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現在では世界各国のレースで活躍しているGT3カーですが、競争は年々激化しています。その激戦を勝ち抜くために、日産はGT-R NISMO GT3(R35)のエボルーションモデルの開発を始めると発表しました。ここまでのGT3仕様GT-Rの活躍とともに、激化するGT3市場の状況について簡単に見ていきましょう。

©︎Tomohiro Yoshita
2015年に日本、欧州シリーズを制覇

©︎日産自動車株式会社
R35をベースとしたGT-R NISMO GT3。初代が登場したのは2012年。FIA GT3車両の導入が本格的に始まったGT300クラスを皮切りに、スーパー耐久でも参戦。そこから徐々に国外シリーズにも活動の幅を広げていきました。
スーパーGT、スーパー耐久ともに、いくつかのレースで勝利を挙げるものの、チャンピオンを獲得できる強さを発揮することができず、3年が過ぎてしまいます。

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そこで、2015年にマシンをアップデート。軽量化や前後の重量配分の見直し、エアロダイナミクスの改善や燃費向上など、これまでの弱点を克服する形で新バージョンが登場しました。
すると、国内外のシリーズで大活躍。GT300クラスでは第2戦富士、第3戦タイでワンツーフィニッシュ。
この他にもNo.10GAINER TANAX GT-Rがほぼ全戦で表彰台に乗る活躍を見せ、最終戦を待たずにアンドレ・クートがドライバーズタイトルを獲得。同時にチームタイトルも勝ち取りました。

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海外では、ヨーロッパを中心に争われるブランパン耐久シリーズのプロクラスでアレックス・バンコム/千代勝正/ウォルフガング・ライプの日産GTアカデミーRJNが見事シリーズチャンピオンを獲得しました。
このシリーズには、アウディ、BMW、メルセデスベンツなど強豪メーカーが集結。世界屈指のレベルを誇るGT3マシンで争われるレースを制したということもあり、「現在のGT3マシンの中で最強」というイメージがついていきます。

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また2016シーズンになりますが、スーパー耐久(ST-Xクラス)では全戦でGT-R NISMO GT3のマシンが優勝。日産自動車大学校とコラボしているKONDO RACINGがシリーズチャンピオンを手にしました。
しかし、GT-Rの快進撃をライバルたちがただ黙って見ているはずがありません。
2016年にはGT3界の勢力図が大きく変わることになります。
強豪ライバルが新マシンを続々導入。あっという間にアドバンテージがなくなる…

©︎Tomohiro Yoshita
2016年になるとメルセデス、BMW、フェラーリ、ランボルギーニなどが続々と新型マシンを導入。ブランパン耐久をはじめ、各国のGT選手権で快進撃をみせます。
ニュルブルクリンク24時間ではメルセデスAMG GT3がワンツーフィニッシュ。ブランパンシリーズもHTPモータースポーツがチームタイトルを獲得。一方のGT-Rを使うチームRJNはチームランキング11位。スーパーGTでもチャンピオン争いに絡むことができず苦しいシーズンとなってしまいました。

©BMW AG
欧州の強豪ライバルが力を入れて開発したマシンを相手に、今のGT-Rで戦っていくのは、現状難しい状況になっている…それを改めて痛感させられた2016シーズンでした。
この1年での急激な変化は、GT3ともに活躍の場を広げていった千代勝正も感じていた様子。現在のGT3争いについて、2017日産モータースポーツ体制発表でのトークショーで、このように語ってくれました。

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「GT3の競争が激しくなっていますね。2015年に優勝できた時から2016年までにほとんどのメーカーがクルマを新しくして、それで競争力も上がりました。またBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)もGT-Rが2015年に勝ったことによって厳しくなっていて、世界からかなり(GT-R)がマークされていました」
開発ドライバーには柳田真孝&ミハエル・クルム

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この状況を打破するために、2018年にエボルーション仕様を導入することを正式アナウンス。
さらに開発ドライバーにはスーパーGT500クラスで2度のチャンピオン経験を持つ柳田真孝と、ル・マンや海外GT選手権など様々なカテゴリーで活躍してきたミハエル・クルムが担当します。
おそらく2017年モデルのGT-R(市販モデル)をベースにマシンが製作されると思われますが、これまでのノウハウとドライバーたちの経験を全て注ぎ込んだマシンにするとのこと。

©︎Tomohiro Yoshita
今回のエボルーション車の開発に向けてクルムは「GT3は世界のメーカーが力を入れて開発しているマシン、どこかで新しいものを導入しないと、ついていけなくなります。だから今のタイミングで、全部のポイントを良くすることが目標です。まだ開発が始まったばかりなので、まだ何とも言えないですが、エアロやエンジン、ブレーキバランスとか、全てを良くしていかなきゃいけないと思っています」とコメント。
詳細な情報が出てくるのは、おそらく夏から秋頃になるとは思いますが、どんなGT3マシンがでてくるのか。楽しみなところですね。
まとめ

©︎Tomohiro Yoshita
年々、世界中の各メーカーが参画し始めているGT3。
今年はレクサスも本腰を入れてRC F GT3を導入してきましたし、来年や再来年に向けてもアップデートを施してくるメーカーが少なからず出てくるでしょう。そして、日産勢も今まで以上に力を入れて開発に着手します。
「買えるレーシングカー」と例えられることが多いGT3ですが、その市場は思った以上のスピードと規模で激化しています。
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