国内最高峰のツーリングカーレース、スーパーGT。2017年は開幕戦、第2戦を終えたところで、レクサス勢がランキング1位~4位を独占。5位にNISMOが食い込んでいるものの、6位、7位とレクサスなので、LC500の牙城を崩すのは容易ではありません。そんな中、ここまで苦しい戦いを続けてきたホンダ陣営は中盤・後半戦をどう戦っていくのでしょうか?今回は、ホンダNSXにスポットを当ててレースを振り返っていきます。
ホンダが戦った2017スーパーGT開幕戦・第2戦
2016年シーズン、ホンダ勢はこれまで使用していたハイブリッドシステムを降ろしてGTに臨みましたが、結果は奮わずドライバーズランキング、チームランキングともに11位以下にすべてのチームが並ぶという苦しい結果になりました。
そして迎えた2017年は、新車であるNSX-GTを投入。
HSV-010を使用していた2010年以降シリーズチャンピオンの無いホンダとしては、今回の新車投入で風向きが変わるのか、大きく期待を背負っての開幕戦を迎えるも、結果は全5チーム中4チームがトラブルに見舞われ、2台がリタイヤ。
完走扱いは3台ですが、トップと同一周回は16号車のMOTUL MUGEN NSX-GTのみという悔しい結果に終わりました。
そして第2戦。富士スピードウェイで行われた500kmという長丁場のレース。
開幕戦の岡山国際サーキットでは、全車同じ部品によるトラブル発生(MOTUL MUGEN NSX-GTのみ予選時)から、長丁場のレースでの耐久性に不安を感じているという声もあるなか、見事に全車完走。
それだけではなく、100号車のRAYBRIG NSX-GT(山本尚貴・伊沢拓也組)は6位入賞。ベストタイムはトップの38号車ZENT CERUMO LC500(立川祐路・石浦宏明組)とおよそ0.150秒差と、中盤・後半戦にかけて期待できるレース内容を見せました。
もちろん、ZENTは16kgのウェイトを積んでいたというハンディはありますが、圧倒的な速さを持ったレクサスLC500にまだまだホンダNSXが戦えるという結果を見せたのです。
山本尚貴選手から見た、第2戦”6位”という結果
今回の結果について、山本尚貴選手はMotorzの取材にこう語っています。
ーーー今回100号車はホンダ勢の中で最高位の6位を獲得していますが、レクサス勢が圧倒的な速さを見せている中でこの結果は、ホンダにとっても、ホンダファンにとっても明るい結果なのでしょうか?
山本尚貴選手:どうですかね。ホンダファンの皆さんが6位を楽しみにしているわけではないと思うので。6位と言っても、前と接近している6位ではなくて、だいぶ離れた6位(※トップとは35秒差)です。
開幕戦のトラブルから見れば、一見戦えているようには見えますけど、トップとの差はまだ大きいと思いますし、差を埋めて逆転するのはまだまだ大変だと思いますね。
ーーーというのは、やはりマシンのパフォーマンスの差がかなり大きく、厳しい状況ということですか?
山本尚貴選手:それ以外に何があります?テストの段階からパフォーマンスが大きく劣っているのは、誰の目に見ても明らかだと思いますし。
その中で、岡山でトラブルが出て、レースも戦えないでロングのペースもわからないままここ(富士)にきたんですけど、それで言うとちゃんと最後まで戦うことはできたし、ペースもすごい悪かったわけではないので。特に僕らは。
だからこそ、今回500km走って得たものが、次に活かせると思います。
ギャンブルじゃないので、一気に良くなることはないと思っているし、やっぱり、これでもコツコツやってきて、こういう風にうまくレベルが上がってきたので、この先も地道に辛抱強くやっていくほか無いかなと思っています。
ーーーでは、後半戦に向けてとにかく毎戦新しい挑戦をしながら臨んでいくと。
山本尚貴選手:そうですね。現行のルールだと、イジりたくてもイジれないところは多くなってきちゃったので、やれることも限られては来ます。
ですが、GTはウェイトの兼ね合いもありますし、相手が点数取って重くなってきたところで取りこぼさないように、大量得点が取れれば良いかなとは思っています。
やはりNSX勢と、レクサス勢で性能差があることは間違いなく、今後も苦しい戦いが続くだろうという厳しいコメントをいただきましたが、それでもGTにはウェイトというルールがあり、後半戦ではこの結果を覆すこともできなくはないと語る山本選手。
この言葉を後押しするように、第3戦以降はNSX勢にある措置が行われます。
第3戦からは、勝利のチャンスが増える!?
スーパーGT、GT500クラスの車両は、DTM(ドイツツーリングカー選手権)と同じルールが適用されており、駆動方式はFR、車両の最低重量は1020kgと定められています。
しかしNSXは市販車との兼ね合いもあって駆動方式がMRとなっており、これによって最低重量が1049kgと他車より29kgも重いという厳しい条件下でレースを戦っています。
その状況の中で、第3戦のオートポリスからは参加条件が見直され、最低重量が1034kgへと変更。
この15kgという差は非常に大きく、ここまで上位を占めてきたレクサス勢や23号車のMOTUL AUTECH GT-Rがウェイトを積むなか、NSXはマイナス15kgという大幅な軽量化を実現できるのです。
2017シーズンは、50kg以上のウェイトを積むと燃料リストリクターを装着するというGTではおなじみのルールが復活。
このルールによってランキング上位の37号車KeePer TOM’S LC500、6号車WAKO’S 4CR LC500、38号車ZENT CERUMO LC500はみなリストリクターを装着することになります。
これにより、圧倒的なパワーを誇っていたレクサスLC500には大きなハンディがつき、NSX勢は大きくウェイトを積まないまま軽量化できるという構図が出来上がるのです。
ましてやオートポリスはコーナーの多いテクニカルなコース。NSXがミッドシップであることと、15kgの軽量化による恩恵を考えると、第3戦はこれまでのリザルトがひっくり返るような可能性を秘めたレースであることは、間違いないと思われます。
まとめ
ウェイトシステムによって、開幕から速い車がランキング首位を独走するとは言い切れないスーパーGT。
だからこそ、モータースポーツファンの人気も非常に高く、毎戦毎戦エキサイトしたレースを魅せてくれます。
序盤の2戦、苦しかったホンダNSX勢が、今後一体どんなレースを見せてくれるのか?シーズン中盤・後半にかけて、まだまだ目が離せないレースが続きそうです。
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