かつてスターレットで日本初のワンメイクレースを始めたトヨタ。その後継として選んだのは、なんとヴィッツによる日本初のJAF公認ナンバーつき車のレースでした。2000年に始まったヴィッツレースは3代に渡る歴代ヴィッツが多くのドライバーを育て、楽しませながら、2017年の現在に至るまで15年以上続いているのです。

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ヴィッツレースとは:史上初のJAF公認ナンバーつきレースが開催されるまで。

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正式名称は「Netz Cup Vitz Race(ネッツカップ ヴィッツレース)」。

それまでのレースと言えば、草レースはともかくJAF公認レースにはナンバーつき車両が出場できるカテゴリーが存在しませんでした。

市販車にもっとも近いN1レース車両でも、ナンバー無し車両のみの参戦でした。

そのため、市販車でもナンバーを取得できないレース用専用車両も販売されており、トヨタでもTRDからレース専用カローラレビンなどが発売されていた時代でした。

ナンバーを取得できないと、当然レースに出場するためにはマシンを積載車で運んだり、サーキットにガレージを借りたりせねばならず、その負担は少ないものではありません。

結果、一般の人が遊びでレースに参戦するのは難しく、「お金持ちの道楽」のように見られていた状況が続きます。

そこで1990年代から「N1よりも下の、ナンバーつき車両でもできる”Nゼロ”レースをやろう」という動きが本格化しましたが、その実現にはかなりの時間を要したのです。

ようやく初代ヴィッツによるワンメイクレース「ネッツカップ ヴィッツレース」として初開催されたのは、2000年のことでした。

 

ヴィッツレースとは:自宅がスタートでありゴールでもある、究極のサンデーレース

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ナンバーつき車両によるレースの開催というのは画期的なことで、それまで「家からサーキットまで自走して、そのままレースに出てまた家まで帰る」というのは、草レースはともかくJAF公認レースでは考えられないことでした。

何しろ、マシンにはナンバーがついているので公道を走れるのです。

ナンバー付き車両でレースをするからには、「レースをしても公道を走って帰れる。」必要がありました。

その為には、自動車メーカーが音頭を取って、このクルマならサーキットでレースをしても大丈夫、家まで帰れると太鼓判を押さないと、開催はできません。

ヴィッツレースではレース終了後に公道走行の可否を判断するチェックや、レースで使用したタイヤで公道を走って帰ることを禁止する規則を設けることで、それを実現したのです。

もちろん、ヴィッツにそれを可能にするだけの耐久性など所定の性能があったことも見逃せません。

実際に始めては見たものの短期間で終了、レース用に販売した車両を回収して幕を閉じてしまったワンメイクレースも実在しました。

そう考えると2000年の初開催以来、ヴィッツレースを続けているトヨタ、そして公道を走れる仕様でレースに耐えうる性能を持っていた歴代ヴィッツの偉大さがわかります。

 

ヴィッツレースとは:全国各地でサンデーレーサーが楽しめるホビーレース

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全国転戦シリーズとして開催された初年度を除き、2001年以降は地方単位で開催されるヴィッツレース。

現在は、北海道から九州まで5つのブロックに分けられ、7つのサーキットで開催されています。

ネッツカップの初期にはヴィッツレース以外にアルテッツァレース(こちらはナンバー無しの従来型レース)も行われていたため、ヴィッツからアルテッツァへ、そしてその上を目指すドライバーも沢山いました。

そのため、ステップアップを目指して本格的にレーサーへの道を歩む人から、週末の趣味として、これなら参加できると車と道具を揃え、とりあえず来てみたという、スポーツ走行初心者まで、さまざまなレベルのドライバーが殺到してしまったのです。

その結果、まずは予選で絞り込んで決勝、そして予選落ちの人はコンソレーションレース(予選落ちレース)へとグループ分けがなされ、本当の意味で、どんな人でも参加できるレースとなったのです。

その事により、ヴィッツレースで予選落ちして現実の厳しさを実感するドライバーが存在したのも確かです。

ただ、そうした人たちが基礎を学ぼうとジムカーナに参戦する光景も見られ、モータースポーツ界を活気付ける流れとなりました。

2006年にアルテッツァレースが終了したのを機にステップアップレースとしての役割が薄れ、週末を楽しむサンデーレーサーによるホビーレースとして2017年現在もヴィッツレースは開催されています。

