F1をトップカテゴリーとしたフォーミュラカーレースですが、その正反対のエントリークラスとして存在するのがジュニアフォーミュラです。近年では、その筆頭としてFIA-F4の名前が真っ先に挙がりますが、各国で独自の入門カテゴリーが存在しています。そして、かつてプロレーサーへの登竜門としても知られていたヨーロッパのフォーミュラ・フォードを手本にして誕生した日本独自の入門カテゴリーが『FJ1600』なのです。
FJ1600はどんなマシン?
FJ1600は、ドライバー育成を目的とした初級者用フォーミュラで、ウイングなどの空力系パーツを装着せずにコストを抑えるとともに、ドライビングの基礎を学ぶことを目標として誕生したレーシングカテゴリーです。
マシンは、ウエストレーシングカーズ、東京R&D、オスカーなどのコンストラクターがレギュレーションに合わせたFJ1600を製造しており、エンジンはスバルのレオーネに搭載されていた水平対向EA71型4気筒OHVのワンメイクです。
このカテゴリーが開始された当初は、別のエンジンを搭載したマシンも存在しましたが最終的には上記のエンジンに収束しました。
主に開催されていたシリーズ戦
2006年までは、スポーツランドSUGO、仙台ハイランド、ツインリンクもてぎ、筑波サーキット、富士スピードウェイ、鈴鹿サーキット、岡山国際サーキット、オートポリスなどの国内主要サーキットで開催されており、その内のスポーツランドSUGOと仙台ハイランドは東北シリーズとして、他はサーキット単独シリーズとして行われていました。
しかし、2009年に入ると茂木、筑波、富士、鈴鹿、オートポリスの5つのサーキットに縮小されるも、JAFの地方選手権としてシリーズ戦がスタート。
また、同年日本一を決める 『FJ日本一決定戦』も行われ、このレースの成績優秀者には翌年のF4シリーズ参戦費用がサポートされるスカラシップが用意されました。
そして、福島県にあるエビスサーキットでは『エビスフォーミュラバトル』としてFJ1600を使った数少ないレースが年に3回開催されています。
スーパーFJへの移行
FJ1600によるJAFの地方選手権は、2009年をもって終了となります。
この背景には、エンジンの製造が終了してから長い年月が経ち、パーツの欠品や確保の困難が相次いだため、エンジンのオーバーホールすらままならなくなった事があります。
また、レース関係者から、「育成ドライバーを早めにウイングなど空力パーツの付いているレーシングカーに乗せた方が良いのではないか。」という意見も出始め、2010年からは上位カテゴリーへのステップアップ目的で前後ウイング付きのスーパーFJへの一本化が決定。
スーパーFJから輩出されたドライバーという観点で観ると、現在スーパーGT、スーパーフォーミュラで活躍している山下健太選手、2017年にランボルギーニスーパートロフェオのレースで活躍し、今年は全日本F3に参戦している根本悠生選手などが挙げられます。
主なスペック
FJ1600 のマシンスペック
全長×全幅×全高(mm) : 3,800×1,700×1,005
ホイールべース(mm) : 2,250
車両重量(kg) : 400kg
エンジン仕様・型式 : スバル水平対向4気筒EA71型
総排気量(cc) : 1600
最大出力 : 100馬力以上
駆動方式 : MR
まとめ
レーシングカートを卒業してすぐに、F4やS-FJで4輪デビューするのも良いと思うのですが、ウイングなどの空力パーツに頼らないタイヤの使い方やドライビングの基本を学ぶにはうってつけのフォーミュラマシンなのがFJ1600です。
そんなFJ1600出身のドライバーには、F1にも参戦した経歴を持つ、片山右京氏、スーパーGTに参戦中の吉本大樹選手、小暮卓史選手などがいます。
また、現在でもFJ1600のレンタルを行っているガレージも存在するので、このマシンで腕を磨いてからレースに参戦するのもありかもしれません。
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