史上最強で最速の呼び声も高い、バレンティーノ・ロッシ。陽気で明るい彼の性格から、ファンも多く日本でも人気が高いライダーの1人です。そんな彼が乗ってきた歴代のマシンを簡単なエピソードと共に紹介していきます。
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本格的な二輪レースのスタート カジバ・ミト125
1993年、ロッシは14歳でカジバのプロダクションチームから、カジバ・ミト125を駆りイタリア・スポーツプロダクション選手権にて、2輪レースに本格参戦を開始。
一年目は転倒などもあり、浮き沈みのあるシーズンとなりましたが、最終戦でポールポジションを獲得し、表彰台へ上がっています。
2年目には、ファクトリーチーム入り!
その年のタイトルを獲得し、天才の片鱗を見せました。
世界選手権で初めてチャンピオンを獲得したアプリリアRS125
1994年アプリリアはRSの開発・改良の為にロッシを起用し、ロータックス製エンジンのRS125でイタリア選手権に参加。
翌年にはイタリア選手権とヨーロッパ選手権を戦い、イタリア選手権ではチャンピオン、ヨーロッパ選手権では3位という好成績を収めました。
そして1996年からは、世界選手権125ccクラスに出場し、その年にチェコGPにて初優勝。ランキング9位を獲得。
翌1997年には坂田和人、青木治親、など強敵のひしめく超激戦区の125ccクラスで15戦中11勝の驚異的な成績を残し、シリーズチャンピオンに輝くのです。
またもや二年目でチャンピオンに輝いたアプリリアRS250
1998年、ロッシは250ccにステップアップを果たします。
アプリリアはチームとしても円熟期を迎えており、原田哲也、ロリス・カピロッシなどの先輩ライダー達と共にトップ争いを展開。
伝説となる最終戦アルゼンチンGPを残しカピロッシがランキングトップ、原田はシーズン中の転倒による骨折の影響から2位。
それでも原田がアルゼンチンGPで2位をとれば、チャンピオンが決まるとい注目の1戦でした。
ロッシが先行する中、2位争いの原田とカピロッシが最終ラップの最終コーナーで接触し、原田はコースアウトし転倒。
それにより、ロッシは年間ランキング2位を得たのです。
その翌年、原田、カピロッシは500ccにステップアップ。
ロッシは5度のポールポジションと9度の優勝でホンダの宇川徹を下し、またもや2年でチャンピオンに輝きました。
天才の証明、ホンダNSR500
125ccクラス、250ccクラスはそのマシン性能を最大限引き出してその上でのレーステクニックが重要なクラスとなっています。
それに比べて500ccクラスは、有り余るパワーを速く走らせるためにどう使うかがポインとなる、特別なテクニックが必要なクラスと言われています。
2000年、実質的にはワークス格となるナストロ・アズーロ・ホンダと、数々のチャンピオンを生み出した元ミック・ドゥーハンのチーフメカニック、ジェレミー・バージェスを擁し、500ccルーキーとしては驚きの待遇で1年目を迎えました。
さすがのロッシもシーズン序盤は転倒が目立ち、アジャスティングが難しいかと思われましたが、中盤には早くも安定が見え始めイギリスGPで初優勝をはたします。
そして、ルーキーながら年間ランキング2位を獲得。
翌年には年間11勝を挙げ、チャンピオンに輝き、3クラス制覇の偉業を成し遂げました。
難しい500ccをたった二年で乗りこなし、天才の名をほしいままにしたロッシの快進撃がここから始まります。
鈴鹿8時間耐久レースを戦ったVTR1000SPW
2000年にホンダへ移籍したロッシは、これをきっかけに念願だった鈴鹿8時間耐久レースに出場します。
一年目はコーリン・エドワーズと組み出場しましたが、リタイアという悔しい結果に。
しかし翌年、ロッシの二年目のジンクスを守り、見事優勝を果たしています。
無敵の時代の幕開け。ホンダRC211V
2002年は、オートバイ世界選手権が大きく変わりました。
最高峰クラスをMotoGPクラスとし、初年度は2スト500ccの参加も認められてはいましたが、4ストローク990ccのMotoGPマシンでレースを行うという新しい時代に突入したのです。
各チームとも、熟成されていないマシンを使うが故の初期トラブルに苦しめられたこの年に、レプソルホンダから参戦し11勝を挙げ、残り4戦を残して2度目のタイトルを手にしました。
翌年も9度のポールポジションと9度の優勝を果たし、3度目のタイトルを獲得。
