2018年6月16・17日に宮城県のスポーツランドSUGOで開催された全日本ロードレース選手権Rd.4。各クラス5~6台が転倒するという荒れたレース展開の中、Motorz注目のライダー達はどんな戦いを見せたのでしょうか。また、気になる日本のトップライダー達の得意なポイントと苦手なポイント!菅生サーキットでも聞いてみました。
CONTENTS
まずは、J-GP3クラス決勝
心配されていた天候もギリギリ持ち、ドライコンディションでスタートしたGP-3クラス。
スタートを決め、ホールショットを奪ったのは#30 太田虎之進(MJ-FACTORY)。
その後を、#36 福嶋佑斗 (TEAM PLUSONE)、#16 高杉奈緒子(41 Planning)、#15 岡崎静夏 (Kohara Racing Team)、#71 小室旭 (Team P.MU 7C MIKUNI )と続きます。
しかし、その直後の3コーナーで小室がハイサイドを起こし転倒。
それに巻き込まれる形で、#4 中島元気 (TEAM SRS-Moto)がコースアウトするなど、序盤から波乱の展開に。
そして福嶋を先頭にオープニングラップは終了し、2周目中盤には岡崎、福嶋、#46 山中琉聖 (テルル・ヤマナカコウギョウRT)、高杉、岡谷、#3 古市右京 (KTM.ASPIRATION Racing) 、#13 長谷川聖 (CLUB Y’s&J)、#41 宇井陽一 (41Planning)の8台でトップグループを形成。
先頭を入れ替えながら、抜きつ抜かれつの激しいバトルを繰り広げ、岡崎と高杉が接触。
そのダメージにより、高杉のマシンからオイル漏れが発生するも、レースはそのまま続行。
オイルにより福嶋が転倒する5周目まで赤旗が掲示されないという、危険な展開となりました。
その後、4周目終了時点までをレース1とし、13周のレース2 がスタートするも、路面温度が低いせいか転倒が続き、参加台数22台のうち完走台数15台というサバイバルレースを制したのは、全日本デビュー戦に続き2連勝となる岡谷でした。
Motorz注目の♯13長谷川聖 選手(CLUB Y’s & J)の決勝は?
前日の公式予選では、電気系のトラブルにより攻めきれず、11番グリッドスタートとなってしまった長谷川選手。
しかし、第1レースのオープニングラップで一気に7番手までポジションを上げる事に成功します。
そして、次々に転倒するライバル達や、コース上に撒き散らされたオイルなど、激しいコンディションを掻い潜り、第2レースのグリッドとなる4周目には5番手に!
第2レーススタート後も必死にトップ集団に食らいつき、一時は4番手に浮上するなどの健闘を見せ、6位でチェッカーを受ける結果となりました。
長谷川選手 決勝終了後コメント(決勝:6位)
スタートが上手くいって、じわじわとポジションを上げようと思って、次々と目の前のライダーを順番にパスしていきました。
5番手ぐらいまで上がった時に、目の前のマシンのマフラーから白い煙が上がっているのが見えたのですが、最初は気のせいだと思って後ろに付いていると、すごくオイルを噴いていたので、危ないと思って避けたら案の定、外側にいた人がそのオイルに巻き込まれました。
その時、自分はホームストレートを走っていたので、タイヤの端っこにはオイルが付いてしまっているはずだからヒヤヒヤしながらの走行でしたが、何とか大丈夫で・・・。
そうしてるうちに、赤旗になって。
で、第2レースは5番手から再スタートして、スタートは失敗したんですけど、そこからもポジションをじわじわ上げて、トップ集団に追いついて、もっと前に行こうと思ったんですけど、なかなか上手く抜けなくて・・・。
結構バチバチ争っているうちに、どんどん集団が膨らんでいって、最後はぐちゃぐちゃであまり前に行けずに終わってしまいました。
そんな長谷川選手に聞いてみた。スポーツランドSUGOの得意な所・苦手な所は?
好き(青〇):①下りながらアクセルを開けるのが楽しい。
②ハードブレーキングでインをさすのが楽しい。
③バンクが付いていて、どこまでも行けそう。
④半クラを使うのが楽しい。
嫌い(赤〇):①雨だと川になって怖い。
②リズムが掴めなくて難しい。
菅生のコースレイアウトは、スピード乗せ乗せでアップダウンもあって楽しいと話してくれた長谷川選手はその言葉通り、転倒者が続出する波乱の決勝レースを走り切り、バトルを楽しんでいるようにも見えました。
そんな長谷川選手に、実は昨年も同じ質問をさせて頂いています。
なんと、昨年嫌いだったポイントが好きになっているどころか、好きなポイントが一気に増えている事が分かります。
ちなみに、昨年はウェットコンディションで決勝中のベストタイムが1’47’482、今回は少し霧雨がパラつくもドライコンディションで1’37’164。
ドライとレインというコンディションの差を考慮しても、明らかな進化を感じます。
次戦はどんな戦いを見せてくれるのでしょうか!長谷川選手の成長から目が離せません。
Motorz注目の♯29鈴木 大空翔 選手(BATTLE FACTORY)の決勝は?
