F1に参戦していたチーム、BAR(ブリティッシュ・アメリカン・レーシング)。そのチームが1999年に作った左右非対称なカラーリングのマシンを知っていますか?F1の歴史の中でも、かなり変わったカラーリングの一台をご紹介します。

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/

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まるでキカイダー?センターマン?

BARとは

出典:http://forum.kooora.com/

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1999年から2005年までF1に参戦していたBAR(ブリティッシュ・アメリカン・レーシング)。

チーム発足のきっかけになったのは、元F1チャンピオンのジャック・ヴィルヌーヴがCARTでチャンピオンに輝いた1995年。

ヴィルヌーヴの個人マネージャーや、シャシーメーカーのレイナード、インペリアル・タバコの営業部長(後のブリティッシュ・アメリカン・タバコのスポンサーシップ最高責任者)の間でF1チーム設立プロジェクトが動き出します。

2005年のジェンソン・バトン(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/)

2005年のジェンソン・バトン(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/)

そして1997年、名門チームであったティレルを買収。1998年こそティレルのまま参戦していましたが、1999年にはチーム名をブリティッシュ・アメリカン・レーシング(BAR)に変更。

なお、世界第2位のタバコスポンサーの全面支援や、ティレルの施設やスタッフをそのまま引き継がず、各チームのヘッドハンティングや、新ファクトリーの建造と、元F1ドライバーのチームであることも相まって話題性は非常に高く、BARは世間の注目の的でした。

チームの最高位は2004年にジェンソン・バトンが記録した2位。2005年末にホンダがチームの全株式を取得し、自社ワークスチームとしたため、BAR自体は7年間で活動を終了しました。

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2004年、アメリカGPで3位表彰台を獲得した佐藤琢磨選手(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki)

日本人としては、2001年からテストドライバーとして、事実上2003年の最終戦、日本GPからレギュラードライバーになった佐藤琢磨選手が所属していたチームであることから、非常に馴染みの近いチームなのではと思います。

白い車体に赤いデザインを覚えている方も多いのではないでしょうか?

 

さで、ではBARが1999年に作ったマシンとはどのようなマシンだったのか。

次の項目で見てみましょう。

 

BAR 01(1999年)とは

出典:http://www.f1-pics.com/

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こちらが問題のマシン。BAR01。

なんの変哲もないF1マシン。細かい空力デバイスがない時代なので車体がすっきりしていますね。

カラーリングも、青が綺麗に映えています!

では、左側のアングルから見てみましょう。

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なんと全く違うカラー!これ、別のマシンじゃないんです。

このマシン、なんと左右で別々のカラーリングなのです!

出典:https://pinterest.com/

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車体右側が青、左側が白と赤のこのマシンは、元F1チャンプのジャック・ヴィルヌーヴとF3000チャンプのリカルド・ゾンタ、そしてゾンタが負傷で欠場した際には、後にフェラーリやトヨタにも乗るミカ・サロがドライブしました。

シーズン最高位は7位と、目立った成績は上げられませんでしたが、このカラーリングと、チーム自体の話題性で大きく注目を集めた一台です。

ではなぜこのカラーリングになったのか?経緯を見てみましょう。

 

前例のなかったカラーリング。その経緯とは

出典:http://www.leblogauto.com/

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F1では恒例の新車発表の際、BARは、ブリティッシュ・アメリカン・タバコがスポンサーについていたこともあり、一台をState Express 555カラー、もう一台をラッキーストライクカラーにして発表しました。

当然、レーシングスーツの色も別々。これはアメリカのCARTなどでよく用いられる手法で、スポンサーの広告効果をより大きく狙ったものだったとのこと。

しかし、F1では同じチームのマシンは同一のカラーリングにする規定があり、これに抵触。

BARはFIA相手に「スポンサーの権利の侵害」と訴訟を起こすも、最後に取った解決方法は、2つのカラーリングを一台に塗ってしまうこと。

出典:http://memoriaf1.blogspot.jp/

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これによって、片方は青、片方は白赤という前例のないデザインが生まれたのです。

タダでは転ばないのがBARで、車体のセンターをジッパーで切り分けるといったカラーリングに。

ノーズのシルバーは、さながら剥き出しのホワイトボディと言ったところなのかもしれません。

出典:http://www.racedepartment.com/

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このカラーリング自体は、1999年のみで終了。

翌年からは、見慣れたラッキーストライクカラーの赤白マシンが登場します。

なお、このカラーリングはマシンだけでなく、レーシングスーツも同じ左右別カラーリングにしたとのこと。

全て出来上がっていたマシンや装備をもう一度やり直しは、おそらく莫大なお金がかかったのではないかと思われます。

 

まとめ

出典:http://www.datuopinion.com/

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左右非対称マシン、いかがだったでしょうか?

ルールに縛られたからと異色のマシンを作ってしまう。

そこにBARの意地と努力を感じますね。

F1は世界中が注目するレースなだけあって、同じカラーリングのマシンでないと、確かにチーム感は薄れると思います。

ですが、ドライバーがひと目で識別できるという意味では、別々のカラーリングの方が面白いかもしれません。

空力デバイスやタイヤなど、テクノロジーが進化しすぎて、面白さがわかりにくいと言われている近年のF1。

もっと単純なところから魅力を発信していくと、より楽しくなるのではないでしょうか?

 

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