2018年4月8日、栃木県にあるツインリンクもてぎで全日本ロードレースの開幕戦が開催されました!ドライ、ウェットと天候に翻弄された厳しいレースWEEKを経て挑んだ決勝レースの結末は、どのようなものだったのでしょうか?Motorz注目の6選手にもてぎ攻略のコツをインタビューしてきました!
CONTENTS
まずは、J-GP3クラス決勝
天候は晴れ時々微量の小雨が降る14.6度という少し肌寒い中、ドライコンディションで行われたJ-GP3クラスの決勝レース。
周回数20周という長丁場のレースで好スタートを決め、ホールショットを奪ったのは4番グリッドスタートの#61 岡谷 雄太(MORIWAKI CLUB)でした。
そのままトップを守り切る勢いで2コーナーに飛び込んだ岡谷でしたが、立ち上がりではらんでしまい、♯4 中島 元気(TEAM SRS-Moto)に交わされてしまいます。
そして後方から迫ってきた#3 古市 右京(KTM ASPIRATION RACING)にも交わされ、オープニングラップを制したのは古市!続いて、中島、岡谷の順でコントロールラインを通過しました。
レース序盤、1度は5番手まで順位を落とした岡谷でしたが、6周目にはJ-GP3クラストップ争い常連の中島、古市、#71 小室 旭(Team P.MU 7C MIKUNI)、#36 福嶋 佑斗(Team Plusone)を抑えて一気にトップに浮上!
そこにポールポジションスタートの#93 菅原 陸(RG NIWA with DOGFISH RACING)を加えた、6台での激しいバトルを最終ラップの最後の最後まで繰り広げ、抜きつ抜かれつの接戦の末、1位でチェッカーを受けたのは岡谷!
全日本デビュー戦を見事、優勝で飾る快挙を成し遂げました。
Motorz注目の♯13長谷川聖 選手(CLUB Y’s & J)の決勝は?
前日の公式予選ではウェットコンディションでのセッティングを読み違え、15番グリッドからのスタートとなりましたが、周回を重ねるごとに着々とポジションを上げてセカンドグループに食らいつきます。
そして、13周目にはグループトップとなる7位までポジションアップするも、第2グループの集団が大きく、他ライダーとのバトルに苦戦する形で再度順位を下げてしまい、12番手でチェッカーを受ける結果となりました。
長谷川選手 決勝終了後コメント(決勝:12位)
結論から言うと、予選からもっと上に行ってればよかったな・・・と思います。
レース中盤に追い上げる事ができたのは良かったのですが、スタート一周目でコーナー中に4ワイドとか、わちゃわちゃしていてあまり前に行けなかったので、トップ集団に追いつきたかったんですけど、結構みんなガツガツ来て・・・。
タイムを上げる事はできたのですが、僕の走っていた第2集団はかなりの台数が団子状態になっていたので、中々思うように走れないでいると、トップ集団が離れて行っちゃって・・・。
第2集団から逃げようとしたのですが、GP3というレースの特性上、1人になると中々ペースを上げる事ができなくて、結局最後はセカンドグループでも先頭ではゴールできませんでした。
人間のライディングスキルがちょっと足りなかったかな・・・と。
マシン的には全く問題無かったのですが、他の人との抜き差しができなかった。
次戦では、今回の開幕戦からやるつもりだった大幅なマシンのバージョンアップができると思うので、もっとパワーアップして頑張ります!!
そんな長谷川選手に聞いてみた。もてぎロードコースで得意な所・苦手な所は?
好き(青〇):①スピードが乗って楽しい。
嫌い(赤〇):①どこを走るのかわからない。
②シフトアップのタイミングが難しい。
③立ち上がりでスピードを乗せずらい。
④切り返しが難しい。
もてぎのロードコースは比較的苦手だという長谷川選手ですが、それでも決勝レース中盤には驚くべき追い上げを見せてくれました。
そんな長谷川選手に、実は昨年も同じ質問をさせて頂いています。
見比べてみると、苦手な場所が増えているだけでなく、昨年得意だった場所が今年は苦手に。
しかし、決勝レース中のベストタイムを比べると、昨年は2’03’664に対し、今年は2’03’202とかなりのタイムアップを果たしているので、これは自身のライディングスキルが上がった事によって、よりコースの難しさが見えてきたという事かもしれません。
そんな、着々と成長を見せる長谷川選手の次戦菅生での活躍に、期待したいと思います!