霧雨のような雨が降ったりやんだりと、菅生特有の難しいコンディションに苦戦し、20番グリッドからスタートした鈴木選手でしたが、第1レースでは11番手までポジションを上げる事に成功。
しかし、第2レースの波乱に飲まれる形で少しずつ順位を落とし、14位でチェッカーを受けました。
鈴木選手決勝終了後コメント (決勝:14位)
最初、赤旗が出るまではスタートも決まって、前とはちょっと離れてたけど少しずつポジションを上げて行けたので良かったです。
赤旗後も、タイム的には38秒台まで行けたのですが、最後に抜かれて抜き返せなかったのが悔しかったです。
レース中に他のライダーがどんどん転倒していて、自分も飛んでいきそうで怖かった。
次の筑波は、今週のテストが初走行になるサーキットなので、色々と動画などを見てしっかり走れるように頑張りたいと思います!!
そんな鈴木選手に聞いてみた。スポーツランドSUGOの得意な所・苦手な所は?
好き(青〇):カントを使ってしっかり曲げて行けるから。
嫌い(赤〇):①ブレーキでバイクを止めすぎてしまう。
②バイクを止めすぎてしまう。
全体的にヘアピンのような小さなコーナーが少なく、緩いコーナーが多いのでスピードが乗りすぎてしまい、ブレーキングをハードにしてしまって逆にバイクの勢いを止めすぎてしまう難しいコースと話してくれた鈴木選手。
しかし、走行経験が少ないながらもドンドン転倒で離脱していくベテランライダーを尻目に、難しいコンディションのレースを走り切る健闘を見せてくれました。
次戦筑波も初走行のサーキットという事で、どう攻略してくれるのか!?とても楽しみなライダーです!
続いてJ-GP2クラス決勝
波乱のJ-GP3クラス決勝レースのディレイなども影響し、かなり時間が押してのスタートとなったJ-GP2クラスの決勝レース。
ホールショットを獲得したのは、ポールポジションスタートの#4 岩戸亮介 (Team 高武 RSC)。
その後を、#44 関口太郎 (SOX Team TARO PLUSONE)、#634 名越哲平 (MuSASHi RT HARC-PRO.)、#16 作本輝介 (Team 高武 RSC)、#392 尾野弘樹 (ミクニ テリーアンドカリー)、#7 石塚健 (will-raise racingRS-ITOH )と続きます。
そして、1コーナー2コーナーを抜け、3コーナーに集団が差し掛かると、石塚が激しいハイサイドを起こし転倒。
それを避けるためにコース上に混乱が走り、馬の背コーナーでも2台が立て続けに転倒するなど序盤から波乱展開となりました。
しかし、レースはそのまま周回を重ね、3周目に差し掛かったS字コーナーで尾野が転倒。
マシンがコース上に残ってしまい、後方を走っていたライダーがそこに乗り上げるというアクシデントが発生。
赤旗中断となりました。
その後、レースは仕切り直しとなるも、転倒者は相次ぎ参加台数19台の中、チェッカーを受けたのは12台。
ライバルとのバトルだけでなく、菅生特有の厳しいコンディションをの走り抜き、レースを制したのは岩戸!
スタートからのトップ独走という形で、J-GP2クラス初優勝を飾りました。
Motorz注目の♯71 三原 壮紫 選手(TONE RT SYNCEDGE4413)の決勝は?
前日の予選では、初めてのQタイヤ(予選専用タイヤ)を使いこなせず、14番グリッドスタートとなった三原選手。
スタートを決め、12番手までポジションを上げるも、他ライダーの転倒による混乱で赤旗中断となってしまいます。
そして、再スタート後も安定した走りを見せ、9番手をキープ!
多くのライダーが続々と転倒する中13周を走り切り、8番手でチェッカーを受けました。
三原選手 決勝終了後コメント(決勝:8位)
最初のスタートは良くて、表彰台が狙えたと思うのですが、赤旗中断になってしまって、一旦ピットに帰ってきて・・・。
その時にタイヤを新品に履き替えればよかったんですけど、そのまま引っ張るという決断をしてしまって、レースの途中からタイヤのライフが無くなってしまいました。
そのため、アタックしたくてもできなくて、セカンドグループから置いて行かれてしまって・・・。
でも、次につながるレースはできたと思うので、次の筑波はちゃんとまとめて挑みたいと思います。
そんな三原選手に聞いてみた。スポーツランドSUGOの得意な所・苦手な所は?
好き(青〇):1.2コーナーから3コーナーの立ち上がりが得意。
1.2コーナーは複合コーナーでバイクのピッチングが出しにくいのですが、その中で
バイクを動かすのが得意です。
3コーナーは高速コーナーで、入り口でバイクの向きを変えるのが得意。
嫌い(赤〇):最終シケインが少し苦手。
立ち上がりに向けて、スピードを落とさないように走るのが難しい。
菅生は、定常円旋回のコーナーが多く、スピードを乗せて走るコーナーが多いコースなので、楽しいと話してくれた三原選手。
レースWEEKを通して転倒が続出した3コーナーも得意だという事で、もし赤旗にならなければどんなレースを見せてくれたのか、妄想が膨らみます。
次戦筑波は2ヒート制!菅生で果たせなかった表彰台が期待できるかもしれません。
Motorz注目の♯31 豊島 怜 選手(DOG FIGHT RACING・YAMAHA)の決勝は?
