自然の地形をそのまま走行するエンデューロレース。そんなエンデューロレースが全世界で再ブレークし、人気テレビ番組 クレイジージャーニーでも特集が組まれました。そんなエンデューロレースのなかでも特に険しい道を走破するのが、完走すら難しい超過酷なレース『ハードエンデューロ』です。

掲載日:2019/08/28

人気TV番組で特集!今ハードエンデューロがアツい


ハードエンデューロというバイク競技をご存知ですか?

TBS系人気TV番組『クレイジージャーニー』で、世界一過酷なバイクレース『エルズベルグロデオ』に出場する岩戸谷蓮(いわどやれん)選手が特集され、にわかに話題となっています。

エルズベルグロデオは世界最高峰のエンデューロ選手権『ワールドエンデューロ・スーパーシリーズ(WESS)』のなかでハードエンデューロの頂点とされてあおり、完走率およそ1%の超過酷なレースです。

ハードエンデューロはまだ日本のモーターサイクル競技のなかでマイナーですが、世界規模でみれば爆発的人気で、モータースポーツの巨大スポンサーであるレッドブル主催のレースや、トヨタがメインスポンサーを務めるレースなど、大規模なレースが数多く開催されています。

エンデューロレースとは

Photo by Xtrem43

オフロードバイクを使うレースは、専用コースで行われる『モトクロス』、大ジャンプをしながら空中でトリッキーな技をきめる『フリースタイルモトクロス』、オンロードタイヤを装着しオンロードとオフロードの複合コースを走る『モタード』などがありますが、そのなかでエンデューロは、人が作り出したコースを設けず、自然の地形そのままのコースで競いあうレースです。

エンデューロレースでは、区間タイムで順位を競う『オンタイム』と、ヨーイドンで一斉にスタートして、どれだけ早くゴールにたどり着けるかを競う『クロスカントリー』があり、ほとんどのコース設定は山岳や湿地などトレールや未開地、獣道を走行するものです。

そのため、選手は基本的にモトクロスバイクを使用しますが、競技用モトクロッサーとは異なり、保安部品が付いたエンデューロ競技専用マシンや公道走行可能なモトクロスバイクをカスタムしたマシンで出場します。

ハードエンデューロレースとは

出典:https://iridewess.com/mario-roman-how-i-won-extreme-xl-lagares/

ハードエンデューロは、”ハード(Hard)”という言葉がついているように、コース設定にかなりの難所を設けたり、急坂が連続する鉱山の一角で開催されます。

コース設定の基本はクロスカントリーですが、「これ本当にバイクで走れるの?」と思ってしまうような崖や壁のような坂、岩場を攻略していかなければなりません。

また、主催者側は”簡単にゴールをさせない”ことを前提にコース設定をしているので、完走率が10%以下のレースも珍しくはありません。

あえて大きな丸太やタイヤを置いた人工的な障害物が設定されることもあり、モトクロスコースに障害物を設けたコースで『エンデューロクロス』と呼ばれるスプリントレースが行われたりもします。

ハードエンデューロコースは自然だけでなく市街地にも

出典:https://iridewess.com/mario-roman-how-i-won-extreme-xl-lagares/

ポルトガルで開催された『Extreme XL Lagares』は、自然の中ではなく、市街地で速さを競う『アーバンエンデューロレース』でした。

レースでは、丸太や巨大ブロックタイヤなどの障害物を走破するだけでなく、路地裏の階段や狭い歩道を猛スピードで走り切ります。

川沿いに設置された橋は水面に浮いているだけで道は不安定なので、道筋を外して水没する選手も!

市街地とはいえ相当危険なハードエンデューロレースで、観客と選手の距離が非常に近く、レッドブル主催のレースだけにエンターテイメント性はかなりのものです。

勝てるエンデューロマシンは2ストマシン!

300cc・2ストロークエンジンを搭載した・STUDIO KTM 300 EXC TPI / ©KTM

排ガス規制により2ストエンジンは絶滅危惧状態になっていますが、エンデューロレースでは2ストがまだまだ現役!

トップ争いをするライダーの多くが、2ストのエンデューロマシンで出場しています。

また、KTMやハスクバーナーは2ストエンジン搭載の競技用エンデューロマシンを新車販売しているため、レースでは今となっては懐かしい、2ストサウンドが鳴り響いてます。

レギュレーションでも2ストを禁止する規定はなく、エンデューロマシンは軽量、頑丈、パワフルさが重要です。

そのため、勝てるマシンとして2ストを採用するチームが多く、WESSに出場するKTMやハスクバーナーのワークスチームも2ストマシンを投入しています。

完走するためにライバル同士でも助け合う

Photo by jimno

WESSは、KTMやハスクバーナといった海外のモトクロス専門メーカーがワークス体制で参戦しているため、ワークスライダーにはチームから手厚いサポートとお金をかけたマシンが与えられます。

といっても、速さを競いつつ難関コースを走り切ることが重要となるため、ワークスマシンでも市販エンデューロマシンとあまり変わらず、頑丈さを重要視した設計です。

エンデューロでは、1度や2度転ぶことは当たり前。

人知れず滑落したり、バイクが宙に浮いてしまうことは珍しくありません。

選手はバイクが故障して動かなくならない限り、体力の限界までバイクを前へ進ませるため、走行が困難となったマシンやライダーをレースマーシャルや観客が手助けをする光景がよく見られるだけでなく、レギュレーション上も許容されています。

また、ライバルである選手同士が手助けし合うこともあり、テクニックや体力だけでなく選手同士や観客とのコミュニケーションも重要な競技です。

まとめ

Photo by canduela

ハードエンデューロレースはライバル選手と競い合う競技ですが、それよりも自然との闘いや、どんな道も恐れず絶対にあきらめない強い心が必要なため、自分との闘いでもあります。

見ていると選手のスピリッツがひしひしと感じられ、やってみたいと興味を持った方もいるのではないでしょうか。

エンデューロは競技用マシンだけでなく、ヤマハ セローやカワサキ シェルパといったトレールバイクやモトクロッサーでも十分楽しめる、敷居の低いレースです。

安く中古でバイクを購入し、専用ヘルメットやプロテクター、ブーツなど十分な安全装備が用意できれば、すぐ始められます。

見ているだけでも面白いのですが、さらに刺激が欲しい方は、是非始めてみてはいかがでしょうか。

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