Motorz注目の♯29鈴木 大空翔 選手(BATTLE FACTORY)の決勝は?
前日の公式予選でタイヤウォーマーを巻かずに走った事により、タイヤを温められず、25番グリッドからスタートした鈴木選手。
全日本へのステップアップ1年目の開幕戦という緊張もあったのか、スタート直後の3コーナーで転倒。
そのままコースへの復帰も叶わず、オープニングラップでリタイアという悔しい結果となりました。
鈴木選手決勝終了後コメント (決勝:リタイア)
今回のレースは決勝日の気温がすごく低く、路面温度が低かったので1周目でタイヤが冷えていたのだと思います。
そこで冷静な判断ができず、転倒してしまいました。
予選でもう少し上にいれば、冷静な判断ができたと思うので、次戦菅生では予選からもう少しポジションを上げられるように頑張ります。
菅生はまだ走った事がなく、事前テストも行かない予定なので、特スポで早く攻略して上を目指したいです。
そんな鈴木選手に聞いてみた。もてぎロードコースで得意な所・苦手な所は?
好き(青〇):①コーナリングスピードがいいと思う。
②切り替えしがいい感じだから。
③アクセルを開けるポイントがいいから。
④ブレーキングとコーナリングスピードがいい。
嫌い(赤〇):少しビビってアクセルを戻してしまう時があるから。
もてぎでの走行は、比較的得意な部分が多い鈴木選手。
中でも、コーナリングなどテクニカルな部分が好きなようなので、コースにもっと慣れる事ができたら、かなりタイムアップする可能性も!?
そんな、まだまだ地方選からステップアップしたばかりのルーキー!鈴木選手のこれからの走りに大注目です!
Motorz注目の♯34村田 憲彦 選手(CLUB Y’s & J)の決勝は?
9年ぶりの全日本復帰という事で、まずはもてぎの走り方を思い出す事からと話してくれた村田選手の決勝は、21番グリッドからのスタート。
10年近いブランクを経ての、日本のトップ選手権でのレースに苦戦し、1度は最後尾にポジションを落とすも、20周という長丁場のレースを走りきり、無事17位でチェッカーを受けました。
村田選手 決勝終了後コメント(決勝:17位)
まあ、思ってた通りでしたね。
今回のレースで、自分のレベルがだいたいどの位置なのかが分かったので、もっと自分のライディングを変えて、これからもっとレベルアップしていきたいと思います。
次戦こそは10位以内を目指して頑張ります!
そんな村田選手に聞いてみた。もてぎロードコースで得意な所・苦手な所は?
好き(青〇):①ブレーキングと進入が好き。
②鈴鹿好きなので、S字は得意。
③ライン通りに走るのが得意。
嫌い(赤〇):①ラインを外しやすい。
②3~4コーナーにかけて考えて走らなければいけないので難しい。
③アクセルを開けるタイミングが難しい。
④難しい。
⑤立ち上がり重視で走るのが難しい。
⑥ブレーキングが難しい。
復帰後初めて走ったもてぎのロードコースに、かなり苦戦した様子の村田選手。
しかし、ホームコースが鈴鹿というだけの事はあり、多くの選手が苦戦するビクトリーコーナーが得意など、走り方を思い出せば一気にポイジョンを上げていけるのでは!?と期待が膨らむポイントを押さえている気も!!
次戦菅生は、魔物が棲むと言われる難関コースですが、是非ベテランライダーの底力!見せて頂きたいと思います。
そしてJ-GP2クラス
レース直前まで行われていたピットウォーク中に、微量の雨が降り出し、少し天候に不安を残したままドライコンディションでスタートした22周の決勝レース。
まず誰よりも早く1コーナーに飛び込み、ホールショットを奪ったのは#4 岩戸 亮介(Team 高武 RSC)でしたが、その後方に#44 関口 太郎(SOX Team TARO PLUSONE)がピッタリとつけ、抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げます。
そしてトップ争いに#392 尾野 弘樹(ミクニ テリー&カリー) 、♯634 名越 哲平(MuSASHi RT HARC-PRO.)も加わり、オープニングラップを制したのは、岩戸!その後ろには尾野、#10 ケミン・クボ(伊藤レーシング)と続きます。
その後、トップグループは岩戸、ケミン、尾野、関口、#16 作本 輝介(Team 高武 RSC)の5台体勢になり、激しく順位を入れ替えながら周回を重ねるも、9周目に尾野が痛恨の転倒!関口もマシントラブルによる失速で、先頭集団から離脱。
終盤は作本がレースをリードする形で、昨年の最終戦に引き続き、トップでチェッカーを受ける結果となりました。
Motorz注目の♯71 三原 壮紫 選手(TONE RT SYNCEDGE4413)の決勝は?
