10月1日から10%に引き上げられた消費税に伴い、自動車取得税が廃止されました。その代わりに環境性能割が導入されて実質、自動車取得税よりも税率が低くなりますが、増税前と増税後では、クルマを購入するための費用はどう変わるのでしょうか。環境性能割の詳細や、増税前と後での購入金額の差を解説します。
環境性能割は課税率ほぼゼロ
10月から、自動車税の税率が下がりました。
消費税が10%になることで、消費者の買い控えが蔓延すると経済が低迷してしまう恐れがあるため、政府はポイント還元制度のほかに、自動車税の減税、さらには自動車税取得税を廃止し、代わりに環境性能割を導入する事を決定。
環境性能割は、名前の通り環境性能が高いクルマの税率を下げるという税制ですが、それなら従来のエコカー減税適用後の税率と変わりはありません。
しかし、エコカー減税では燃費基準の達成率で税率に違いがありますが、環境性能割では2020年9月30日までの臨時措置として、達成率に関係なく課税されないのです。
また、税率も一部乗用車の『2020年燃費基準達成車』では1%ですが、それ以外はすべて0%になります。
環境性能割とは
環境性能割は、売買などで自動車を取得した人に課税される税金です。
環境性能割の課税額は、取得標準基準額にオプション価格を足した金額(取得価額)と税率の積で求めれます。
取得標準基準額は車検証記載の型式などから車種やグレードを判断し、税事務所で使われる『環境性能割の課税標準基準額及び税額一覧表』に記載された金額が適用され、目安として新車価格の90%程度とされます。
新車購入時の環境性能割・税額の求め方
取得価格 × 環境性能割の税率 = 環境性能割の税額
課税標準基準額 + オプション価格 = 取得価額
環境性能割の税率
環境性能割は10月1日から1年間、臨時的軽減として基本税率から▲1%分減税されます。
スポーツカーでは燃費基準達成していないモデルもあり、新車価格から3%の取得税が追加されますが、臨時措置では乗用車で2%、軽自動車で1%になります。
乗用車
自動車取得税(2019年4月1日~9月30日) | 環境性能割(2019年10月1日~2021年3月31日) | |||
---|---|---|---|---|
エコカー減税適用後税率 | 2020年10月1日以降 | 2019年10月1日~ 2020年9月30日まで 臨時的軽減 |
||
電気自動車 | 非課税 | 0% | 0% | |
2020年度燃費基準+40%達成車 | 非課税 | 0% | 0% | |
2020年度燃費基準+30%達成車 | ▲50% | 1.5% | 0% | |
2020年度燃費基準+20%達成車 | ▲50% | 1.5% | 0% | |
2020年度燃費基準+10%達成車 | ▲25% | 2.25% | 1% | 0% |
2020年度燃費基準達成車 | ▲20% | 2.4% | 2% | 1% |
上記以外の自動車 | – | 3% | 3% | 2% |
軽自動車
自動車取得税(2019年4月1日~9月30日) | 環境性能割(2019年10月1日~2021年3月31日) | ||||
---|---|---|---|---|---|
エコカー減税適用後税率 | 2020年10月1日以降 | 2019年10月1日~ 2020年9月30日まで 臨時的軽減 |
|||
電気自動車 | 非課税 | 0% | 0% | ||
2020年度燃費基準+40%達成車 | 非課税 | 0% | 0% | ||
2020年度燃費基準+30%達成車 | ▲50% | 1.0% | 0% | ||
2020年度燃費基準+20%達成車 | ▲50% | 1.0% | 0% | ||
2020年度燃費基準+10%達成車 | ▲25% | 1.5% | 0% | ||
2020年度燃費基準達成車 | ▲20% | 1.6% | 1% | 0% | |
上記以外の自動車 | – | 2% | 2% | 1% |
中古車購入の場合
中古車購入の際も、取得税と同様に環境性能割が課税されます。
中古車は経過年数6年未満だと取得価額がかかり、取得価額は課税標準基準額と残価率の積により求められます。
また、取得価額50万円以下であれば課税されません。
残価率一覧 | ||||
---|---|---|---|---|
経過年数 | 残価率 | 経過年数 | 残価率 | |
1年 | 0.681 | 4年 | 0.215 | |
1.5年 | 0.561 | 4.5年 | 0.177 | |
2年 | 0.464 | 5年 | 0.146 | |
2.5年 | 0.382 | 5.5年 | 0.121 | |
3年 | 0.316 | 6年 | 0.100 | |
3.5年 | 0.261 |
中古車購入時の環境性能割・税額の求め方
累計標準基準額 × 残価率 = 取得価額(1,000円未満は切り捨て)
取得価額 × 環境性能割の税率 = 環境性能割の税額
例として、新車登録から3年が経過したトヨタ86の中古車を200万円で購入するとします。
環境標準基準額を車体価格の90%とすると180万円になり、3年経過は残価率0.316をかけると取得価額は56.8万円。
これに、86は燃費基準達成車ではないため、取得価額に環境性能割の税率2%をかけると11,376円となって、これが環境性能割の税額になります。
まとめ
トヨタ86 GT“Limited”・AT車の税抜き車両価格が301万円で、これに消費税8%を課税すると325万円。消費税が10%となると331万円です。
さらに車両価格から増税前の取得税は8.1万円、増税後の環境性能割では5.41。(累計標準基準額は税抜き価格の90%、燃費基準は未達成とする)
そして、自動車税は増税前で3.95万円、増税後は3.6万円。
取得税および観光性能割の税額と自動車税の税額を増税前・後でそれぞれ足し合わせ、比較すると増税後のほうが3.04万円安くなります。
しかし、消費税では6万円の差があるため、増税後は増税前より購入金額で2.96万円増額。
自動車の税金に関してはいくつか負担低減措置はとられましたが、消費税10%になったことでクルマの購入は、今までよりも出費が多くなるのが現状です。
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