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トヨタの復帰で例年以上に注目を集めているWRC。開幕戦モンテカルロではいきなりヤリ=マティ・ラトバラが2位表彰台を獲得。日本でも各メディアが大々的に取り上げ、話題となった。早いタイミングでの初勝利も期待されるのだが、ライバルに対して実際の戦闘力はどうなのか?今シーズンの真の行方は?今回も“ぶっちゃけて”いこうと思う。

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ラトバラが魅せた“堅実な走り”が好結果に

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1月19日~22日まで行われた2017WRC開幕戦モンテカルロ。今年は路面凍結もあり滑りやすいコンディション。これに足元をすくわれて、コースオフするマシンが多く、例年以上に大荒れの週末となった。
18年ぶりのWRC挑戦となったトヨタも、初日からユホ・ハンニネンが表彰台圏内で走行していたが、Day2のSS5でコースオフを喫し、木に衝突。マシンを壊してしまい優勝争いから脱落を余儀なくされた。
やはり初戦は厳しい戦いを強いられるかと思われたが、通算16勝を挙げているエースのラトバラが追い上げていく。Day3で3番手に上がると、最終日にはライバルのトラブルもあり2番手に浮上。最後まで堅実な走りを見せ、いきなり総合2位を獲得する快挙をみせた。

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この好結果に結びついた一番の要素はラトバラの「我慢の走り」だった。
昨年までは、ついついトップ逆転を目指して無理に攻めすぎてしまい自滅してしまうことが多かった。特に今回のコンディションを考えると、真っ先に餌食になりそうだったのは…実はラトバラと言える部分もある。
しかし、名門トヨタの復帰初戦という重要なラリーで“とにかく確実に走って結果を残す”というところに集中していた。今回は各SSを見ていても無理に攻めているシーンはあまりなく、Day4のSS15では先のことを考えてタイヤを温存していたのが印象的だった。
今回のラリーでは、わずかなミスでマシンを壊してしまい優勝争いから脱落するドライバーが多かった。その中でラトバラは、ほぼノーミス。目立ったタイムロスもなかった。
もちろん、トミ・マキネン代表を中心として綿密な戦力だとは思うが、それを冷静に遂行しきったのが結果につながったのは間違いない。
ぶっちゃけ、トヨタはWRCで今年勝てるのか?

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いずれにせよ開幕戦で2位という好結果に、トヨタの初優勝。そしてチャンピオン争いに絡んでくるのかという部分も気になるところだ。
開幕戦でのパフォーマンスを見ると、今後の期待はできるが、正直ライバルメーカーとの差はまだあるかなといった印象。
今回はラトバラが速さをよりも確実性を重視していた部分があったため、実際ならもっとペースアップできた部分はあっただろう。しかし全17SS(うち2つはキャンセル)の合計した総合タイムを見てみると、優勝したセバスチャン・オジェ(M-SPORT)とは2分15秒もの差がついてしまった。さらにオジェはDay2で一度スタックし40秒もタイムロス。もしそれがなかったことを考えると、もっと差が広がる計算になる。

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またDay3では、不運なアクシデントに見舞われ、優勝のチャンスを逃したティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)にしても、着実に最終日まで走っていればオジェを上回って開幕戦で勝利を手にしていたことは確実。
タラレバでの結論とはなるが、彼らとは、まだまだの差があることになることは間違いない。
ただ、今回のように確実なラリーを見せた結果での2位だし、これからマシンも熟成され、セッティングも煮詰まっていけば、さらに戦闘力向上に期待はできる。ただ簡単にトップに立てるほど今のWRCは甘くないということも、各マシンの走りをみて垣間みえてきた部分だ。
次のページでは、総合5連覇を目指すオジェを打ち破る可能性があるライバルたちに注目してみる。