14番グリッドからスタートを決め、一気に8番手までポジションを上げた三原選手。
そこから5番手争いとなるセカンドグループに食らいつき、周回を重ねます。
そして順調にラップタイムを上げていき、9周目には6番手に浮上!
しかし、同じく第2グループで後方から追い上げてきた#7石塚 健 (will-raise racingRS-ITOH)と#36 徳留 真紀の2台に交わされ、ポジションダウン。
終盤はタイヤのライフも限界を迎え、中々ペースを上げる事ができませんでしたが、それでも粘り強く走り切り7位でチェッカーを受けました。
三原選手 決勝終了後コメント(決勝:7位)
まあ、自分の中で自分のバイクのポテンシャルだったりタイヤだったりという面で、出せるところは出せたなという感じですが、入賞となる6位にはなりたかったなというのはありました。
ギリギリ7位だったので・・・。
レース中盤で、追い上げてきた2台のペースが速く、自分もどうにかついていこうと思ったのですが、その時にはリアタイヤのライフが終わりかけていたので、このままペースを上げたらマズいかな・・・?と、転倒してしまうかもしれないと思って走っていたので、ちょっと守りに入っていたと思います。
次のSUGOに向けては、事前テストでもうちょっと自分のセッティングとチョイスするタイヤを、ちゃんとメカさんとピレリさんと話をして詰めていきたいなと思っています!
そんな三原選手に聞いてみた。もてぎロードコースで得意な所・苦手な所は?
好き(青〇):①バイクの向きを変えるのが簡単。
②ハイスピードでの切り返しのリズムが得意。
③リズムが取りやすい。バイクのピッチングを作れる。
嫌い(赤〇):①バイクの向きを変えるのが上手くできていない。
②低速でのバイクのピッチングを出すのが難しい。
今年は、チーム・マシン・タイヤなど全てを一新して挑んだ三原選手。
しかし、年齢的には若手でも、レース歴的にはベテランといっても過言ではない豊富な経験と知識で、昨年と同等以上の走りを見せてくれました。
そんな三原選手のこれからの成長に、是非注目してみてくださいね。
Motorz注目の♯7 石塚 健 選手(will-raise racing RS-ITOH)の決勝は?
前日の公式予選により、セカンドロー6番グリッドを獲得した石塚選手。
まずは好スタートを決めるも、タイヤが温まりきらず、オープニングラップで一気に10番手までポジションを落としてしまします。
そしてセカンドグループの最後尾で周回を重ねながら、少しずつペースを上げ、1台1台丁寧に前を交して13周目には第2グループトップとなる5番手に浮上!
そのまま6位以下を引き離しにかかった21周目、残り2周のところでまさかのマシントラブルで、スロー走行。
ギアが4速固定のまま動かないというアクシデントにより、なんとかチェッカーをうけたものの8番手という悔しい結果となりました。
石塚選手 決勝終了後コメント(決勝:8位)
決勝レース終わりました。結果は8位でした。
スタートは割と決まったのですが、1周目のペースが悪すぎました。
慎重になりすぎてしまった部分もあり、WEEKでタイヤが温まる前に転んでしまったというトラウマから、気持ち的にセーブしてしまったので、そこは今後の課題です。
一時は10番手ぐらいまで落ちてしまいましたが、そこから5位まで挽回できて、タイムも良く、セクターで見るとトップタイムなども出てたぐらいのペースで追い上げていたのですが、5番手走行中の残り2LAPの5コーナーの進入でシフタートラブルが出てしまい、ギアが4速固定の状態となり、上りも下がりもしないので、順位をキープするのが厳しくなってしまいました。
幸い、トラブルが起きたのが終盤で、ポジションを3つか4つ落としたぐらいで済んだのですが、5位が目の前にあり、狙えただけにちょっと悔しい終わり方になってしまいました。
今回は、WEEKの初日からトラブルだったり転倒だったりと、流れがすごく悪かったし、本当に勝負ができる位置まで持ってこれなかったという自分たちの準備不足が響いて今回の結果になってしまったと思います。
この経験をしっかりと次戦につなげて、結果を残せればと思います。
応援ありがとうございました!
