世界中のファンが固唾をのんで勝負の行方を見守った「ダカールラリー2017」。完走するだけでも難しいこのレースに、今年も2台体制で参戦した日野チームスガワラが見事クラス8連覇を達成しました!そして悲願のカミオン部門総合トップ10入り達成!!今回は連載最終章として、その栄光の軌跡をMotorz独占インタビューを交えてご紹介します。
今年も波乱続出…日野チームスガワラ14日間の軌跡
2017年1月1日。パラグアイのアスンシオン市内にてオープニングセレモニーが行われ、ダカールラリー2017が華々しくスタートしました。
今大会のコースはパラグアイからアルゼンチンに入り、ボリビアを通過後、再度アルゼンチンに戻りブエノスアイレスでゴールするというもの。
前大会より砂漠地でのSS(競技区間。通常ラリーではスペシャルステージの略ですが、ダカールラリーにおいてはセレクティブセクター、またはエスエス)が増えたことは、日野チームスガワラにとってはポジティブな要素となりました。
ドライバーの菅原義正選手、菅原照仁選手ともに長年砂漠ステージの多い「パリダカ」での走行経験が豊富で、マシンとの相性も良く、得意としているためです。
迎えた1月2日。いよいよレースがアスンシオンよりスタートしました。
照仁選手の2号車は出だしから大型のトラックにも負けない力強い走りを披露し、義正選手の1号車も順調にマシンをドライブ!
前半戦最終日となる7日の競技が悪天候のため全面中止となり、出場選手たちはリエゾンと呼ばれる移動区間を227km走行し、中間休息日を取る予定のラパスへと移動しました。
前半戦を終えたところで2号車は排気量10リットル未満クラスでトップ、カミオン部門では総合12位。
1号車はクラス2位、部門総合32位とそれぞれ大健闘でした!
その後も雨の影響でコースが大幅に短縮される場面もありましたが、最終的に2号車が長年の目標であった部門総合8位でゴール。1号車も部門総合29位と順位を上げ、今大会でもクラス1-2フィニッシュを達成しました!
また義正選手は、自身の持つ「ダカールラリー史上最多連続出場33回」を34回へと更新、またひとつ新たなレジェンドを打ち立てました。
Motorz独占!ドライバーインタビュー
そんな素晴らしいバトルで魅せてくれた2人に、Motorzでは今回も独占コメントを頂戴することが出来ました。
14日間の死闘を乗り越え、目標を達成したばかりの菅原親子の心境やいかに?
ーーーダカールラリーお疲れ様でした。まずは終わってみての率直な感想をお聞かせ下さい。
菅原義正選手 「今回は私の運転ミスで泥の中でスタックさせてしまった事など、まだまだ勉強不足だと感じております」
菅原照仁選手 「今年は酷暑、雨、高地と自然環境との戦いがいつにも増して過酷な大会でした。その中で、目標としていたトップ10を獲得できホッとしています」
ーーー今大会では悪天候による競技の中止や変更が多々ありましたが、競技区間が短くなることで何か影響はありましたか?
義正選手 「毎日、800km近く走らされるので、自分としてラッキーでした」
照仁選手 「現地はちょうど雨期にあたるシーズンで、天候が不安定であることは競技前からわかっていたことです。
よってどんな状況となっても十分な力を発揮できるよう序盤から積極的なレースを心掛けました。影響がなかったということではなく、影響を受けないように心掛けてきました」
ーーー今回、いちばん辛かったのはどの場面ですか?
義正選手 「休日の前日、ラパスに向かう途中、標高4200メーターの所でスタックした事です」
照仁選手 「短かったのであまり辛かった印象はありません。強いていえば8日目の競技後のリエゾン(移動区間)の途中で、道路が寸断され、規定のルートが通過できず、大きく迂回をさせられたときです。
迂回路は標高4000m以上まで一度上った後に別の下り口から下山するもので、通常では考えられないトンデモ道でした」
ーーーお二人にとってダカールラリーにチャレンジし続ける意義とは何でしょうか?
義正選手 「自分の信念を曲げない事です」
照仁選手 「我々のダカールへの挑戦には現場のチーム員だけでなく本当に多くの方々に関わっていただいています。
但しひとたびハンドルを握れば、ドライバーの一瞬の判断ミスですべてを失ってしまう、とてもシビアな世界で、しかもそれが2週間も続くという、とても特殊な競技です。
自分が何かしらのモチベーションを持ってチャレンジし続けるものではなく、皆さんの想いの集合体が自分であるという思いで取り組んでいます」
ーーー最後にファンの皆さんにメッセージをお願い致します。
義正選手 「ダカールラリーの事を知っている人が減ってるのに、応援頂きありがとうございました」
照仁選手 「いつも応援ありがとうございます。「エンジンが小さいから大型には勝てない」なんてことは絶対にありません。
まだまだ力及ばない点もありますが、日野レンジャーは確実に速くなっていて、ようやく彼らのしっぽも見えてきました。これからの日野レンジャーに是非ご期待下さい」
まとめ(早くも来年を見据えて準備開始…)
長い長い死闘の末に、今までにない最高の感動をもたらしてくれた日野チームスガワラ。
クラス8連覇にして1-2フィニッシュ、そして2号車の部門総合8位入賞と輝かしい結果ばかりが先行しがちですが、その影には私たちの予想もつかないような努力やドラマが隠されていました。
ドライバーだけでなく、ナビゲーター、エンジニア、メカニック、その他大勢の関係者、そして応援しているファンの存在。
その全ての思いがひとつとなって初めて生み出された大きな功績。
しかし、「まだまだ勉強不足」という義正選手の一言に凝縮されるように、こんなにも偉大なドライバーにここまで言わしめるダカールラリーは、やはり「世界一過酷なレース」と言われるだけのことはあるのだなと感じずにはいられません。
チャレンジし続ける先に、再び「総合優勝」を見据えて…
赤と青の鯉のぼりをはためかせた「リトルモンスター」は、もう既に来年の大会に向けて強豪たちの大きなしっぽを捕らえるべく虎視眈々と戦いの準備に入っています。
Motorzでは日野チームスガワラの来シーズンの活躍も全力を挙げて応援していきたいと思います!