BMWの3シリーズと言えば、メルセデスCクラス、アウディA4と並び、ドイツ製ミドルクラスセダンにおける定番モデルです。これまでに6度のモデルチェンジを繰り返しつつも、世代を超えて多くの人に愛されてきました。そんな、時代のニーズを採り入れつつも、BMWらしい骨太な哲学を持ち続けてきた歴代モデルの歴史と変換を振り返ります。
掲載日:2019.9/3
CONTENTS
初めは2ドアセダンだった。初代3シリーズ(E21)
初代にあたるE21系は現在の4ドアではなく、2ドアセダンとして誕生しました。
1975年のフランクフルトショーでデビューしたE21のエクステリアには、キドニーグリル、丸目2灯、ボンネット上のプレスラインなど、現行の3シリーズにも受け継がれている特徴的なアイコンがいくつもあることが見受けられます。
デザイン的なコンセプトとしては当時の5シリーズをダウンサイジングしたものだったため、それほど目新しいものではありませんでしたが、直線基調でまとめられた姿は、今見ても端正で整った顔立ちです。
別名「六本木のカローラ」。2代目E30
2代目にあたるE30は、82年にデビューしました。
その一年後にはボディサイズをそのままにドアを増やした4ドアが登場し、現在の3シリーズの原型が出来上がります。
4駆やコンパーチブル、ステーションワゴンといった様々なボディバリエーションが増えたのもこの時代で、グループA用ホモロゲーションモデルとして、M3が加わったのもE30からでした。
当時、バブル真っ只中だった日本における二つ名は、「六本木のカローラ」。
BMW=高級なガイシャ、というイメージが日本において定着し始めたのもこの頃でした。
空力向上に取り組んだ3代目・E36
3代目になると、4ドアセダンに主体が置かれるようになります。
2ドアはクーペと位置づけられ、4ドアセダン発表の2年後、1992年に遅れて登場したほどでした。
全体的に角張ったデザインの先代の、角を丸めたようなエクステリアデザインは、空力に配慮されたもの。
Aピラーの傾斜角をかなり寝かせることにより、CD値を0.29まで低減させています。
セダンのホイールベースは先代と比較して130mmも伸びており、これは前後重量配分を50:50にすることが狙いでした。
熟成の域に到達し始めた4代目・E46
先代E36の売れ行きも好調で、4ドアミドルクラスセダンとしての確固たる地位を築いた3シリーズ。
ボディサイズは徐々に拡大を続け、全幅は1739mmになります。
そして剛性をアップしつつも、ボディシェルは12kgの軽量化。
ナビゲーションシステムやダイナミック・スタビリティ・コントロール(DSC)等の安全性、快適性をアップさせる為の電子デバイスを装備し始めたのもE46からでした。
日本人デザイナーの手による5代目・E90
大きく印象を変えたフロントマスクのデザインは、日本人デザイナー 永島譲二氏によるものです。
この頃になると、衝突安全性や排ガス抑制等の観点からボディは大型化し、ついに全幅は1800mmを超えました。
エンジン面での進化がめざましく、直6エンジンにはバルブトロニックが搭載され、量産車としては初めて一部の素材にマグネシウムが採用されています。
電子制御デバイスにより進化した6代目・F30
2011年に発表された6代目にあたるF30型は、基本的な構成はE90を踏襲しつつも、多くの電子制御デバイスにより進化したモデルです。
電動パワーステアリングや電子制御ダンパーが採用され、電気モーターによるプラグインハイブリッド等、積極的に新技術の搭載が行われました。
また、この世代においてシリーズのナンバリングが整理され、これまでの3シリーズにおけるクーペとコンパーチブルは、4シリーズへと分類されています。
新世代のハイテク装備がてんこもりな7代目・G20
最新型のG20は、数々の先進運転支援システム(ADAS)を搭載しており、量産車としては世界初の3つの技術「レーザーライト」「ジェスチャー・コントロール」「リモート・コントロール・パーキング」を装備しています。
また、標準装備の中でも最も革新的と言えるのが、人工知能を活用した「BMWインテリジェント・パーソナル・アシスト」で、「OK BMW」の掛け声で起動するこのシステムは、まるでiphoneにおけるSiriの様に、ドライバーに様々な音声アシストを提供してくれます。
エクステリアデザインにおいては、E46の涙目型へのオマージュともとれるヘッドライトの形状が特徴的です。
まとめ
柔軟に時代のニーズを取り入れつつ、モデルチェンジするごとに必ず新技術を搭載。
エクステリアデザインやエンジンフィール等、大事な味付けはキープし続ける点は、如何にもドイツらしい車作りと言えるでしょう。
次の3シリーズは一体どのような進化を見せてくれるのでしょうか。今から楽しみです。
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