今年もトヨタが参戦し注目を集めるWEC(世界耐久選手権)が4月16日にシルバーストンで開幕。最高峰のLMP1クラスはアウディが撤退しトヨタとポルシェの一騎打ちという展開。早速、開幕戦から波乱含みの展開となり残り15分までどちらが勝つか分からない激戦となった。

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予選ではトヨタが圧倒!7号車がポールポジションを獲得

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15日の公式予選。WECでは、2人のドライバーがタイムアタックを行い、両者の平均タイムで順位が決められる。一方が早くても、もう一方でミスがあれば、ポールポジションは獲得できないのだ。

昨年、シリーズ戦ではポルシェ、アウディ勢の先行を許すことが多かったトヨタ勢だが、今年は何としても王座の奪還。そして昨年残り3分で夢が潰えたル・マン24時間の総合優勝を目指し、TS050hybridを改良してきた。

その成果が実る形となり、予選ではポルシェ勢に約1秒の差をつけ圧倒。トヨタ同士のポールポジション争いではマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス組の7号車が0.289秒差をつけ初戦のポールポジションを獲得した。

 

天気に翻弄され、4台が入り乱れる展開に

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迎えた16日の決勝日。上空は分厚い雲に覆われ、いつ雨が降ってきてもおかしくない雰囲気に。スタートではグリッド順通りトヨタの2台が先行。それをポルシェ勢が追いかけていく展開となる。

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序盤は予選同様にトヨタが速さをみせ、1時間経過時点ではワンツーを死守。セバスチャン・ブエミ/アンソニー・デビッドソン/中嶋一貴組の8号車がリードし、1秒以内の僅差で7号車がつける展開となった。

しかし、レース中盤に差し掛かるに連れてポルシェが巻き返しを見せ始める。

最初は好調に走っていたトヨタ7号車だったが、マシンに小さな問題を抱えているようで、徐々にペースダウン。2時間を迎えるころにはトップから27秒差の4番手まで後退してしまう。

さらに、このタイミングから徐々に雨が降り始めると、流れは一気にポルシェへ。85周目にポルシェ2号車がトップに浮上。1号車もこれに続いていく展開となる。その後、雨は降ったり止んだりというイギリス特有の気まぐれな天候となり、さらに波乱を呼ぶことになった。

 

トヨタ7号車がクラッシュ

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レースも半分を過ぎ、3時間30分が経過しようとしたところでトヨタにまさかの事態が発生してしまう。

ポールポジションからスタートし、優勝への期待も高かったトヨタ7号車(ロペス)が高速コーナーのコプスで大クラッシュ。濡れた路面でコントロールを失ってしまい、スピードが落ちないままフロントからタイヤバリアに突っ込んでしまった。

これによりマシンフロント部は大破。マーシャルの手を借り、なんとか自走でピットまでたどり着き、緊急修復を行なったが優勝争いから完全に脱落することになってしまった。

なおクラッシュにより大きな衝撃を受けていたロペスは近くの病院へ搬送されたが、幸い大きな怪我はなかった。

 

残り30分を切っての攻防戦!トヨタ8号車が逆転勝利

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レース終盤は、ポルシェ2号車とトヨタ8号車の一騎打ち。レース後半はピットストップで順位が入れ替わる状況で、両者ともに一つのミスも許されない緊迫した争いとなった。

まずは残り1時間をきって、トヨタ8号車(ブエミ)が最後のピットイン。ここで新品のタイヤに交換し最終スティントに備える。

これで一時的にトップに立ったポルシェ2号車(ハートレー)。残り30分のところで最終のピットインを敢行。こちらは給油のみで作業を終え、ピットアウト。トヨタ8号車の8秒前方で復帰しトップ死守に成功した。

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これで勝負ありかと思われたが、何としても開幕戦で優勝をつかむべくブエミが猛追を開始。あっという間にポルシェ2号車との差を埋めていき、サイド・バイ・サイドの攻防戦へ突入。そして残り15分というところで、ついに扉をこじ開け逆転。

そのまま逃げ切った8号車がトップチェッカーを受けた。2・3位はポルシェ勢。トヨタ7号車はクラッシュからマシンを修復し、なんとかクラス4番手で完走を果たした。

 

まとめ

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予選まではトヨタ有利かと思われたが、いざフタを開けてみれば接戦となったLMP1クラス。やはり今季も、一つのミスも許されないシビアな戦いとなっていきそうだ。

その中で、まずは強敵ポルシェに打ち勝ったトヨタ勢。この勢いで5月のスパ6時間、6月のル・マン24時間と良い流れを持っていくことができるのか。それとも、耐久王ポルシェが巻き返しを見せるのか。

今年もWECの頂上決戦から目が離せない。

 

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