ホモロゲーション取得モデルとして、1992年に誕生したランサー エボリューションは、ハイパワーエンジンを搭載したモデルとして登場。中でもWRC世界ラリー選手権において大活躍した「ランエボⅣ」、「ランエボⅤ」、「ランエボⅥ」は今でも中古車市場で高い人気を誇っています。そこで、このランエボⅣ,Ⅴ,Ⅵはどんな車なのか、ラリーにおいてどのような成績を残したのか、そして中古車は幾らくらいなのかをご紹介していきます。
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ランサーエボリューションⅣ 1996年8月発売
ベースモデルとなっているランサーが前年の1995年にフルモデルチェンジしたため、「ランサーエボリューション」もボディを新型に刷新した第2世代へと移行しました。
最大の特徴は、アクティブ・ヨー・コントロール(AYC)の採用により、エボIIIに比べて旋回性能とブレーキング時の安定性を大幅に向上させた事。
また、4G63型2.0Lインタークーラーターボエンジンは、ツインスクロールターボチャージャーの採用などにより、2.0Lという排気量ながらも280PSを達成したことで、大人気モデルとなりました。
トミ・マキネン、ドライバーズタイトル獲得
「エボIV」のラリーシーンでの活躍においては、1997年のラリー・モンテカルロからWRCグループAに参戦 。
1998年のラリー・ド・ポルトガルまでの18戦のWRCグループAに出場し、1997年第4戦ラリー・ド・ポルトガル、第5戦ラリー・カタルーニャ、第7戦ラリー・アルゼンチン、第10戦ラリー・フィンランド、1998年第2戦スウェーディッシュ・ラリー、第3戦サファリ・ラリーで優勝します。
そして、トミ・マキネンが1997年シーズンのドライバーズチャンピオンを獲得するという快挙を達成するのです。
中古車価格は1996年式で60~70万円という価格帯。
20年前の車両でこれだけの売値をつけているのは、さすが「ランエボ」。特にこの「ランエボⅣ」以降はセンセーショナルなデザインと5ナンバーサイズ最後のモデルということで人気が高騰しています。
ランサーエボリューションⅤ 1998年1月発売
ピストンの軽量化などにより、最大トルクを38.0kg-mまで増大。
前後トレッドを大幅に拡大し、タイヤも25/45ZR17へと拡大しています。またフロントヘリカルLSDを組み合わせ、ブレンボ社製キャリパーを採用するなど制動性能も大幅に向上しました。
また、アルミ製フロントブリスターフェンダー、リヤオーバーフェンダー、アルミ製リヤスポイラーなど、空力性能と冷却性能も改善させています。そのため、車幅が1770mm.となり、このモデルから3ナンバーサイズへとなっています。
ドライバーズチャンピオン、マニファクチャラーそしてグループタイトルも獲得
「グループA」での参戦を継続したWRCでは、改造範囲の広いラリースペシャルのWRカーを上回る活躍で、1998年には1998年ラリー・カタルーニャからラリー・オブ・グレートブリテンまでの9戦に参戦し、ラリー・アルゼンチン、ラリー・フィンランド、ラリー・サンレモ、ラリー・オブ・グレートブリテンで優勝しています。
そして、トミ・マキネン選手がドライバーズチャンピオンを獲得。
また、チームメイトのリチャード・バーンズ選手も好成績をあげ、三菱はマニュファクチャラーズチャンピオンとグループNのタイトルも獲得し、ラリー活動において最も活躍したモデルとなっています。
中古車での実勢価格は80~100万円といったところです。
ランサーエボリューションⅥ 1999年1月発売
「Ⅴ」の発売からわずか一年での登場となった「Ⅵ」。
1999年度に変更されたWRCのレギュレーションである空力パーツのサイズ制限に対応させ、卓越した運動性能で好評を得たエボVをベースに、ポテンシャルアップを図ると共に、内外観のリフレッシュを施し、開発されました。
そして、徹底した冷却性能の向上を実施し、フロントバンパーが冷却効率と空力性能を向上させながらも、洗練された迫力あるスタイルを実現しています。
メカニズムでは、フロントサスペンションのロールセンターを下げ、リヤサスペンションのバネ下重量を低減。
また、世界初のチタンアルミ合金製タービンホイールを採用したターボチャージャーによりレスポンスを高めています。
トミ・マキネン4年連続となるドライバーズタイトルそして終焉
空力性能の向上を目指したリアスポイラーの2段ウイングは、翼面積がWRカー規定の2倍近くになることからFIAの指導が入った為、上段ウィングのみが機能するように改良することになりました。
それでも、WRC グループAで1999年第1戦モンテカルロから2001年第10戦ニュージーランドまでの38戦に参戦し、1999年シーズンはモンテカルロ、スウェーデン、ポルトガル、ニュージーランド、サンレモで優勝!4年連続となるドライバーズタイトルをトミ・マキネンにもたらします。
2000年シーズンには第1戦モンテカルロで優勝、2001年シーズンはモンテカルロ、ポルトガル、サファリで優勝しましたが、改造範囲がより幅広いWRカーが競争力を獲得するとグループAの枠内では対抗しきれなくなったことで、市販車のランエボをベースにしたワークスマシンの参戦はこのモデルで最後となりました。
中古車では100~170万円と幅のある価格となっており、中には200万円というものあります。
ランサーエボリューションVI トミ・マキネンエディション 2000年1月発売
トミ・マキネンの4年連続ドライバーズ・チャンピオン獲得を記念して、同選手の名前を冠した特別仕様車として登場したこのモデルは、「ランエボ6.5」とも呼ばれています。
ただし、グループAのホモロゲーションを取得はしていません。
2000年シーズンに使用されたマシンとフロントバンパーの形状は似ているものの、比較的おとなしい外観となっていますが、標準型の「ランエボVI」と異なり、「ランエボV」の硬い足回りが標準で採用され、競技で運転しやすい仕様となっているのです。
また、中古車市場ではなかなか見られないモデルなので、「ランエボⅥ」よりは高値が付く希少車となっているので、見かけだけでもかなりの確率となっています。
まとめ
ランサーエボリューションは、ランサーをベースにハイパワーのターボエンジンを搭載したスポーツモデルであり、公道走行を前提に快適装備を備えた「GSR」と、競技用ベースモデル「RS」の2つグレードがあります。
また、ランサーエボリューションはWRCへの出場をメインに開発されてきましたが、WRCのレギュレーション変更により「ランエボⅥ」以降は国内やアジアでの参戦がメインとなり、WRCとの関係はなくなっています。
そのかわり、「ランエボVIII」からは日本国外での市場に正式に輸出が開始されるなど、国内外における三菱のイメージリーダーとして位置付けられ, 海外でも高い評価を受けました。
WRCなしには語れないランサーエボリューションですが、その活躍は「ランエボ」の歴史の半分ほどでしかなかったのです。
それでも最後のファイナルエディションまで、その血統が続いていることが、名車たる所以ではないでしょうか。
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