長くMotoGP™でホンダのワークスライダーを務めているダニ・ペドロサは、現在参戦中のMotoGPクラスだけでなく125cc、250ccでも、ホンダの勝利やマシン開発に大きな貢献をしてきました。そんなダニ・ペドロサは、一部で『サムライダー』や『小さなサムライ』と呼ばれています。
CONTENTS
小さなスペイン人ライダー ダニ・ペドロサとは
ダニ・ペドロサ(Daniel “Dani” Pedrosa Ramal)はスペイン出身のプロライダーで、ホンダのワークスチームであるレプソルホンダチームからMotoGP™の最高峰クラスに参戦しています。
2001年に125ccクラスからMotoGP™にデビューし、16年のキャリアをもつベテラン選手です。
また、125cc時代から現在までホンダのバイクに乗りつづけており、ホンダからの厚い信頼も!!
ペドロサ選手は身長158cm・体重51kgでMotoGP™ライダーの中では比較的小さめの体格をしていますが、小柄な体からは想像できないほど的確に、250馬力以上ともされるMotoGP™マシンを手足のように操り、常に上位に入る安定感はベテランならではといえるでしょう。
転倒と大怪我に悩まされることもしばしば
ペドロサは安定したライディングスタイルで、転倒が多いライダーではありませんが、その分、転倒時には骨折など大怪我になってしまうことも多々。
転倒による怪我でレースに出走できないこともあり、それが原因でシリーズタイトル争いから離脱するという残念な結果も。
中には、選手生命を危ぶまれる大クラッシュもありましたが、それでもリハビリやトレーニングに励み乗り越えてきまいた。
これまでの主な戦歴
シーズン | クラス | マシン | チーム | シリーズランキング |
---|---|---|---|---|
2001年 | 125cc | ホンダ RS125 | Telefónica MoviStar ジュニアチーム | 8位 |
2002年 | 125cc | ホンダ RS125 | Telefónica MoviStar ジュニアチーム | 3位 |
2003年 | 125cc | ホンダ RS125 | Telefónica MoviStar ジュニアチーム | 1位 |
2004年 | 250cc | ホンダ RS250 | Telefónica MoviStar ホンダ250cc | 1位 |
2005年 | 250cc | ホンダ RS250 | Telefónica MoviStar ホンダ250cc | 1位 |
2006年 | MotoGP | ホンダ RC211V | レプソルホンダ チーム | 5位 |
2007年 | MotoGP | ホンダRC212V | レプソルホンダ チーム | 2位 |
2008年 | MotoGP | ホンダRC212V | レプソルホンダ チーム | 3位 |
2009年 | MotoGP | ホンダRC212V | レプソルホンダ チーム | 3位 |
2010年 | MotoGP | ホンダRC212V | レプソルホンダ チーム | 2位 |
2011年 | MotoGP | ホンダRC212V | レプソルホンダ チーム | 4位 |
2012年 | MotoGP | ホンダRC213V | レプソルホンダ チーム | 2位 |
2013年 | MotoGP | ホンダRC213V | レプソルホンダ チーム | 3位 |
2014年 | MotoGP | ホンダRC213V | レプソルホンダ チーム | 4位 |
2015年 | MotoGP | ホンダRC213V | レプソルホンダ チーム | 4位 |
2016年 | MotoGP | ホンダRC213V | レプソルホンダ チーム | 6位 |
2017年 | MotoGP | ホンダRC213V | レプソルホンダ チーム | 4位 |
運命を変えたモビスター・アクティバ・カップとアルベルト・プーチとの出会い
ペドロサ選手は4歳の時からバイクに乗っており、9歳でスペインミニバイク選手権に参戦するという本格的なレース活動を開始しました。
その後、12歳でチャンピオンを獲得するも、バイクレース活動をおこなっていく上で金銭的な問題に直面してしまいます。
しかし、1999年にスペイン通信事業大手の企業グループ『テレフォニカ(Telefónica)』が支援する若手ライダー育成プロジェクト『モビスター・アクティバ・カップ』のテストに合格。
