1989年の初代デビュー以来、『5ナンバーサイズボディのスタイリッシュな4WDスポーツワゴン / セダン』を売りにしてきたレガシィも4代目で3ナンバー化され、北米市場をターゲットにされた5代目でも更なる大型化が図られます。現行(6代目)ではさらに大型化することになりますが、ステーションワゴンはアウトバックを除き日本での販売を終了しました。5代目が最後のレガシィワゴンになると共に、B4はSUPER GTでその存在感をアピールしました。
北米からのオーダーで『脱皮』した5代目レガシィ
3代目まで5ナンバーサイズを守り、4代目でついに3ナンバー化したとはいえ、ゆとりを持たせる程度の拡大に留まっていましたが、5代目レガシィはスバルの主要市場たる北米からの強い要望に応じ、ついにボディを先代から大きく拡大しました。
先代と比較して全長95mm、全幅50mm、ホイールベースを90mm拡大したことで、1クラス上へと『脱皮』したと言っても良いかもしれません。
それに伴う重量増加で先代までのEJ20型2リッターターボでは力不足となったのか、2012年5月のマイナーチェンジでFA20型直噴ターボが搭載されるまで、2リッターターボに代わり2.5リッターターボのEJ25型を搭載する2.5GTが最高性能版になりました。
また、この大型化で日本におけるレガシィ・ツーリングワゴンとしてはサイズが限界に達したようで、次世代でさらなる大型化に備えたWRXベースの新型ステーションワゴン、レヴォーグが準備され、レガシィのワゴンはこの5代目が最後になります。
そして『2.0GT DIT』が2.5GTに取って代わったタイミングで6速MTも廃止され、MT設定があった最後のレガシィになるなど、スバルにとって『北米中心、日本はサブ的な市場』であることが、この5代目レガシィで明確なったのです。
SI-DRIVEの採用を拡大、最終的に全車CVT化
サイズアップしたのみならず、5代目レガシィではメカニズム面でも大きな変化がありました。
先代から採用の始まった、セレクター操作でエンジン特性を変化させ、エコドライブからスポーツドライブまで設定を容易にした『SI-DRIVE』を全車に採用。
そして、これまで4 / 5速AT頼みだったAT車は他の高級車やプレミアムコンパクトと異なり6~8速化などの多段化やデュアルクラッチ化には動かず、『リニアトロニック』と呼ばれるスバル独自の大出力対応CVTを搭載するようになります。
また、モデルチェンジ初期には2.5リッターターボ車に5速ATまたは6速MT車を残し、最終的にはアウトバックの3.6リッター車(5速AT)を除いて、日本仕様は全車CVTになりました。
しかし、CVTとはいえ6速マニュアルモード付きでパドルシフトを使った素早い変速が可能であり、車体が大きく重くなりつつも、快適性と走行性能、ドライビングの爽快感を高いレベルで保ったと言えます。
安全運転支援装備では、3代目ランカスターから搭載の始まったステレオカメラ式センサーによる『ADA』、その進化版で4代目末期から搭載された『アイサイト』のVer.2を5代目途中(2010年5月)から採用。
なお、5代目でも2回にわたってSTIの限定コンプリートモデル『LEGACY tS』が発売されています。
B4がSUPER GTに登場
国内最高峰の自動車レース SUPER GTでは、GT300クラスへ2008年までクスコから参戦していたインプレッサに代わり、R&D SPORTの手によって2009年途中から参戦しています。
当初4WDのままで参戦したところ成果が上がらず、2010年からFR化し、2010年に1勝、2011年に2勝を上げるなど活躍します。結果的には2012年以降のBRZに先行したスバルFRスポーツの参戦も兼ねた形になりました。
なお、日本のメジャーなレースへレガシィが本格参戦したのは、この5代目B4が最初で最後となっています。
主なスペックと中古車相場
スバル BM9 レガシィB4 2.5GT Sパッケージ 2009年式(6MT)
全長×全幅×全高(mm):4,730×1,780×1,505
ホイールベース(mm):2,750
車両重量(kg):1,480
エンジン仕様・型式:EJ25 水冷水平対向4気筒DOHC16バルブ ICターボ
総排気量(cc):2,457
最高出力:210kw(285ps)/6,000rpm
最大トルク:350N・m(35.7kgm)/2,000~5,600rpm
トランスミッション:6MT
駆動方式:4WD
中古車相場(全グレード):24.8万~288.8万円
まとめ
レガシィは5代目で本格的に『世界のためのレガシィ』として大型化されました。
まだ5ナンバーサイズを頑なに守っていた3代目までのユーザーからすると、そのアイデンティティが失われたようにも思えます。
しかし、それはレヴォーグやWRXなどインプレッサとレガシィの中間的存在に目処がついて初めて可能になったわけで、それまでスバルは北米と日本の板挟みでだいぶ悩んでいたことでしょう。
6代目はさらに大きくなったので、今の視点で見れば『5代目でもまだ小さかった』ということになり、全幅1,800mmオーバーが当たり前になりつつある今の日本車の中では、まだ扱いやすい大きさなのかもしれません。
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