 

歴代参戦車両~唸れ1リッター4気筒1SZ-FE! SCP10 初代ヴィッツ~

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1999年にスターレットとタコII(ターセル / コルサ / カローラII)後継としてデビューし、それまで開催されていたスターレットのワンメイクレースも引き継いだヴィッツレースの初代モデルがSCP10です。

最初はヴィッツそのものに1リッター4気筒エンジンしか設定が無かったので、そのままヴィッツレース用に指定され、TRDからベース車両のヴィッツTRD-MSBも販売されました。

これは1,000ccのヴィッツに装備されていなかった、フロントスタビライザーなどを装備したTRD特装車でしたが、普通のヴィッツに規則で定められたレース用パーツを装着すればヴィッツレースに出場する事も可能だったのです。

ただ、TRD-MSBはヴィッツレースに参加する分には問題無かったのですが、他のJAF公認競技で使った時には問題もありました。

SCP10ヴィッツはジムカーナN1クラスでも活躍した名車でしたが、TRD-MSBは改造制限の厳しいN車両だと車両規則で追加装備が改造とみなされ、失格車両が出たこともあったのです。

 

歴代参戦車両~1.5リッターエンジンでパワーアップ!NCP91 2代目ヴィッツ~

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2005年にヴィッツがモデルチェンジした後も初代ヴィッツがレースで使われていましたが、2006年には2代目に車両変更されます。

今度は最初から1.5リッターのヴィッツRSが設定されていたので、ヴィッツレースもそれをベースにしたヴィッツRS TRDレーシングがレース用車両に指定されたのです。

初代のヴィッツレースはTRD-MSB以外でも参戦できたことから、ユーザーの意図に関わらず規則に沿わない手が加えられている可能性は否定しきれず、それもナンバーつきワンメイクレースの難しいところでした。

しかし、参戦車両をRS TRDレーシングに限定したことで、エンジンは封印され、ユーザーが一切手を加えられなくなり、ロールバーやサスペンションも最初から組み付けられました。

これにより全参加車両の性能を均一化するイコールコンディションがようやく実現したのです。

 

歴代参戦車両~激闘の行方はドライバーの腕に委ねられた! NCP131 3代目ヴィッツ~

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ワンメイクレースの歴史はイコールコンディション化の歴史である、事を象徴するかのように、2012年に3代目へと切り替わったヴィッツレース車両はさらにユーザーの自由度を限定しました。

自由に選べるパーツはブレーキパットとシートくらい、タイヤすらグッドイヤーのワンメイクとなり、車で差をつける余地はほとんどありません。

そうなると勝った負けた、抜いた抜かれたは、ほとんどドライバーのテクニックにかかってくるので、結果はシンプルです。

要するに頑張って腕を上げれば誰にでも勝つチャンスはあるという事です。

そのため、今日も日本のどこかで、ヴィッツレースのドライバーが「次こそは勝つ!」と走り込んでいるかもしれません。

 

まとめ

開催当初は、1リッターのコンパクトカー、それもナンバーつきの公道仕様車両でレースになるのか、車の耐久性は大丈夫なのかと疑問視されていましたが、それから17年経った今もヴィッツレースは続いています。

それは、トヨタや関係者の並々ならぬ努力の賜物であり、不況でモータースポーツ活動を縮小していた時期でも地道に続けてくれた結果だと思います。

その入門者向けモータースポーツへの努力はレースだけにとどまらず、最初はヴィッツチャレンジラリーとして始まった入門ラリーが、現在も「ラリチャレ」ことTRDラリーチャレンジとして続いています。

純粋にモータースポーツを楽しみたい人が走る場所を守ってくれている、トヨタとTRD、Gazoo Racingなど関係者の皆様に今日も感謝しつつ…あえてこう言いましょう。

もっと頑張って!もっと僕たちに楽しく走る場所を!皆さんならできると信じています!

 

Netz Cup Vitz Race公式HP

 

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