16番グリッドからスタートした豊島選手。
実力不足を自身で認めながらも、落ち着いた安定した走りを見せ、前方を走るライダーの走りを参考に、少しずつ菅生の走り方をマスターする事に専念。
多くのベテランライダーが転倒していく荒れたレース展開の中、「自分は絶対に転ばない!」と心に決め、無事12番手でチェッカーを受けました。
豊島選手 決勝終了後コメント(決勝:12位)
今日の決勝は、目標は全部達成できたのですが、最後に抜かれちゃったので、少し後味が悪いレースとなってしまいました。
でも、結果的に目標は全て達成できたので、次はもっと上に行けると思います。
今回は、決勝中のアベレージが今までより1秒~2秒近く速いタイムで走っていたので、セッティングが全く合わない状態で走っている状態になってしまって・・・。
次回の筑波ではテストからキチンと速いタイムを出して、前の集団に追いついていけるちゃんとしたレースがしたいです。
そんな豊島選手に聞いてみた。スポーツランドSUGOの得意な所・苦手な所は?
好き(青〇):リズミカルに切り返しが出来るから。
嫌い(赤〇):上手くスピードが乗せられない。
全体的にハイスピードなコースで難しく、少し苦戦するも練習走行で多くの先輩ライダー達の後を必死についていき、何とかコツをつかんでWEEK前に掲げていた目標を全て達成したという豊島選手。
次戦筑波では、今回のレースで学んだことを活かし、成長した姿を見せてくれるはず!!
そんな豊島選手の走りに、是非注目してくださいね。
Motorz注目の♯7 石塚 健 選手(will-raise racing RS-ITOH)の決勝は?
前日の公式予選では2番グリッドを獲得し、フロントローからスタートした石塚選手でしたが、スタートが上手くいかず、1コーナーに進入する頃にはセカンド集団の中ほどに飲み込まれてしまいます。
そこから、1台1台前のライダーをパスするべくアクセルを開けた3コーナーで激しいハイサイドを起こし、転倒。
そのままリタイアする悔しい結果となりました。
石塚選手 決勝終了後コメント(決勝:リタイア)
決勝レースは1周目の3コーナーで、リアから滑ってハイサイドという形で転倒してしまい、リタイアで終わってしまいました。
決勝がスタートする時には路面温度がかなり低くなってしまっていて、事前テストなどでもテストできていない程寒い状態でのレースとなってしまい、タイヤに熱が入れられなかった事が原因です。
自分では無理して走っていた訳でもなく、バイクを寝かせた訳でも、アクセルを開けすぎた訳でもなかったのですが、予想外に大きく飛ばされてしまい、転倒してしまいました。
テストからの流れが本当に良かっただけに、予選も2番手でコンディションもドライとかなり自信もあったので、こういう結果となってしまって本当に悔しいです。
幸い大きな怪我もなく、右肩の脱臼で済んだので次の筑波までには完璧に治ると思います。
今回学んだことも多かったし自身の調子はかなり上がってきてるので、この勢いでしっかりといい流れを作り、レースを走り切っていい結果を残したいと思います。
そんな石塚選手に聞いてみた。スポーツランドSUGOの得意な所・苦手な所は?
好き(青〇):①ブレーキングには自信がある。
②ブレーキングからターンイン、立ち上がりとタイミングを合わせていくのが得意。
③ミスが少ない。コンパクトに曲げる事ができる。ライバルに比べて自分にアドバンテージがあると思えるところ。
嫌い(赤〇):進入が見えづらいブラインドコーナーなので、リズムを取るのが難しい。
次から次へとコーナーが連続するテクニカルサーキットですが、テストの段階からトップタイムを連発するなど、大きな自信を示していた石塚選手。
実は、昨年も同じ質問をさせて頂いています。
比べてみると、苦手なポイントは変わっていないものの、好きなポイントは一気に増加。
トップ集団と変わらないタイムを記録するまでに成長を遂げています。
そして次戦はホームコースとも言える筑波サーキット!
是非、菅生でのリベンジを果たしてもらいたいと思います。
まとめ
路面温度や天候など、実力だけではどうしようもない色々な要因が絡み合うレースの世界。
その中で、全てを味方に付けて勝利を掴む事の難しさ、それはリザルト上の結果を見ただけでは語りつくせません。
そして、それこそがレースの大きな魅力の1つでもあります。
次戦は、2018年6月30日・7月1日の筑波サーキット!
各クラス両日レースが行われる2ヒート制の開催となっているので、是非1度、現地で生のレースを体感してみてはいかがでしょうか。
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