同時に、あまりにも強すぎるロッシに対し、「ロッシが速いのではなくRC211Vの性能が高いからではないか」との声が大きくなっていきました。
ロッシは自身の速さを証明する為に、ドゥカティかヤマハかの選択をすることになります。
ストーブリーグではイタリア人ライダーがイタリアメーカーのドゥカティに乗るのではないかと言う話題で盛り上がりましたが、ロッシはヤマハへ行く決断をしたのです。
自身の速さの証明をしたYZR-M1
MotoGPにおいて、過去2勝しか挙げていなかったヤマハは、新開発のエンジンを導入します。
ヤマハはロッシと共に、ホンダからロッシのチーフエンジニアであったバージェスも引き抜きました。
そして、万全の体制でテストを重ね、YZR-M1の性能を飛躍的に向上させていったのです。
そうして2004年の開幕戦、遂にポールポジションを獲得。
ホンダのマクシミリアーノ・ビアッジとの激闘の末、優勝を飾りました。
この勝利でロッシは異なったメーカーのマシンで連勝した唯一のライダーとなり、彼のライダーとしての能力を証明してみせたのです。
そして、そのままの勢いで9勝をを上げ、年間タイトルを獲得。
ロッシのライダーとしての能力の高さとセッティング能力を如実に表しました。
また2005年も11勝を挙げ、ミック・ドゥーハンの500ccクラス連続優勝記録だった5年連続チャンピオンに並びます。
しかし2006年は、開幕戦での追突から始まり、メカニカルトラブルなどに見舞われ、ランキング2位。
6年連続チャンピオンとはなりませんでした。
2007年にはレギュレーションの変更により800ccに。
ブリヂストンタイヤの恩恵とV4エンジンの軽さを生かしたドゥカティのデスモセディチGP7を駆るケーシー・ストーナーが圧倒的速さを見せつけてチャンピオンとなります。
ロッシもなんとか食い下がるも、ランキング3位。
不運に見舞われた二年間でしたが、ブリヂストンタイヤの供給を受け、2008年、2009年と連続優勝を果たします。
2010年は出好スタートを切りますが、ホームであるイタリアGPにおいてフリープラクティス中に転倒。
大けがを負うも不屈の闘志で、年間ランキング3位となりました。
その後の2年間はドゥカティへ移籍。
2年間勝利から遠ざかるも、2013年はランキング4位、2014年はランキング2位、2015年もわずか5ポイント差にて2位、2016年も2位と、オートバイレースの世界は圧倒的に若いライダーが速いと言われる中、ベテランとして抜群の強さと速さを見せつけています。
そして、もっとも長く乗り続けたYZF‐M1は彼の代名詞のようになっているのです。
唯一勝利を上げられなかったマシン、ドゥカティ デスモセディチ GP11・ GP12
2011年は、前年度のケガから手術を終え、ドゥカティのテストに入ります。
どこのチームでも驚異的なセッティング能力と開発能力を見せた二人であるロッシとバージェスでしたが、ドゥカティでは苦戦を強いられます。
シーズン途中に2012年用の1000ccデスモセディチGP12に従来の800ccエンジンを積んだ、GP11.1を投入しましたが、事態は好転せずランキング7位とGPデビュー以降、最下位のとなる成績で一勝もあげることができませんでした。
2012年にレギュレーションが変更となり、ロッシは1000ccのデスモセディチGP12で参戦します。
しかし、このシーズンも思うような成績が残せず2位2回が最高位でした。
そして、唯一優勝することができなかったドゥカティとの契約を終え、ヤマハに戻る事になります。
どんな戦闘力であろうと諦めることなく2位を2回獲得したロッシの能力の高さに、ロッシの評価が下がることはありませんでした。
まとめ
ロッシはどんなオートバイに乗ろうと、驚異的なアジャスティング能力、セッティング能力、開発能力、そしてライディング能力によって驚きの結果を残してきました。
世界選手権の選手生命は短く、年を取るとあまり成績が残せなくなることが多いのですが、ロッシは現在37歳。
若いマルケスとほぼ同じ速さを持ち続けているのは、本当に驚異的です。
この多様なオートバイを乗りこなし、勝ち続けてきた事は、彼の非凡な能力を現していると思います。
世界中から愛されたバレンティーノ・ロッシと共に走り続けたオートバイは、今後も語り継がれ、伝説となる事でしょう。
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