クルマの心臓と言えばエンジン。ではエンジンの心臓と言えば?そう、クランクシャフトですよね。その名の通り、クランク形状で、パッと見ジグザグな形をしています。では、そのクランクシャフトがどのように作られているか、ご存知ですか?今回は、NC旋盤(CNCターニングセンタ)を使用して、NASCARのクランクシャフトを作っている動画をご紹介します。
掲載日:2017/09/27
一本の棒が、クランクシャフトに変わっていく姿がキモチイイ!
クランクシャフトとは
エンジンの中でも、心臓部にあたるクランクシャフト。
このシャフトの精度と強度によって、エンジン自体の寿命や性能が大きく変わってくる非常に重要なパーツです。
「クランク」とは、機械の要素のひとつであり、メインの回転軸と芯がずれた軸を結ぶ機構を言います。
自動車免許を持っていれば、教習所でクランク走行などやったと思いますがが、あの構造を思い出していただければと思います。
動作としてはこんな感じ。赤い部品がクランクシャフトですね。
このように、メインの回転軸とズレた個所にもうひとつ軸を置くことで、ピストンの上下運動を回転運動に変換しています。
ちなみに、ピストンとクランクシャフトを結ぶパーツを「コンロッド(コネクティングロッド)」と言い、そのコンロッドとクランクシャフトが連結される個所を「クランクピン」と言います。
また、エンジンとつながっているメインの回転軸を「クランクジャーナル」。そしてジャーナルとクランクピンを繋ぐ個所を「クランクアーム」と言います。
そして、画像を見ると、クランクピンがついていない側のクランクアームが大きくなっていることがわかると思います。
これが「カウンターウェイト」。「バランスウェイト」とも言います。
ピストンの上下運動を回転運動に変える際に発生する慣性の力をある程度制限するために、クランクピンと反対側にウェイトが配置されており、エンジン自体の振動対策にも一役買っている個所です。
今回ご紹介する動画は、NASCARのクランクシャフトを製作します。
ではさっそく見ていきましょう!
NASCAR用クランクシャフト作成動画
まず最初に登場するのは「CNCターニングセンタ」という機械。製造関係のお仕事をされている方や、工業高校出身の方がいたら、見慣れている機械だと思います。
価格で言うと、数千万円~1億円程度。工場などに置いてある機械って、ものすごく高いんです。
機械の説明後は、簡単に作業工程と完成図の紹介をしてから、いよいよ切削に入ります。
最初はただの太い鉄の棒。これを少しずつ削って徐々に細くしていきます。
この際に、機械に固定された母材、今回だと鉄の棒が回っているので、刃物を当てれば、中心からぶれることなく表面を均一に削っていくことが出来ます。
綺麗に表面だけ削り終え、一定のサイズまで進めることが出来たら、ここからは徐々にクランクシャフトの形に変わっていきます。
母材の両端を削り、クランクジャーナルに当たる部分を作ったら、バッサリと切り込みを入れていきます。
この切込みは、クランクアーム、クランクピン部を作るために均一に作成していきます。
各シリンダー分の製作が完了したら、さらに切れ込みを入れてクランクピン、クランクアーム部の製作。
こんな感じで、クランクピン部も完成していきます。
徐々にクランクシャフトのような形が見えてきました。
最後は綺麗に面取りです。
ちなみに、こういった工作機械は0.1mm以上の単位の細かい動作が可能なので、やすりを使うわけではなく、バイトと呼ばれる刃の部分で直接削ります。
これは、機械自体の精度と、工作物の精度が高いからこそ綺麗に面を取ることが出来るのです。
そして完成!最初に紹介した鉄の棒からできたとは思えないほど美しい仕上がりです。
皆さんの愛車や、レーシングカーの心臓部、クランクシャフトは、このように作られているんですね。それにしても、美しいです。
おまけ:ミニクランクシャフト
先ほどご紹介した動画はNASCARのクランクシャフト製作でしたが、こちらは小さな小さな2気筒用のクランクシャフト。
大きさは違えども、作り方は変わらず、鉄の棒から製作されています。
やはり、徐々に見慣れたクランクシャフトに変わっていく工程が、なんともキモチイイですね。
まとめ
いかがだったでしょうか?
普段乗っている自動車、中身やその製造工程に目を向けてみると、意外と面白かったりします。
お時間がある方は、愛車の歴史やその作り方など、調べてみることをオススメします!
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