1976年にフェラーリ365GTBBの後継モデルとして誕生したフェラーリ512BB。当時は日本でスーパーカーブームが巻き起こり、ランボルギーニ・カウンタックに対抗する人気の高さを誇っていました。しかし、このモデルは単なるブームで人気となったのではなく、フェラーリにとって今後のスポーツカー作りの方向性示す重要な存在でした。
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打倒カウンタック!スーパーカーブーム時に衝撃デビューしたフェラーリ512BB
1973年、フェラーリ初となる水平対向型12気筒エンジンを搭載した『365GT4/BB』が発売されました。
フェラーリは、それまでのフロントエンジン仕様であるデイトナ(365GTB/4)に代わるリアミッドシップスーパーカーの開発に着手。
リアミッドシップのグランドツーリングカー(GTカー)にはフェラーリ・ディーノがありましたが、12気筒エンジンをリアに搭載したのは365GT4/BBが初めてだったのです。
そんな初の試みが多数なされた365GT4/BBは、計画上では25台のみの限定販売が決まっていましたが注文が殺到し、最終的には387台まで製造・販売。
そして発売から3年後となる1976年に、自動車排ガス規制をクリアするために排気量アップした512BBがデビュー!
外装に大きな変化はありませんが、コストを抑えるために365GT4/BBで使われてきたFRPやマグネシウムなどの一部をスチールやアルミへ置き換えられた分、車体は重くなりましたが、排気量を約600ccも引き上げた4,942ccまで拡大し、最高出力・最大トルクともに大幅アップ!
公称最高速度は302km/hとされ、ランボルギーニ・カウンタックとスーパーカーにおける人気を二分していました。
その後1981年まで製造され、後継モデルに燃料供給をインジェクションへ変更した『512BBi』が発売しましたが、わずか3年間で販売終了になり、後継モデルとしてフェラーリの人気モデル『テスタロッサ』が登場したのです。
ボクサーエンジンか?それとも180°V型エンジンか?
左180°V型エンジン
右水平対向エンジン pic.twitter.com/RjyVk0x4uE— 俊@YBR1200G (@gravel8558) 2016年4月13日
512BBという車名は排気量5リッターの12気筒エンジンということから『512』が用いられ、『2ドアクーペ』『水平対向エンジン』を意味する『ベルリネッタ・ボクサー(Berlinetta Boxer)』の頭文字『BB』と組み合わせて『512BB』と名付けられました。
ちなみにエンジンレイアウトとして水平対向型は正しいのですが、厳密には180°のバンク角をもつV型エンジンとされています。
ではなぜ、『水平対向型』を名乗らなかったというと、左右それぞれのピストンが一つのクランクを共有しているからです。
通常ボクサーエンジンは左右関係なくシリンダーそれぞれに個別のクランクが設けてありますが、それに該当しないため『180°V型』が用いられました。
ル・マンを走ったフェラーリ512BB/LM
フェラーリは、512BBのレース仕様『512BB/LM』を1978年に登場させます。
ピニンファリーナの風洞テストで空力特性の改善を図り、高速走行時でも安定したスタビリティを実現。
フレームやエンジンは512BBと共通ですが、フェラーリ独自のチューニングを施しエンジンの最高出力は470馬力を発揮。
車重は350kgも軽く、1050kgになりました。
もちろんサスペンションやブレーキにも手が加えられ、ブッシュが可動範囲の広いユニボールジョイントへ変更されています。
また、512BB/LMは25台製作され、そのうちの14台がル・マン24時間耐久レースに出場。
2011年のル・マンに出場した14台のうち1台が売り出され、評価額は約1億4500万円~1億6800万円でした。
これは、フェラーリが今まで行ってきたレース活動において、名車のひとつとされる車両です。
フェラーリ512BBのスペック
1976年モデル フェラーリ512BB | |
---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 4,400×1,830×1,120 |
ホイールベース(mm) | 2,500 |
乾燥重量(kg) | 1,400 |
乗車定員(名) | 2 |
エンジン種類 | 180°V型12気筒DOHC24バルブ |
排気量(cc) | 4,943 |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 265[360]/6,800 |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 450[332]/4,600 |
トランスミッション | MR |
タイヤサイズ | 前:215/70 VR 15 後:225/70 VR 15 |
エリック・クラプトン特注の512BBが存在していた
Ferrari SP12 EC pic.twitter.com/5EIS4cvQRo
— 憧れの車たち (@sekainotosi) 2014年2月17日
2012年、フェラーリは新型車『SP12EC』を公開し多くのフェラーリファンを驚かせました。
SP12ECはフロントバンパーのエアインテークを車幅いっぱいまでひろげ、その赤黒のツートンカラーは512BBの復刻版だと思われるものでした。
しかし、SP12ECはあるオーナーのためのだけ作られたワンオフモデルであり、そのオーナーとは世界的なギタリスト・エリック・クラプトン氏で、彼は512BBへただならぬこだわりを持っており、希少な512BBを3台も所有していたのです。
また、SP12ECのデザインはフェラーリ社内のデザインスタジオとピニンファリーナによる合作で、今後新モデルとして登場してもおかしくないほどの仕上がりですが、エリック・クラプトンの依頼で制作されたと思われる、SP12ECについての情報は多く公開されていません。
フェラーリ458イタリアをベースに制作され、車名の『12』から、V8エンジンからV12エンジンに載せ換えているのではないかと一部で噂されていますが、真実を知るのはフェラーリとエリック・クラプトンのみ。
自らの好みの車をフェラーリにワンオフで作ってもらえるなんて、羨ましい限りです。
中古車で購入できるのか!?フェラーリ512BBの中古車価格
世界中でさまざまなスーパーカーが登場したなかでも世界遺産級の価値があるフェラーリ512BBですが、現在でも中古車で購入できるのでしょうか。
インターネットで検索してみると、数台ヒットはするもののほとんどが『応相談』というタグが付けられています。
価格が表示されているものは約5,000万円で、日本で売られているビンテージカーの中ではかなり高額なクラスとなっているのです。
まとめ
フェラーリ512BBは世界の自動車史において、偉大な存在といえるスーパーカーです。
その証拠に、今でも多くの自動車コレクターがフェラーリ512BBを欲しがっており、フェラーリの歴代車のなかでも非常に大きな存在感を放っています。
また、製造・販売終了後は後継モデルとして次々とフェラーリを代表する車が登場し、その元祖ともいえる365GT4/BBと512BBはフェラーリにとって偉大な存在。
フェラーリ512BBは、これからも語り継がれるスーパーカーでしょう。
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