そんな石塚選手に聞いてみた。もてぎロードコースで得意な所・苦手な所は?
好き(青〇):①思い切って進入出来る時はセッティングが決まっている時。立ち上がりが上手く決まると気持ちいい!
②限界までブレーキを遅らせ、スライドコントロールをする、決めている感覚が好き。
嫌い(赤〇):①いい思い出が無い。イン側にギャップがあって、フロントに荷重を乗せすぎるとスリップダウンしそう。
②ターンインのタイミングが掴みづらくて難しい。
このレースWEEKは、タイヤ選択やセッティングに悩まされ、少し自信をなくしていた石塚選手。
しかし決勝レースでは、いつも通りの驚異の追い上げを見せてくれました。
そんな石塚選手には、去年のもてぎラウンドでも、同じ質問をしています。
昨年の質問時に答えてくれた、90°コーナーが得意という部分は変わらずですが、S字60Rが苦手だったのを克服するも、第3コーナー、ヴィクトリーコーナーと、新たな苦手箇所が出現!!!
そんな一見苦手な部分が増えたかのような石塚選手の回答ですが、昨年の第4戦から比べると、着実にレース内容はかなりハイレベルなものになっており、一歩先のフェーズに進んだからこその、新たに見えてきた苦手ポイントなのではないでしょうか。
見ていて楽しいレースをしてくれる!そんな石塚選手の成長に、これからも目が離せません。
Motorz注目の♯31 豊島 怜 選手(DOG FIGHT RACING・YAMAHA)の決勝は?
前日の公式予選でアタックラップに入る前に転倒し、マシンを壊してしまった豊島選手は、残念ながら予選通過基準タイムとなる全体の108%を切る事ができず、予選不通過。
開幕戦のスターティンググリッドに並ぶことはできませんでした。
豊島選手 決勝終了後コメント(予選不通過)
予選でアタックする前に飛んで行ってしまったので、108%というルールに入れなくて、予選不通過となってしまいました。
ただ、全日本ロードレース選手権J-GP2クラスにステップアップして初めてのレースという事で、もし予選を通過できていたとしても14位とか15位ぐらいだったかもしれません。
走ってないので、もしかしたら決勝でも転んでいたかもしれませんが・・・。
今回の決勝は外から見て勉強していて、特に(自分と同じ)YAMAHAのスタンダードな車体で参戦している選手の走りを見ていたのですが、他メーカーの選手と全ての走らせ方が違って、これからYAMAHAのマシンを走らせていくうえですごく勉強になりました。
自分の実力的に、ここに混じって走るのはまだ厳しいかもしれないのですが、これからそういう技術などをたくさん学んでいき、最終戦までにはいい位置で走れるようにしたいと思います!
次戦はWEEKの練習からキチンと組み立てて、転んだとしても流れを悪くしないように考えていきたいと思います。
そんな豊島選手に聞いてみた。もてぎロードコースで得意な所・苦手な所は?
好き(青〇):切り返しが得意だから。
嫌い(赤〇):曲げる技術がいるから。
昨年までは全日本ロードレース選手権併催のMFJ CUP JP250国内クラスに参戦しており、国際ライセンス昇格を機に、このJ-GP2クラスにステップアップを果たしたばかりの豊島選手。
まだまだレーシングライダーとしての経験やスキルは未熟ですが、自身でその現実を理解し、少しでもスキルアップしようと挑戦していく姿は、無条件に応援したくなりました。
そんな豊島選手が、ここからどんな成長を遂げるのか、注目していきたいと思います。
まとめ
今年も遂に開幕戦を終え、各ライダー今シーズンのスタートを切った全日本ロードレース選手権。
オフシーズンには色々なトレーニングや準備に時間を費やし、様々な想いを胸にこの日を迎えたと思います。
日本のロードレース最高峰選手権である全日本に、今季ステップアップを果たしたライダー、数年ぶりにリターンし再挑戦を決意したライダー、念願のシリーズチャンピオンを狙うライダーなど、それそれの目標を持って2018年シーズンを戦うライダー達。
Motorzでは今シーズンも、様々な角度から、そんな日本のトップライダー達の成長を追いかけていきたいと思います。
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