発売の4代目モデルからグリップ式になりました。
そして現在のトヨタとスズキのカーラインナップ全車種のドアノブに注目すれば、トヨタが販売している乗用車49モデル(軽自動車は除く)中48モデルがグリップ式で、唯一のフラップ式はハイエースワゴン(3ナンバー10名乗り仕様)のみ。
スズキの軽自動車ラインナップでは、商用車を除き11車種中7車種がグリップ式を採用しており、グリップ式が当たり前と言っていいほどです。
フラップ式ドアハンドルとは
フラップ(flap)とは「(鳥が)羽ばたく」や「(カーテンやドアが)ぱたぱたと動く」ことを意味し、フラップ式ドアハンドルは板状の下側から手を差し込んで板を上げてドアが開きます。
そんなフラップ式のメリットは、ドアボディに対してフラップ部分の凸がなく、平面に収めることができるため、デザインの自由度が増し、走行時の空気抵抗が軽減される事。
また、フラップを引き上げる際、グリップ式よりも少ない力で開けやすいことから、力の弱い子供や高齢の方でも操作しやすい事が挙げられます。
一方でデメリットは、厚手の手袋を装着しているとフラップ部分に手を差し込みにくく、爪の長い女性であれば、爪がボディに当たって傷ついたり、爪が割れてしまうこともある点です。
グリップ式ドアハンドルとは
グリップ式ドアハンドルは、その名の通りアウタードアハンドルを握り、手前へ引くことでドアが開きます。
ドアの開閉時にドアハンドルに対し上からでも下からでも手を入れることが可能なため、厚手の手袋をしていたり、爪の長い方でも楽にドアを開閉することが可能です。
デメリットは、ハンドル部分が突起しているので空気抵抗を受けやすく、フラップ式ドアハンドルよりもデザインの自由度が限られること。
また、グリップ式はフラップ式よりもコストが高いとされています。
欧州式のクルマ作りがグリップ式を主流にした理由
欧州車は国産車より早く、グリップ式ドアハンドルを採用してきました。
独 フォルクスワーゲンは初代ビートルから現在のカーラインナップすべてに至るまでグリップ式を採用しており、メルセデスベンツやBMWなども旧モデルからグリップ式です。
世界の自動車業界を牽引してきたドイツメーカーがグリップ式となれば、それが世界基準となるのは必然でしょう。
安全性重視がグリップ式を普及させた
ドイツメーカーがグリップ式を採用してきた理由は、ドイツの冬は寒くなる地域が多いため、厚手の手袋をつけたままでも開閉しやすくするため。
そして、万が一事故でドアが開かなくなった時は、ドアハンドルにロープを結び、ドアをこじ開けやすくするためでした。
これは安全面を優先した結論であり、ドアが開かないほどクルマが大破してしまったり、川や海に転落して水圧で開かなくなった場合でも、ロープを使ってドアを無理やり開けるためにはグリップ式が現在の最適ということです。
では、なぜ今更国産メーカーがグリップ式を搭載し始めたのかといえば、安全性が昔よりも重要視されるようになり、欧州メーカーの基準に合わせようとしているからでしょう。
まとめ
グリップ式が主流といっても、フラップ式が衰退していく訳ではありません。
近年のコンパクトSUVやハッチバックモデルにはクーペシルエットのスタイルが採用されはじめ、リアドアのドアノブがCピラー付近の上部に配置される事が増えているため、後ドアのドアノブが目立たないように、フラップ式が採用されています。
このように、グリップ式が主流になった現在も、ボディタイプによってフラップ式はまだまだ健在なのです。
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