トヨタが参戦し注目を集めている世界ラリー選手権。昨年まで圧倒的な強さを誇っていたフォルクスワーゲンが撤退したことにより、今季はラリーごとに優勝者が変わるという混戦。例年になく目が離せないものとなっている。その中で、5月18〜21日に行われた第6戦ポルトガル。果たしてどんな週末だったのか?振り返っていく。
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4人のドライバーが総合首位に立つ混戦のラリー前半
Day1のSS1はスーパーSSのため、本格的にラリーが始まって行くのはDay2から。しかし、各SSごとで総合首位が目まぐるしく入れ替わる展開となった。
SS2ではヘイデン・パッドン(ヒュンダイ)がトップに立つと、続くSS3で好タイムを記録したヤリ=マティ・ラトバラ(トヨタ)が総合トップへ。
SS4ではクリス・ミーク(シトロエン)、オット・タナク(M-SPORT)、クレイブ・ブリーン(シトロエン)が同じ19分14秒0とステージ単体で同タイムを記録。総合首位にはミークが躍り出た。
SS5以降も0.1秒を争う僅差の争いが続くが、各SSで安定した速さをみせたタナクが徐々にリードを築き、Day2最終のSS9が終わった時点でタナクが2番手以下に4.6秒差をつけトップに躍り出た。
トップのタナクにトラブル
Day3に入っても順調に総合首位を走っていたタナク。このまま今季初優勝も見えるかと思われたが、SS12の途中で左リアをヒット。サスペンションにダメージが及んでしまい、大幅にタイムロスを喫してしまった。
今回は特に僅差の戦いをしていただけに、ステージタイムでは1分23秒のロスだったが、これだけで一気に総合5番手まで後退。実質的に優勝争いから脱落してしまう。
そして、ここで総合首位に躍り出たのが、オジェ。SS8、SS10、SS12でトップタイムを記録し、着実にタナクを追い詰めていたのだ。
しかし7ステージ残った状態で2番手ヌービルとの差は19.5秒、3番手ソルドとは25.0秒と以前として気が抜けない展開となった。
3台体制のトヨタ勢は、トラブルやアクシデントが続きながらも最終日へ
今回は、ヤリ=マティ・ラトバラ、ユホ・ハンニネンに加えエサペッカ・ラッピが加わり3台体制で臨んだトヨタ勢。
序盤戦ではエースのラトバラが首位に躍り出るシーンもあったがSS7で痛恨のマシン転倒。なんとかサービスまでマシンを戻すことができたが、大幅にタイムロスを喫してしまい、順位も後退を余儀なくされた。
さらにラトバラはDay3になって体調不良に陥り、胃の痛みと戦いながらのドライビングに。もちろん、思うようにペースが上がらず苦戦したが、なんとか9番手まで取り戻し、最終日まで駒を進めた。
一方、ハンニネンはDay2終了時点で7番手。トップとは52秒差と好位置につけていたが、Day3後半でマシンがストップするトラブルに見舞われ、トップとの差は3分29秒に。ラッピもSS中に壁にヒットしてしまうアクシデントがあり、総合11番手で最終日を迎えた。
オジェvsヌービル、一進一退の攻防戦へ
最終のDay4開始時点で、オジェとヌービルの差は19.3秒。どこかでコースを外れてしまうようなミスがあれば簡単に入れ替わってしまう差。両者ともチャンピオン争いのことを考えれば、もちろん優勝はほしいところ。
緊迫感のあるなかで、SS18がスタートした。
8.66kmのショートステージ。ここで相手を上回ったのはヌービル。わずか2秒だけではあるがオジェに迫り、最終ステージに挑む。
SS19はボーナスポイントが得られるパワーステージ。ここでも、今週のラリーを象徴するかのように0.1秒単位での争いになる。
その結果、ヌービルは6分38秒7、オジェは6分40秒6。総合タイムで15.6秒逃げ切ったオジェが開幕戦モンテカルロ以来となる今季2勝目を飾った。
2位にはヌービル、3位にはダニ・ソルド(ヒュンダイ)が入った。
トヨタ勢は、最終日は着実なラリーを披露。ハンニネンは7位フィニッシュを果たし、体調が回復したラトバラはペースが回復し総合9番手まで順位を取り戻した。
ラッピは、最終パワーステージで4番手タイムを記録し、見事ポイントを獲得。総合でも10位でフィニッシュし、今回は3台揃って完走、ポイント獲得を果たした。
注目のチャンピオン争いは、オジェvsヌービルの戦い?
第6戦を終えてのドライバーズランキングは以下のとおり。
2017WRCドライバーズランキング(第6戦終了時点)
1位セバスチャン・オジェ 128pts
2位ティエリー・ヌービル 106pts
3位ヤリ=マティ・ラトバラ 88pts
4位オット・タナク 83pts
5位ダニ・ソルド 66pts
6位エルフィン・エバンス 53pts
7位クレイグ・ブリーン 43pts
8位ヘイデン・パッドン 33pts
9位クリス・ミーク 27pts
10位ユホ・ハンニネン 21pts
2017WRCマニュファクチャラーズランキング(第6戦終了時点)
1位M-SPORT 199pts
2位ヒュンダイ 173pts
3位トヨタ 113pts
4位シトロエン 85pts
ドライバーズでは今大会で1・2位に入ったオジェとヌービルが頭一つ抜け出る形となった。
昨年まではフォルクスワーゲンで圧倒的な強さを誇っていたオジェ。今年は第2戦以降少し苦戦しているようにもみえたが、勝てないラリーでも着実にポイントを稼いでこれたことが、この128ポイントにつながっているようだ。
開幕2戦はトップ快走も悔しいリタイアを喫したヌービル。しかし、彼のパフォーマンスはその時から高い評価を受けていたが、今季初勝利を手にした第4・5戦と連勝し、少しずつ歯車が噛み合ってきている様子。このままいけば、シーズン中盤にオジェを逆転する可能性もありそうだ。
注目のトヨタ勢は、ラトバラが3位につけるも、トップのオジェとは40ポイント差。序盤のスノーステージでは強さを見せたが、シーズン本番の主戦場となるグラベルやターマックコースではライバルと比べると劣る部分もある模様。
これが、今後どう改善されていくか、非常に楽しみだ。
まとめ
次回は早くもシーズンの折り返しとなる第7戦イタリア。6月8〜11日で開催される。
このままオジェが逃げるのか?それともヌービルが逆転するのか?そして、次回もグラベルラリーとなる中、トヨタ勢はどこまで上位に食い込めるか?見逃せない戦いがまだまだ続いていく。
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