そこで、現在のコーチである元MotoGP™ライダーだったスペイン人のアルベルト・プーチと出会い、2000年からスペインロードレース選手権(現在はCEVレプソルインターナショナル選手権)に参戦。
デビュー初年度でいきなりシリーズ4位となり、翌2001年にはアルベルト・プーチのチームからMotoGP™125ccクラスフル参戦を果たしました。
その時のチームメイトは、同じモビスター・アクティバ・カップに参戦し、2000年スペインロードレース選手権125ccクラス3位だったトニ・エリアスでした。
そんな2人のライディングスタイルは正反対とも言えるもので、エリアスは若さ溢れるアグレッシブな走りを見せ、ペドロサはマシンを安定させてスムーズに操るベテランライダーのような走りでファンを魅了。
2001年シーズンのエリアス3位、ペドロサ8位という結果を受け、翌2002年にエリアスは250ccへステップアップしますが、ペドロサは125ccクラスに残留。
ランキング3位でシーズンを終えるも、2003年には125ccクラスシリーズチャンピオンを獲得しました。
2004年は250ccクラスにステップアップし、エリアスが2003年シーズン3位を獲得して、この年のチャンピオン候補となっていましたが、そんなエリアスを抑え、250ccクラスデビューイヤーでいきなりシリーズチャンピオンを獲得。
さらに2005年も250ccクラスでチャンピオンに輝き、翌2006年にMotoGPクラス昇格とレプソルホンダチーム入りを果たします。
そんな2006年シーズンは、チームメイトだったニッキー・ヘイデンがMotoGPクラスシリーズチャンピオンを獲得し、ペドロサは5位入賞しルーキーオブザイヤーを手にしました。
そこから現在に至るまで、ホンダワークスチームのライダーとしてMotoGPクラスに199戦出場し、31回の優勝を飾っています。
サムライの精神をもつダニ・ペドロサ
ペドロサは大の日本好きで、引退後はゆっくりと日本を観光したいと語っています。
長くホンダのワークスライダーを務めているのであれば、ホンダの本社がある日本に来る機会も多いと思われますが、実際はMotoGP™日本ラウンドやホンダのイベントにゲスト出演するタイミングしか来日する機会はないそうです。
また、ペドロサは子供の頃から日本の侍に興味を持っており、自ら書籍や写真で研究までしているそうです。
そして昨年、MotoGP™第15戦日本ラウンドで来日した際は、刀鍛冶(かたなかじ)の吉原義人(よしわら よしんど)氏のところで刀作りを見学し、その工程を見つめるペドロサの表情はレース前に見せる真剣な眼差しそのものでした。
ペドロサは、自身のレースに対する心構えや姿勢について『侍の精神』が基本となっていると語っています。
その精神は、ペドロサのヘルメットに書かれた『侍』の文字からもひしひしと伝わってくるのではないでしょうか。
常に勝負の世界で武士道を極めてきたサムライ精神は、レースでの戦いに通づるものがあるのです。
レースで常に勝つことが求められるプレッシャーと常に危険と隣り合わせのライディングに耐え抜く精神力は、サムライが生きるか死ぬかの勝負で心得る気持ちの強さと同じなのかもしれません。
ペドロサは、スペイン人でありながらサムライスピリッツを持ったレーシングライダーなのです。
まとめ
ペドロサ選手は2018年もレプソルホンダチームからRC213Vで参戦します。
ここ数年、エースであるマルク・マルケス選手の活躍で影が薄くなったという声もありますが、2018年シーズンは少なくとも他メーカーのワークスライダーやプライべーターに負けるわけにはいきません。
2018年1月末にマレーシア・セパンサーキットで行われたMotoGP™公式練習では、ドゥカティワークスのロレンソ選手に続く2番手タイムを叩き出し、新型マシンの感触は良さそうです。
2018年シーズン、小さなサムライが活躍することに今から期待でワクワクが止まりません。
あわせて読みたい
[amazonjs asin=”B072J1G9B3″ locale=”JP” title=”26 Dani Pedrosa STICKERS SET ダニ・ペドロサ 侍 ステッカー デカール セット 並行輸入品”]
Motorzではメールマガジンを始めました!
編集部の裏話が聞けたり、月に一度は抽選でプレゼントがもらえるかも!?
気になった方は、Motorz記事「メールマガジン「MotorzNews」はじめました。」をお読みいただくか、以下のフォームからご登録をお願いします!