2月9日から12日までスウェーデンで行われた世界ラリー選手権(WRC)の第2戦。そこでトヨタが見事18年ぶりに優勝を飾りました。エースのヤリ・マティ・ラトバラが攻めに攻めた4日間、そして今回も波乱の連続で様々なドラマもありました。Motorzでは、どこよりも深く細かくWRCスウェーデンの様子を振り返っていきます。
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DAY1:トヨタが初のステージトップタイム!
第2戦のスウェーデンはスーパーSSからスタート。通常は1台ずつ走ってタイムを計測しますが、スーパーSSではスタジアム会場で2台同時に走行。走行距離も非常に短い(今回は1.9km)特殊なステージです。
ここでラトバラは開幕戦モンテカルロで優勝したセバスチャン・オジェ(M-SPORT)と同じ組で走行。前回は各SSで大きく離されたラトバラでしたが、ここでオジェに勝利。タイムも1分34秒1を記録し、そのままDay1で暫定トップに立ちました。
特殊なステージなので、ここでのトップタイム=週末のパフォーマンスとは言いづらい状況でしたが、幸先の良いスタートで大きな流れを手に入れことができたと言えるかもしれません。
DAY2:ヌービルが今回も強さを発揮!ラトバラと一騎打ちに
2日目に入ると、モンテカルロで速さをみせたティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)がここでもライバルを圧倒します。SS2、SS3と連続で制しトップに浮上しリードを築こうとしますが、そこに待ったをかけたのがラトバラでした。
SS4ではヌービルを8.5秒上回るタイムでステージトップ。総合順位でも1位を奪い返します。
するとヌービルも負けじとSS5〜SS7でトップタイムを記録。ラトバラはSS7で満足のいく走りができず、結局Day2終了時点で両者の差は28秒に広がりました。
それでもラトバラは大きなミスをすることなく総合2番手をキープ。後半戦での巻き返しを目指します。
一方、オジェとオット・タナクのM-SPORT勢はなかなかタイムが伸びません。
特にオジェは新雪のコンディションで苦戦してしまい、Day2終了時点でトップから55秒差の総合5番手。前回同様に追い上げていかなければいけないラリーとなってしまいました。
DAY3:またしてもヌービルに悲劇が!
前半はあまり元気がなかったM-SPORT勢ですが、Day3で勢いを取り戻します。特にタナクはDay2最終のSS8〜SS11まで4連続トップタイム。20秒以上あったラトバラとの差を10秒に縮めます。
対するラトバラはSS13でトップタイムを記録しますが、続くSS14で伸び悩んでしまい、ついに両者の差は4秒になってしまいます。
その間も首位のヌービルは安定した走りでリードを広げ、この日の最終ステージを迎える時には40秒のアドバンテージ。前回は不運なアクシデントで優勝を逃しましたが、今回は間違いなくヌービルが勝利だろうと確信していました。
そして、SS15。まさかが起きてしまうのです。
スーパーSSのステージで左コーナーに入った際、イン側のコンクリートブロックに左フロントタイヤがヒット。サスペンションが壊れてしまいデイ・リタイアとなってしまいました。
ちょうど前回と同じDay3の最終SS。安全マージンともいえる40秒以上のリード。そしてわずか数十cmラインがずれたことが致命傷に。奇しくも同じようなシチュエーションで、またしても優勝争いから脱落。まさに悲劇でした。
これによりヌービルが暫定トップに返り咲きますが、1日を通して追い上げてきたタナクが3.8秒差、さらに3番手オジェも16秒差につけ、非常に僅差の状態で優勝をかけた最終日に臨んでいきました。
DAY4:守るのではなく攻めた!ラトバラがついに優勝!
いよいよ最終日。これまでの流れを見ると、タナクが有利かと思われていましたが、いざSS16が始まって見るとペースが良かったのはラトバラ。SS単体で7.1秒の差をつけ週末4回目となるステージトップとなります。
すると、続くSS17でもライバルを圧倒する走りを見せ、ここでも9秒上回るタイムを記録。合計で20秒のアドバンテージを得て、最終SS18を迎えました。
これだけの差があれば、リスクを背負わずに確実に走ることに徹しますが、ラトバラは「攻め」を選択。ここでもライバルを圧倒する速さをみせ、ステージトップ。同時にトヨタ復帰2戦目での優勝を決めました。
トヨタがWRCで最後に勝利したのは1999年の第11戦中国(ディディエ・オリオールがドライブ)以来18年ぶり、また日本車がWRCに勝つのは2005年のスバル(ペター・ソルベルグがドライブ)以来12年ぶりの快挙となりました。
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