クルマを使ったド派手なスタント走行でお馴染みの『ジムカーナ』シリーズ。その主役であり、巧みにラリーカーを操る、WRCや世界ラリークロス選手権などでも活躍したケン・ブロック選手。実は、かなり異例の経歴を持っています。
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最も成功したジェントルマンドライバー!?
1967年11月21日生まれで、現在52歳のケン・ブロック。
今でこそラリードライバーとして広く知られていますが、元々は『DCシューズ』というスケーター御用達ブランドを経営するアパレル屋さんでした。
多くのストリート系ブランドの創立者がそうだったように、ケン自身もモトクロスやスケートボードといったエクストリームスポーツで活躍するアスリートでもありました。
また、DCシューズはケン・ブロックの他にもプロスケーターら何名かによる共同設立で、彼らの頑張りもありDCは世界中のスケーターボーイたちから注目を集めるブランドへ成長します。
そして、サーフィンやスノーボードの世界で有名なブランド『クイックシルバー』がDCを買収したことで、かねてより興味があったラリー競技へ本格的にチャレンジする為の資金と時間が生まれたそうです。
元々シューズブランドをやっていただけあって、ファッションセンス抜群。
これまでに数々の靴下をデザインしてきたそうですが、その中でも未だにお気に入りの一足だそうです。
(ちなみに左足には「クラッチを蹴れ!」右足には「絶対上げるな!」と書いてあります)
ジムカーナシリーズで一躍人気に!
2005年にラリー アメリカに初参戦し、彼のラリードライバーとしての本格的なキャリアはスタートします。
またこの頃から、自身の創ったDCブランドのプロモーションも兼ねて、ジムカーナシリーズの投稿をYouTubeで開始し、これが大ヒット!
現在では累計再生数が5億回以上という、超人気シリーズにまで成長を遂げました。
そして2006年にはスバルラリーチームUSAに加入し、インプレッサWRX STIで参戦。
その後、2010年シーズンは、WRCへのフル参戦を表明します。
これはWRCの歴史において初となる、アメリカ人ドライバーのフル参戦となりました。
このWRCへのフル参戦をきっかけに、マシンをフォード・フォーカスRS WRCへとチェンジ。
それまで所属していたレッドブルレーシングから、ライバルの『モンスターエナジー』へと移籍します。
これが、それまでの”スタントドライバー”という印象から、レーシングドライバーとして注目を浴びるキッカケとなるのです。
本当の速さを手に入れたケン・ブロック
Xゲームズの種目として人気に火が付き、北米でシリーズ化されたグローバル ラリークロス(GRC)の成功を発端に、ラリークロスにも世界選手権が誕生したのが2014年のこと。
欧州の一部ではWRC以上の人気を誇るラリークロスが、世界選手権に昇格したのは少なからずケン・ブロックの影響もあるはずです。
そんなラリークロス世界選手権では初戦でいきなり3位に入り、ポディウムを獲得するなどの活躍を見せます。
初年度、2年目のシリーズチャンピオンは元WRC王者、ペター・ソルベルグ選手。
他にも多くのトップドライバーが参戦し、彼は世界のトップとの壁を厚く感じます。
しかしケンは彼らとは違い、ピュアなラリードライバーとして生まれ育った訳ではありません。
ジェントルマンドライバーとして考えれば、表彰台争いに加われるのスキルを持っている事実すら驚異的とも言えるでしょう。
ケン・ブロックの愛車コレクション
様々なクルマで、派手な曲芸走行を見せてくれるケン・ブロック。
ラリーが大好きな彼の愛車コレクションは、ラリーファンならば垂涎モノのラインナップばかり!
ということで、彼のお宝の一部をご紹介していきます。
フォード RS200
グループB時代にフォードがWRCへ送り込んだ、公道を走る怪物『RS200』。
グループCマシンのジャガーXJR-9や日産 R390のような、レーシングマシンをデザインしてきた名デザイナー『トニー・サウスゲート』が設計したことでも知られています。
2004年にはアメリカのパイクスピーク インターナショナル ヒルクライムのアンリミテッドクラスへ出走しており、かつてグループB時代にRS200のステアリングを握っていたスティグ・ブロンクビストの手によって優勝も果たし、現代でもまだまだ通用するポテンシャルを秘めたモンスターマシンです。
フォード・エスコートRSコスワース
WRCはグループBが終焉を告げ、グループAの時代が到来。
フォードワークスは当初、ツーリングカーレースでも活躍していたシエラを投入しますが、その後デビューしたのが『エスコートRSコスワース』でした。
ちなみにケン・ブロックが手に入れたのは、実際にラリーでも使われていた1991年のグループA仕様。
納車後、グラベルでもテストを行い、綺麗にリペイントまで行って『ニューイングランド フォレストラリー2018』へ出場するために入念な準備を行いましたが……
まさかのクラッシュ。
打ちどころが悪かったのか、出火。そして炎上……。
コドライバーのアレックス・ゲルソミーノともども無事に脱出はできましたが、動画を見ると出火から燃え広がるまでの時間があまりにも僅かで、大変緊迫した一瞬だったことが分かります。
フォード F-150 “RaptorTRAX”
彼が仲間とスノーボードを楽しむ際に活躍するのが、このフォードF-150 “RaptorTRAX”です。
ベースとなるF-150ラプターは、F-150のハイパフォーマンスモデル。
タイヤの代わりに履帯化されているのが最大の特徴で、エンジンは6.2リッター。
ウィップル製のスーパーチャージャーを装着し、650馬力を発揮します。
ゲレンデのように圧雪されておらず、スノーモービルでも進めないような雪の深いバックカントリーでも抜群の走破性!!
また、グリルも完備でバーベキューも出来ちゃいます!
[番外編]フォード・ブロンコ(奥さんの)
こちらの大胆にカスタムされたフォード・ブロンコは、1974年製とのこと。
このブロンコは、ケンの奥さんのクルマだというから驚きです!
ある日、彼の仲間内が集まるフーニガンレーシングのガレージにケンが乗り付けてきたブロンコに、みんな興味津々。
調子にのってバーンナウトさせすぎて、車を燃やしてしまいます(笑)。
その一部始終は動画でどうぞ。
まとめ
過激なスタント走行で我々を楽しませてくれるアメリカ人ドライバー、ケン・ブロックをご紹介しました。
元々はビジネスマンとしての顔も持っている彼ですが、そのプロモーションの一環としてジムカーナシリーズの撮影をスタートさせたんですね。
日本もカスタムカーも大好き!とのことで、東京オートサロンでもデモランだけでなく、普通にブースを巡って気になるクルマの製作者に話しかけている姿を見かけることが出来ました。
ちなみに彼の今の夢は「丸の内とか渋谷みたいな東京のビル群の中で、ジムカーナシリーズを撮ること」とのこと。
なかなか実現は難しいようにも思えますが、ひょっとしたらケン・ブロックならやってくれるかも……?
そんな動画が公開される日を、日本のファンとして楽しみにしたいと思います。
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